2009年5月 204号 羽場頼三郎

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今井正章筆
国立まんがの殿堂はいらない 予算の減額修正と執行凍結に
御津の産廃処分場には反対です 広域連合議会に新風を


国立まんがの殿堂はいらない

この不況に117億円で仮称メディア総合センター

 国会の質問戦を見ていて、鳩山由紀夫民主党代表の言葉に注目しました。麻生総理に「あなたの趣味は理解するが、国立まんが喫茶を117億円で作るのはいかがなものか」といった趣旨でした。まんが喫茶は少々大げさな言い方ですが、まんがやアニメの展示などをするための「仮称国立メディア総合センター」を、不況対策として成立させた補正予算に盛り込んでいることを問題視しての発言です。

 あるテレビ番組でも取り上げていましたが、漫画家のやくみつるさんは「つくればいいけど、それはもうこれ以上作るものがないといった時につくるべきだ」といわれていました。そのとおりと、思わず口にしましたが、文化庁のお役人は「まんがアニメの総合展示施設は必要。未来への投資だ」と屁理屈をこねていました。

 情けない話です。失業者があふれ、卒業生の就職内定取り消しが相次ぎ、福祉が切り捨てられているのが現実です。深刻な不況をなんとかしなければ、と必死にならなければならない政権の担当者が思いついたのがこの程度の政策です。同じ百億円を使うのなら、ハードではなく、ソフト部門に使うべきでしょうといった指摘には、そりゃそうじゃと思いました。もう、こんなことが分らなくなっている政権では、国民が不安を感じるのは当然です。国民が不幸です。

 国民に「定額給付金」という形でばらまき、票を金で買おうとする自民党は、金属疲労が起きている飛行機と同じで、国を滅ぼす前に政権を交代しなければ危なくてなりません。

2009年5月27日  岡山市議会議員 羽場頼三郎


御津の産廃処分場には反対です

 岡山市北区の御津に持ち上がっている産業廃棄物処分場建設には、地元を中心に強い反対があるところです。岡山市の水源の上流に位置していること、その付近は絶滅危惧種オオタカの生息地・繁殖地であることに見られるように自然の保護が必要とされている地域です。なにより下流地域の住民の不安が大きく、旧御津町時代の町議会は反対の決議をしていました。岡山市の議会も反対請願を採択しています。しかし、業者は強引に許可を求め、事前審査の条件である地元説明会を強行しています。

 議会では、地元の議員が質問に取り上げ、市民ネットが代表質問でこの問題を取り上げるなど、反対の声を大きくしてきました。

 この業者から脅迫まがいの内容証明が羽場頼三郎に届いたこともありました。しかし、羽場はその業者が箕島に持っている処分場のすぐ隣に設置されている小松露池の汚染問題を議会で取り上げてきました。

 市は、まさにその業者の箕島処分場に許可容量を超えている廃棄物約2万5千トンがあることを認め、それが整理されるまで許可を出さないことを公表しています。羽場が再三指摘してきたように、業者の信頼性を市の許可判断に入れるべきだという主張をやっと認めた形になっています。

 しかし、まだ安心はできません。「片付けたからそれでいいでしょう」という理屈が出てこないとも限りません。御津地区には別のところにも産廃処分場の計画が持ち上がっていて、目を離すことができません。


羽場頼三郎は建設委員に

 5月の臨時市議会が十九、二十、二十一日に開かれ、次の改選までとなる任期後半二年間の議長以下議会構成が決まりました。

 市民ネットでは、下市このみさんが保健福祉委員長に、田原清正さんが総務副委員長に、近藤昭さんが特別委員長に、鬼木のぞみさんが特別副委員長に、長井孝介さんが議会運営委員になりました。羽場は二度目になりますが、建設委員会に所属することになりました。また、市民ネットの代表を下市このみさんになっていただき、羽場は民主党県連の幹事長代行と江田五月会の幹事長に専念できることとなりました。

 今回の臨時議会で特徴的なことは、ここ二回ほど続いた議長選挙での勝ち組が議会の役職を独占する状態に一応の終止符を打ったということです。以前のように、会派の調整で決めるという方法に戻しました。これによりぎくしゃくした議会の運営がなくなることが期待できます。

市民ネット 特別委員会の所属
安心のまちづくり調査特別委員会  近藤昭  下市このみ 
大都市制度調査特別委員会  井本文博  長井孝介
都市活力創出調査特別委員会  田原清正 
男女共同参画・次世代育成調査特別委員会  鬼木のぞみ  羽場頼三郎


予算の減額修正と執行凍結に
区民会議と生ごみ処理は準備不足

 二月定例市議会は政令市になる目前の議会でしたが、当局の失態が目立つ結果となりました。大きかったのは区民会議についての予算が事実上否決され、減額修正になったことです。委員会での審査において、区民会議とどのようなことをするのか明確にならず、議会の理解が得られませんでした。

 7年前になりますが、前市長が提案した「アスポのエックススポーツジャパンに8千万円近くの出資をする予算を削ったことがあります。私が当時建設委員をしていて、巨額の赤字をかかえるエックス社への出資は市民の税金の無駄遣いに直結すると徹底的に反対して委員会の大勢を動かしました。減額修正はそれ以来のことです。

 さらに、文教委員会で給食残渣の堆肥化についての説明ができず、予算は認められたものの執行凍結と言う事態になりました。生ごみのリサイクルと言う、実に前向きな事業のはずが議会の理解が得られないのは、あまり感心しません。当局の準備不足なのでしょうが、リサイクルについて本気で取り組む姿勢が足りないのかも知れません。形だけの資源循環システムの構築になってしまっている恐れがあります。

土地の塩漬けが議論に

 二月議会本会議の最終日を前に開かれた委員会で、少し毛色の違った議論がなされました。唐突に土地開発公社からの買戻しのための予算がかけられたからです。安宅市政の時に岡南環境センター北川の隣接地をリサイクル施設の用地として買収していたものを、萩原市政になって「狭すぎる。近所から騒音の苦情が来るかもしれない」と、突然利用目的を変更して、「タマホーム」に貸し付けていた土地がありました。それを公社から市が買い取ると言うものです。

 開発公社は、かつて土地価格が急激に上昇していた頃、早めに手に入れないと買取が不可能になるために導入された便法です。公社といっても市に事務所を置き、市の職員が業務を行います。土地購入に当たっては、その資金を市が保証して銀行などから借りて支払います。名義はとりあえず公社に移りますから、これを市の名義にすることを買い戻しというわけです。これを乱用すると、市が必要以上に土地を買って、使わないまま放置されること(いわゆる塩漬け)が多いため、各自治体で問題となっています。

 委員会では、議会のチェック機能を果たすために「土地利用の用途変更を事前に議会が同意することを求める原則」から外れているのではないかということが議論となりました。当局は、その土地がすでに別の目的で利用されていることを理由に手続きをすることを省略したと弁明しました。確かに今回の事例では土地の塩漬けを結果的にさせないことでもあり、最終的には予算は認めることにしましたが、今後もきびしいチェックが必要と思います。


広域連合議会に新風を

 後期高齢者医療制度がはじまり、岡山県にもその運営のための広域連合という組織ができています。そこに組合議会が置かれていますが、市議会の代表はわずか3人です。

 県内の各自治体の事情や意見を反映させるには少なすぎます。これまで、3人がすべて県南の議会から出ていて、しかも男性ばかりです。県北の深刻な高齢化の実情を直接訴えることが出来ていないのは問題ですし、高齢化社会の中で女性の果たす役割が大きいことは言うまでもありません。議員の補欠選挙が行われる機会に「県北から女性の声を」と考えて、津山市議会の黒見節子議員を候補者として応援することにしました。

 立候補するには37人の推薦人が必要でしたが、知り合いの議員にお願いして最終的には66人の方になっていただきました。この規定は、事実上意欲ある議員の参加に道を閉ざすもので、改正が必要です。はじめてのことでかなり戸惑いもありましたが、手探りで運動を広げて当選を果たすことが出来ました。各議会の選挙の集計は以下の通りです。

  黒見節子 大橋 賢 田辺昭夫 定数
新見市 7 15 1 24
美作市 15 5 2 25
井原市 6 10 7 25
真庭市 28 5 4 40
総社市 12 10 1 24
備前市 6 14 4 25
浅口市 8 13 2 23
倉敷市 4 27 12 42
岡山市 16 28 6 52
玉野市 14 5 2 21
津山市 25 5 2 31
高梁市 11 8 3 25
笠岡市 15 6 2 24
瀬戸内市 8 11 4 23
赤磐市 14 5 3 22
合計 189 167 55 426

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