2010年3月 208号 | 羽場頼三郎 |
地域の住民がお互いを尊重するために | 赤字バス路線の廃止を防ぐ手立てを考えよ |
積極的に幼稚園と保育園の統合を考える | 「市の鳥は野鳥を」との陳情は不採択に |
なぜ議会が荒れたのか | 国への意見書や決議を採択しました |
地域の住民がお互いを尊重するために岡山市議会は平成6年に地方参政権を求める意見書採択
2月岡山市議会に、定住外国人の地方参政権に反対する陳情が出てきました。議会の中には声高に賛成する人がいます。恥ずかしい限りです。これについては、平成6年に全会一致で「定住外国人の参政権をみとめるべき」とする意見書を国に提出しています。それを知らず、これと矛盾する意見書を国に出せと言うわけです。
「国際人権条約など国際法の批准により、定住外国人の待遇は改善されてきてはいるものの、地方参政権や社会保障制度などにおいて、多くの制限がなされているのが現状である。定住外国人は、納税の義務はもちろんのこと、地域社会の一員としての役割を果たしており、隣人としての相互理解を深め、地域の安定のためにも、対等な権利が保障されることが望ましく、保証されることによって、国際関係は改善し、世界の平和にもつながるのである。よって、国におかれては、定住外国人に対する地方参政権など人権保障の確立を強く要望する。」
全国でも、同じようなことが起きていると言う報道がありました。県議会では、反対とは言わないまでも「慎重審議を求める」意見書が出されたようです。これまで様々な議論があった上で、住民の権利として参政権を認め、同じ地域社会に住むものの安定的関係を作ろうという結論を導いてきました。
高校無償化でも、朝鮮学校を外す動きが表面化しました。これも理由がありません。子どもたちを大切にする民主党が、とるべき態度ではありません。拉致問題とからませるのは大間違い。在日韓国人、在日朝鮮人、日本人が地域の中で仲良く暮らしている現実に冷水を浴びせる結果になれば、悲しい限りです。2010年2月2日 岡山市議会議員 羽場頼三郎
2月定例市議会
積極的に幼稚園と保育園の統合を考える
羽場の個人質問に市長が答弁今回の議会では、5つのテーマで質問しました。(1)子育て (2)産廃の処分 (3)農地転用 (4)奨学金 (5)市場改革 です。
□羽場 幼稚園も保育園も学齢前のこどもを預って、保護、教育する施設であり、一緒にすることで保育を必要としている市民の要求に応えることになるのでは。
■市長 同じ考えなので、先日も福島大臣とお会いして、その政策を積極的に進めるように要望したところだ。
□羽場 産廃を不法処分した業者に対して、あくまでも原状回復つまり全量撤去を求めていく方針があるのか。
■当局 市としては不法処分をそのままにしておくことは、「やり得」を認めることになるので、徹底的に撤去を求めていく姿勢を貫く。
□羽場 農地転用は、一度認めてしまうと住宅など他の用途に移り、農地がなくなる元凶となっているのではないか。市として打つ手があるのか。
■当局 農地転用は基本としては国の法律の基準で認めるものである。しかし、市が作った新ルールで、可能な限り野放図な開発につながらないようにしていきたい。
□羽場 市の奨学金はもっと増やすことはできないか。
■当局 現在のところ、増額については考えていない。
□羽場 市場改革は見通しがあるのか。
■当局 経済情勢がきびしいが、企業の協力を頂いているので、少しずつ前進していくはずだ。
なぜ議会が荒れたのか
この議会は、初日から荒れました。一日だけで終らず、翌日の午前2時までかかりました。問題の議案は補正予算で、来年度から国が実施する「こども手当て」の準備をするために組まれたものです。担当の総務委員会で時間がかかりました。
何が問題になったかといえば、その予算に組まれた額の根拠が不明だというわけです。当局の説明によれば、専門業者に見積もりを出してもらい、それを参考にして金額を出したと言います。業者に見積もりを出させるのは、談合の疑いがある。とまで言う委員もいました。本当にそうなら、議案は認められないとなります。
しかし、これを否決すると、こども手当ての支給が岡山市だけ遅れることになります。結局、当初の予算は撤回され、国が定めた最高限度額に数字を置き換えて、当局の再提案ということになりました。
初日からこれだけ荒れた議会は、あまり記憶ありません。ただ、この補正予算が難航した原因は、どうも奥が深いようです。ある人が「民主党がやろうとしているこども手当てだからすんなり通したくない」という自民党系議員のつぶやきを聞いたそうです。本当にそうなら情けないはなしです。
建設委員会
赤字バス路線の廃止を防ぐ手立てを考えよ
国の補助を待っていたのでは遅すぎる三月十二日と十五日に開かれた建設委員会で羽場頼三郎は次のような質問と提案をしました。これ以外にも、特定建築者制度についての反省を求めようと思っていたのですが、他の委員が追及しました。
□羽場 赤字バス路線に補助金を出すことについては岡山市が判断をするのか。
■当局 補助路線については国の判断で決められており、県と市が協調して補助している。
□羽場 岡山市内のバス路線には、赤字を理由に廃止しているところもあり、国の決定を待っていたのでは遅い場合もある。岡山市独自で、何らかの形で路線を維持することが検討できないか。
■当局 国の方で交通基本法を策定中であり、その動向を見据えながら、岡山市としてどういうやり方が良いのか検討しているところである。
□羽場 水道事業と下水道事業の統合については、どのように考えているのか。
■当局 他の政令市においては、建設や環境の関連部門との統合といった形もあり、将来的なあり方について研究したい。
□羽場 かなり以前だが、普及率が70%をこえた時点で考えると言うことだったが、どのくらいをめどに考えているのか。
■当局 現在の岡山市の下水道普及率は60%ほどで、他の政令市に比べて低い状態にあるため、当面は未普及の解消に取り組む所存である。ただ、一方で、議会でのご指摘もあり、低い普及率の段階でも研究はしていきたい。
「市の鳥は野鳥を」との陳情は残念ながら不採択に
「市の鳥は慎重に選定すべき」という声があり、十一月の議会では総務委員会では陳情を継続審査にしました。ところが、こうした市民や議会の意向を無視して岡山市は市の鳥を「タンチョウヅル」に決定し、公表しました。市の鳥を決めるにあたり、議決を必要としませんから違法な決定ではありません。しかし、議会の議論を無視したやり方は問題です。市長、当局はおおいに反省をするべきです。
しかし、この陳情が宙に浮いてしまいました。決まってしまったものの慎重な取り扱いはできません。結果として不可能なことを求める陳情の扱いをどうするか、を考えなくてはなりません。こうした陳情は提出者が取り下げるケースが多いのですが、これに限って言えばその手続きが取られていません。
共産党は陳情を採択すべきと委員会で主張しました。しかし、できないことが分かっているわけですから、採択はできません。陳情を放置したままでは無責任です。取り扱いとしては、これを取り上げないとするしかありません。従って、市民ネットとしては、「提出者の気持ちは分かるし、可能ならこれを取り上げるべきではあるが、不可能な以上不採択と言う結論を出さざるを得ない。」と判断しました。
国への意見書や決議を採択しました
国保の国庫負担増を
国への意見書 国民健康保険は、低所得者の医療を支えるセーフティネットの役割を果たしている。しかし、年々保険料が上がり、加入者の未払いが増えて制度維持が困難になりつつある。この原因は、医療費の増加と国の負担が45%であったものを38.5%に引き下げたことにある。さらに、市町村に対する事務負担金が廃止された。その結果、国保の総収入において国の負担分は3割になっている。
国保を社会保障の制度として存続させ、加入者が安心して必要な医療が受けられるようにするため、国庫負担を増額されるように要望する。
日韓両国の新たな百年を創る決議
日本と朝鮮半島は、古代より密接な関係にあった。しかし、近代になり、欧米列強に並ぶことを国の命題とした結果、韓国を併合しその後の戦争による傷は今日なお癒されていない。こうした歴史経過の中、日本政府は平成5年、当時の河野洋平官房長官が「いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。」として談話を発表し、以降政府としてその考えを継承している。
しかし、平成19年にアメリカ下院は「日本軍が女性を性的奴隷としたことを公式に認め、謝罪すべし」とする決議がなされ、オランダ、カナダ、EU議会でも同様の決議がなされた。
過去の歴史とそれにつながる現在の課題を直視し、慰安婦問題の解決など現在なお残る問題解決に向け最大限の努力を進めていくことを決意し、行動する。
2010年3月 208号 | 羽場頼三郎 |