2009年7月 205号 羽場頼三郎

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今井正章筆
保護世帯の母子加算廃止は許せん 産廃許可が出せるような会社か疑問だ
職員の給料カットを独断で決めるとは 「市の鳥選定」はもっと慎重に
福浜で恒例の議会報告 後期高齢者医療制度広域連合議会に注目を


保護世帯の母子加算廃止は許せん

弱者切り捨ての制度改悪に反対する

 弱者切り捨ては許せない。これが6月議会で行った反対討論の趣旨でした。政府・与党は一方で「定額一時金」として票欲しさ丸出しの現金ばらまきをしながら、生活の困窮にあえぐ家庭への給付金をこの4月に打ち切りました。

 国は、財政悪化をことさら強調して、福祉予算を切り削ってきました。それに対して、民主党、社民党、国民新党、共産党の野党4党は参議院で復活法案を可決させました。この時期に加算復活を求める陳情が保健福祉委員会にかかりました。委員長は市民ネットの下市ですが、意見は言えても採決に参加できません。委員会は、あっさり否決しました。財政難のつけを、声の出しにくい生活保護世帯の母子父子家庭に押し付けるのはとても放置できないと、直ちに反対討論をする決意をしました。

 衆議院が間違えば参議院が正し、国が誤れば地方がこれを直さねばなりません。生活実感にもっとも近い自治体が声をあげるのは当然です。この給付金は家庭に稼ぎ手がなくなり、あっても労働条件のきわめて良くない家庭を助けるものでした。廃止に当たり、たった32件の家庭を調査したのみだそうです。政策の妥当性が疑われます。遠足に行けなくなった、食費を切り詰めても切り詰めても生活が苦しい、などの実態がテレビでも紹介されていました。生活を守ることが政治の基本です。これを忘れて行われる政治には、はっきりノーを突きつけるべきです。

 本会議では反対討論の後で採決に入り、19対23というきわどい差で否決でした。直後に、複数の賛成議員から「あれは同調しても良かった」と告げられ、働きかけ次第で逆転の可能性があったことを知りました。最後まであきらめてはいけないことを改めて学んだしだいです。

2009年7月16日  岡山市議会議員 羽場頼三郎


議会が機能しなくなる安易な専決処分
職員の給料カットを独断で決めるとは

 6月議会が始まる直前に、当局が市職員の夏季手当2%カットを専決処分で行いました。報酬の減額という重大な問題にもかかわらず、議会を無視して勝手に決めてしまったわけです。

 「専決」は、特別な場合にのみ認められている市としての意思決定です。財政に深刻な影響が出るとか、市民生活に打撃を与える場合など、使える場面は極めて限定的なはずです。日にちが迫っていた、組合との合意が出来ていたなどと理由らしいものが挙げられていますが、いずれも詭弁の類いです。ほかの議会では、本会議を開いたところもあります。

 6月の個人質問でこれを取り上げましたが、明確な理由は示すことができませんでした。その中で、市長は職員の首切りや給料カットはしないと言っていたではないか、公約違反ではないのか。と、追及しましたが、「公約違反とは思いません」と開き直った態度でした。ここから生まれる財源で何をしようとしているのか、とも質問をしましたが、これも明確にはしませんでした。

 さらに、議会がそれを容認しているかのような発言も見られましたが、議会の制度を知らず、かつ議会を軽く見ているような態度には腹立たしいものがありました。最後まで不毛な議論をしているようで、後味の悪い思いで降壇しました。


福浜で恒例の議会報告

 本会議が終わると、市民ネットではその報告会を各地で行っています。7月4日土曜日には福浜公民館で行い、50名近い参加者がありました。報告はすべての議員が担当し、おもに自分が所属する委員会の議論や本会議での質問などをお伝えしました。

 これまで7回開かれていて、今回も好評でしたが、もっと広報をするようにとの注文がつけられました。政令市移行に関連した地元での取り組みについても質問が出て、羽場が福浜農協への市民センター設置の見込み、福富西地区の公園整備の見通しなどについて話をしました。南区の区役所が灘崎なので不便になった点も指摘があり、改善要望も出され、意向を区につたえることが約束されました。メンバーの委員会です。

下市このみ  保健福祉
近藤昭  環境水道消防
田原清正  総務
鬼木のぞみ  市民文教
長井孝介  経済
羽場頼三郎  建設

産廃許可が出せるような会社か疑問だ
許容量超過や小松露池の汚染で体質に不安がないか

 御津虎倉に計画されている産廃の処分場について、この許可申請をした会社の体質に不安があります。これまで議会で小松露池の汚染について質問を重ねてきました。その原因として敷地がゼロメートルしかはなれていないN社の処分場に疑いを持ってきましたが、同じ場所で許可容量を超えた産廃が大量に積まれていたことがあきらかになり、さらに心配が増加しています。

 許可を一度でも出せば、これの取り消しが不可能に近いことは行政の常識です。先日、御津地区で行われた、産廃訴訟の権威といわれる弁護士の講演でも断言されていました。この許可により、周辺の住民にとどまらず、岡山市民全体が不安と危機に見舞われるのです。計画、設計、管理のいずれかのミスであっても、予想を超える自然災害があっても、市が負わなければならないその損害に対する賠償責任は天文学的なものになるでしょう。その負担はすべて市民に及びます。法を守らない体質、都合の悪いことは隠す体質は治療が不可能です。

 そのような体質を持つ会社を信用するとしたら、よほどお人よしというべきです。しかし、行政は危険な要素に事欠きません。役人には担当の異動があり、市長には任期があります。一人でも間違った判断をすれば取り返しがつきません。現在の担当者が会社の体質を正確にとらえていても、別な人に代わればどうなるか分りません。市長はなおさらです。行政の最高責任者が市長である以上、市民の立場に立った判断がなされなければなりません。それをこの議会で示すことができなかったことは、市の将来に大きな不安を残しました。


「市の鳥選定」はもっと慎重に

 岡山市が政令市になったことを記念して、「市の鳥」を決めようという動きが一部にあり、市もその方向に動き出していましたが、それにブレーキがかかりました。

 市の鳥といっても、その鳥は「タンチョウヅル」にしようという声が強く、それに引きずられて物事が決まろうとすることに異論があります。そもそもタンチョウは岡山の自然には生息せず、後楽園に飼われている鳥です。これには野鳥の会、岡山の自然を守る会などが強く反発をしています。反対陳情も出されましたが、議会では「継続審議」になりました。事実上、市のほうも早期に決めることはあきらめたようです。

 私も質問でこれを以前にも取り上げましたが、この議会でも「市民の一体感を醸成するため」なら、なおのこと慎重にすべしとの意見をのべました。


後期高齢者医療制度広域連合議会に注目を
木下哲夫さんが立候補・当選

 3回目の後期高齢者医療広域連合議会の選挙(定数3)が、行われ、個人推薦の木下哲夫さんほか3名が当選しました。前回は津山市議会の黒見節子さんが立候補し、県下の各議会で善戦し、189票を獲得して議長会推薦の候補に22票の差をつけてみごと当選しました。議長職は大変に忙しく議員として動けるのか、議長会の役員が「あて職」的に候補になることでいいのか問題視されています。制度ができた時、議会をどうするか真剣な議論がなされなかった可能性があります。

 議会活性化のため、黒見さんの実績をもとに今回も個人推薦の人を立てようと努力しました。それに応えて瀬戸内市の木下哲夫議員が立ち上がってくださり、最終的には71名の推薦人を集めることができました。

 この議会には、解決すべき課題がいくつかあります。まず、全部で18人の議員しかいません。県民の声が届きません。また、自治体の市町村長が議員になっているため、議会が形式的になっていることです。ただでさえ忙しい首長が議員の役目を果たせるとはとうてい思えません。さらに、各定数が少なすぎることです。県下に15の市があるにもかかわらず、市議会に割り当てられた定数はわずか5人です。立候補の要件も34人の推薦人をそろえねばなりません。政党かなにかの大きな組織に入っているか、顔がよほど広い議員でないと手を上げることすらできません。後期高齢者医療と言う大事な制度の運用に、眼を光らせる議会の存在は重要です。


2009年7月 205号 羽場頼三郎

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