2011年8月 216号 羽場頼三郎

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今井正章筆
再生エネルギー促進法で脱原発の社会を 小水力発電を取り入れる
市域全体をソーラー発電所に 市民ゴルフ場の継続を
水道局が老朽菅で「困窮」 菅直人総理を検証する

再生エネルギー促進法で脱原発の社会を

岡山市からまず道を開くことが大切


 菅直人総理がついに退陣しました。脱原発総理として徹底的に腕を振るってもらいたかったのですが、やむを得ません。しかし、それで全てを諦めてしまっては終わりです。原発の危険性を無くす仕事に取り組む政治家として菅さんには頑張ってもらいたいし、私も政治家としての責任が待っています。

 岡山市は、2面の記事のように「市域全体がソーラー発電所」という発想を持っています。これは大変いいことです。この実現こそが私の議員としての大きな使命と感じています。市が掲げている目標はまだ8メガワットですが、まずこれを大幅に引き上げる計画を作らねばなりません。その資金や制度の改正に取り組むことが急がれます。

 国は「再生エネルギー推進法」を作りました。自然エネルギーで発電がなされた場合、その全量を電力会社に引き取る義務を持たせます。ドイツなどの例を見ても、これによりソーラーや風力発電が飛躍的に増加することが期待されます。市が、この法律を受けてソーラー発電に取り組むなら、脱原発の岡山市も夢ではありません。中国電力の原発依存度はわずか9%だそうですから、岡山市という中国地方第二の都市が動き出す影響力は計り知れません。すでに県内で言えば、津山市、瀬戸内市、備前市などがメガソーラー発電に向けて動きがあるようです。また、電力会社は日ごろ市民と直接接しているので、理解は得られやすいはずです。

 大震災の後遺症はとても大きくて回復は困難と思われますが、まずは原発という地球が背負った荷物を一日も早く下ろすことで、現在地球上にすむ私たちだけではなく、未来の人類に安心を与えなければならないと思っています。

2011年8月27日  岡山市議会議員 羽場頼三郎


市域全体をソーラー発電所に

まずは8メガワットの電気生み出す

 6月議会では市民ネットの代表質問に立ちました。新議会になって初めての質問ですが、これまでになく会派内での議論を重ねました。今回は、東日本大震災後の初めての議会でもあり、気合を入れて質問しました。

 まず、市政のありかた、市長の政治姿勢について、特に自然エネルギーを本気で導入する気があるのかとたずねたところ、次のような答弁でした。

当局>「先日、被災地の現状を目の当たりにし、その復興に向けて可能な限りのお手伝いをしていくとともに、被害を受けなかった地域に住む私たちは、将来世代が持続的にエネルギーを利用でき、また安全安心な社会を実現すべきであると改めて感じました。特に「晴れの国」として、太陽エネルギーに恵まれている本市としては、市民、事業者、市が連携して、各家庭や事業所の屋根に太陽光発電の和を広げていくことにより、いわば市域全体が「ソーラー発電所」となることを思い描きながら、一層の普及につとめて参りたいと考えています。こうしたことから、市域全体で8メガワット以上の太陽光発電を実現すべく積極的に取り組んで行きたいと考えております。」

 私としては、市としてこのような姿勢を明らかにしたことはおおいに評価しています。脱原発という言葉を使うか使わないかは別として、市の進むべき道として当然だと思います。

普及に足かせの規制はずせ

羽場質問 ソーラー発電の各種の規制は外すべきではないか。

当局答弁 昨年度と比べ、設置価格が低下したことから、補助単価を引き下げています。設置できない世帯への配慮や、限られた財源の効果的な活用という意味で、制限がありますが、本年度の利用状況や、市民ニーズを踏まえ、自然エネルギー全体の一層の推進を図る中で、本制度のあり方についても検討します。

※ここで私が聞きたいのは、制度の中に規制が多いということは利用がしにくいということなので、ソーラー発電を広げるというなら、それを撤廃すればよいではないか。特に、大震災が起きる前の状況とその後では大きく様子が違うのだから、思い切った改正が必要という意味でした。利用できない方も、「自然エネルギー利用が拡大して、原発への依存度が下がれば、それだけ安心が増加するという意味合いからも、補助が増えるのは歓迎されると思います。また、ごみ有料化による余剰金のうち2割程度しか使っていないことからすれば、財源が無いことは理由になりません。

高齢社会のゴミ収集

羽場 ふれあい収集の開始後の状況はどうですか。

当局 高齢や障害などで排出が困難な家庭の粗大ごみを自宅内まで取りに行く事業だが、5月から実施して6世帯が利用しています。

羽場 全てのごみや資源物にも広げるべきではありませんか。

当局 足守地域センター管内と直営の地区でモデル実施をしており、5月末現在で56世帯です。現状把握に努め、プライバシー保護や収集方法など、モデル実施の評価を行い、関係部局と協議します。

※ここで明らかにしたいのは、制度が始まってもあまりにも利用者が少なく、市民の期待に応えていないということです。歳を取ってからだが動かなくなった時にゴミ出しをどうするのか。市が手を貸さないで、誰が助けてくれるのか。これが過剰サービスではないことは明らかです。


水道局が老朽菅で「困窮」

 今年の包括外部監査には大きな疑問がもたれました。それは報告書に引用されている条例が間違っていて、明らかに他市のものであったりしたからです。そして、老朽管の利用年数に対する水道局の認識がまったく違っているなど、内容についてもストレートに納得できるものではありません。前提が違うなら結果も違って当然だと思います。老朽管の取替えをそんなに急ぐ必要がないのに推し進めると大幅な人員削減など、水道局にとってマイナスの面もでて来ます。それは市民にとってもいいことではありません。慎重な対応が必要と思い質問しましたが、現時点では水道局も同じ考えでした。


小水力発電を取り入れる

 私の代表質問で、小水力発電の実践を求めたところ、水道局から積極的な答弁がありました。それによると、県の水道事業団から買い入れる際に使われる水道管の落差を利用して、発電をすることを検討しているようです。3月議会の質問で、昨年末の西川での実証実験を取り上げました。せっかくの実験が「やりました。終わりました。」では面白くありません。そこで、その実験を生かすことができないかと、再度取り上げたわけですが、意味があったようです。


市民ゴルフ場の継続を 自然保護のモデルとしても有益

 御野ゴルフ場の存続が危ぶまれています。以前にも廃止の動きが出たことがありますが、市民の強い要望で残された経緯があります。きっかけは水道局に対する監査です。その指摘では、「民間に移管すべきだ」とされています。しかし、水道局は「水道サービス公社」がなくなるのでこれに合わせて廃止の考えを打ち出しました。しかし、ここは多くの市民に親しまれていて、環境を守るために一切農薬など使われないので他の模範になっていること、さらに赤字を出しているような施設ではないのですから、廃止の理由がありません。議会に存続要望が出るなら、今回も賛成するつもりです。


菅直人総理を検証する

 菅氏は理系で、市民運動出身だから原発の安全性と、経産省・原子力安全保安院の体質に対して強い疑念を抱いていた。大震災発生直後、災害対策本部を立ち上げ、同時に原発について詳しい人物への接触を試みている。その結果、12日未明「水素が発生する可能性はありますが、大丈夫です」と言った原子力安全委員長に「爆発はありうるだろう」と声を荒げている。そして、その日の午後、官邸から原子炉格納容器内の圧力を下げるために圧力弁(ベント)を空けるよう求めても、東電側は放射性物質の放出を嫌ってウンといわなかった。やっと海水による冷却を受け入れた東電に対し、官邸は怒っている。

 15日午前5時半過ぎ、東電本社に乗り込んだ菅直人総理は「撤退などありえない」と激高して東電の面々に罵声を浴びせた。これらのことは、菅直人以外の総理なら、決してありえなかっただろう。普通の首相なら、実務は官僚がやるのであり、「良きにはからえ」が通り相場だった。菅総理もそのように行っていたらベントは行われず、東電の撤退も実現しただろう。

 福島第一原発にあった核燃料は、広島原爆3000個分だったといわれる。最悪の場合、そのすべてが臨界に達し、核爆発が起こった可能性は誰も否定できない。その可能性を封じたのは菅総理だった。経産省、原子力保安院、東電などの原発ムラも、「怒鳴る総理」を無視することができなかったからだ。

 それ以後の「総理の座へのしがみつき」は、東電つぶしと反原発政策の推進を目的とする以外ありえない。

※田中良太さんのブログ「目覚まし時計」の8月4日の文章を羽場が要約しました。


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