アイボリーカルソープU  (IVORY CALTHORPEU)
1930年製 350cc

カルソープ社は第一次世界大戦前からイギリスに存在したメーカーで、
率直なデザインと高品質でそのオーナーには好評でしたが広くは認められず、
残念ながら二度目の世界大戦を生き残ることができませんでした。
アイボリーモデルは1929年にバーチカルシングルで登場し、
翌30年、スローパーシングルとなります。
当時、バイクの塗色といえば黒かシルバーかが当然であった時代に
アイボリーという斬新なカラーリングで発売されたカルソープは
新しもの好きな顧客には受け入れられましたが、
多くの保守的な英国人の心をとらえることができなかったようです。
一見バーチカルシャフトのOHCに見せていますが中にプッシュロッドが入っているOHVです。
当時流行のツインエグゾーストポートですが、1本が2インチという太さでは高回転型にはなりえず、
しかしその割にははじけるように回り、走らせると結構面白いバイクです。

私がこのバイクを気に入ったのはデザインからです。
ここに新車の写真があります。

これは翌1931年型のアイボリーVですが、タンクがメッキ仕上げになり、
その上面にメーターパネルが付き、ミッションが4段になる他は共通です。
カルソープで特筆すべきは、高いステアリングヘッドからリヤアクスルまで直線的に伸びるトップフレームと、
ドライサンプのオイルタンクを兼ねるクランクケースを挟みリヤアクスルまでを結ぶアンダーフレームが作る
三角形の類い希なるバランス。
そしてその線の流れをいっさいじゃましないガソリンタンクのデザイン。
極めつけはすらりと伸びたガーダーフォーク。
それぞれが自己の存在を主張しながら、見事に調和している、各パーツのデザインを見ると、
カルソープのデザイナーの卓越した実力を感じざるを得ません。

1930年に於いて、アイボリーカルソープに匹敵するデザインのバイクは私の知る限りでは2台しかありません。
スコットのスプリントスペシャルと、マチレスのシルバーアローだけです。
スプリントスペシャルは、サイレンサーのデザインで、
シルバーアローは深すぎるフロントフェンダーと、太すぎるガーダーフォークとで減点されますが、
宝くじでも当たったら、二台とも欲しいバイクです。

私のカルソープに話を戻すと、安かったものの、入手時欠品が多く苦労をしました、今も欠品だらけですがじっくりと楽しむつもりです。
上の写真は実は入手時の物で、ヘッドライトケースの中が真っ黒なのは、気にしないでください。





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