2011年10月 217号 | 羽場頼三郎 |
過料引き上げは認めるべきでない | 代表質問が年2回にもどる |
田んぼを潰して市営墓地にする愚挙 | 後楽館高校の定時制廃止に反対 |
議会定数と報酬 いずれもやむなく削減 | 9月議会での個人質問で |
過料引き上げは認めるべきでない
議員提案(乙10号)で修正を試みる当局提案の甲201号議案「市税条例の改正案」は、中身を検討すればするほど改正の名前に値しないものだと思いました。寄付控除の引き下げや法律が変わって当然に変更しなければならないところには異論がなかったのですが、「過料の新設と額の引き上げ」の部分がおかしいと感じました。
これまで市民税などの不申告は過料が3万円でしたが、これを一気に10万円にする、さらに不申告に過料を課す範囲を広げるという内容です。これまでの規定で過料を科せられた人は皆無です。何の問題もおきているようには聞いていません。そもそも市民に義務を負わすこうした条例は十分な検討が必要であり、理由付けが問われるべきです。
当局があげた理由は「法が改正されたから」というだけのものです。では、その法律はどうかといえば、「過料を課すことができる」「過料の上限を引き上げることができる」というもので、そうしなければならないとはどこにも書いてありません。過料を引き上げないと税金の徴収に支障が出るというなら、それを理由としてあげるべきです。そのような説明はなく、もちろんどのような実態であるとの報告もありません。このように、十分な根拠に乏しいこと、特に過料は行政罰と言われるもので故意過失が問われないために不公平が生じやすいので慎重であるべきこと、本来市として国の法改正に盲目的に従うのは地方自治といえないなどを理由に総務委員会では反対しました。しかし、賛成多数として委員会では承認されました。
これこそ、対案を出すべきだと思い、反対すべき部分を除いて修正案を作り、乙10号議案として出すことにしました(当局提案を甲号といいます)。5人の提案者が必要なので、鬼木のぞみ、川田正一、竹永みつえ、熊代昭彦の賛同を得ました。本会議場では私が提案理由の説明を行い、賛成討論が東議員からあり、表決に入りました。結果は13人(市民ネット7人、共産党5人、無所属1人)の賛成少数で否決されましたが、会議終了後、複数の議員から「提案理由を聞いてよくわかった。羽場さんの言うとおり」とのお言葉をもらったのですが、ときすでに遅しです。残念ながら乙10号は否決され、当局提案の条例となりました。2011年10月25日 岡山市議会議員 羽場頼三郎
優良農地確保の方針を踏みにじる
田んぼを潰して市営墓地にする愚挙
ここが墓地になる予定地(9月7日撮影) この議会に出された議案で、これは許せないと感じたのが「灘崎のメモリーパーク」です。市によると、かつての灘崎町との合併に当たっての約束で墓地を作る方針があった。2箇所ほど当たったが良い場所が無い。最近は平野で道がなだらかでないと墓として喜ばれない。ことなどを主な理由にして、ファーマーズマーケットの北の田んぼ6ヘクタールを潰して市営墓地にする予算が出されました。買い取り価格3千万円です。
議会前に、稲が稔っていたその田を見に行きましたが、「なぜここを潰すんだ」とあらためて思いましたが、この思いは他の議員には届かなかったようです。田を住宅や道路に変えても、田に戻せないことはない。しかし、墓地にしたら永久に田へ戻すことはできない。今、東北は震災と原発事故で農地が使えないところが多大にある。そのカバーをするためにも西日本の農地を潰すことは愚かだ。岡山市は「優良農地を守る」ことを大方針にしているが、これによりそれが骨抜きになる。このように訴えたのですが、市民ネットのなかでも賛同がえられず、私一人が孤立しました。補正予算の採決にあたっても、市民ネットとしては賛成だからという理由で反対まではできなくなり、採決の際には議場から退席しました。
議会定数と報酬 いずれもやむなく削減
「議会は妥協の場だ」とある方が言われていましたが、この9月議会はまさにその言葉どおりでした。議会の定数と議員の歳費(報酬)についての条例が議会で通りました。これまではいずれも「変えることは基本的にない」と主張していたのですが、事情が変わりました。東日本大震災が大きな理由です。この震災と放射能被害によって東日本が大きなダメージを受けました。国も財政的に大きな負担が増える以上、その影響は地方自治体にも及びます。これまでどおりの支援は得られないと断言できます。だとしたら、岡山市も支出は抑えられるだけ抑えて、市民に負担をなるべく掛けないようにしなければなりません。議会費も圧縮することはやむを得ないと感じました。しかし、極端な定数削減や報酬減は議会の機能を奪いかねないので、そうした配慮も必要です。
まず、定数ですが、削減幅は議員一人当たりの市民を考えて不公平が生じないようにしなければならないということから、計算上は43から46という比較的不公平感が生じないという数字が出てきました。43は減らしすぎるというのが議会の大半でしたので、45か46かという議論になりました。私は46を主張しました。議会の活性化は、実質的に審議をする委員会の活性化が不可欠です。現在6ある委員会をそのままにすると1委員会が7人の所も出てきます。われわれの経験から、せめて9人ぐらいは必要と考えると、5委員会にしたらどうかという意見があり、それももっともだと言う事で、これにすると1委員会が9人になります。しかし、議長は委員会に席を持たないことが慣例ですので、これを考慮すると46という数字になります。これは私が提案者の一人になり、その説明も本会議で行いました。
報酬は、5万円の減額なら各議員の同意が得られたので、比較的容易に意見がまとまりました。これは、10月から実施になります。
代表質問が年2回にもどる
昨年、試行として代表質問を年1回にしましたが、議会改革推進会議での議論の結果、やはり2回に戻すことで意見が一致しました。ただ11月、3月ではなく、9月、3月になります(来年から)。この議論が起きたのは全国で本会議の時間が長いことが問題とされたからですが、議会の審議時間が長いことはむしろ自慢すべきでは、と思っています。俗に言うダラダラ審議はいけませんが。
後楽館高校の定時制廃止に反対
岡山市の教育面での特色に「後楽館中学高校」があります。他でもない安宅市長の時代に「子供たちに選択肢を広げたい」という趣旨で市立の新しい学校をつくりました。それまで市立商業高校、市立工業高校という2校の夜間高校を統合したのみならず、中学校と高校の一貫教育、単位制、全市学区などかなり先進的な取り組みとして注目もされてきました。しかし、ここで来年度から定時制を廃止して、全日制に移行するという教育委員会の方針が出されました。 十七年から定時制の勤労学生がいないというのがその主な理由のようです。昨年の市民文教委員会で報告したとも言いますが、途中に選挙もあり、委員会のメンバーもまったく変わっていて、現在の委員には寝耳に水状態だったこともあって賛否両論が出ました。
われわれ市民ネットではこれに反対することで意見が一致。議案に対する反対討論をしました。新人の高橋雄大議員がそれを受け持ち、次のような理由を挙げました。まず、この学校の趣旨が子供たちの選択の幅を広げることにあるにもかかわらず、方向が逆であること。また、勤労生徒がいないというが、かつてのような定義の勤労生徒とはいないのは当たり前で、正規社員などはいなくても形態がかわっていて(例えばパートやバイトなど)、仕事をしている生徒は多い。さらに、一度廃止したら再度の制度立ち上げはまず困難である。
しかし、賛成多数でこの件は議会を通過しました。
9月議会での個人質問で
羽場頼三郎 岡山市全体でどれくらいの電気を使っているのか。
環境局 年間49億kWである。
羽場 市の計画ではソーラー発電が全体の何割に当たるのか。
環境局 0.44パーセントである。
羽場 言うまでも無いが、あまりに少ない。計画の見直しは考えているのか。
環境局 当然そのように考えている。
羽場 暴力団に対する距離規制は法律的に可能なのか。
総務局 可能である。
羽場 この規制で市民は何か不利益を受けるのか。
総務局 そのようなことはない。
羽場 先の議会の答弁で「他の都市で500メートルの規制をしているところは無い」と言っているが、それが岡山市で規制をしない理由にはならないと思うが。
総務局 さまざまな面で検討はしている。
羽場 包括外部監査で「老朽菅」は古くて使えない管だと指摘しているが、そうなのか。
水道局 減価償却という経理上の経年管であって使えるかどうかは別。点検して把握している。
羽場 包括監査では「更新のため年間80億円が必要で、そのため大幅な人員削減をすべき」としているが、それを進めるのか。
水道局 必ずしもそうは考えないが、持続的事業継続という範囲で意見は尊重したい。
2011年10月 217号 | 羽場頼三郎 |