2009年2月 203号 羽場頼三郎

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今井正章筆
支持なし総理と市民を忘れた市長 小松露池の浄化装置はなぜついている
安易な産廃の許可は、誰のためだ 全会一致で専決処分(控訴)を不承認


支持なし総理と市民を忘れた市長

国にただ従うだけの市政では未来なし

 海の向こうのアメリカでは、歴史上初めて黒人系オバマ大統領が誕生し、未曾有の経済・政治の危機に大鉈を振るうと宣言して国民の圧倒的な支持を得ています。しかし、わが日本ではリーダーシップを発揮すべき総理大臣が生彩をおおいに欠いています。オバマ大統領の就任演説と麻生総理の所信表明演説とを比べれば歴然としています。

 民主党の中で大本命クリントンを制し、かつ国民を二分する選挙を勝って、人種、性別、政党などの壁を乗り越えようと訴えるオバマ氏には未来が感じられます。残念ながら、選挙の洗礼を受けることなく選出された安部、福田を引き継いでの麻生氏には、総選挙をしないから総理でいる現在しかありません。「選挙より政策」「百年に一度の経済危機に立ち向かう」といった言葉があまりにも虚しいのは、どうせ選挙をしたら負けるに決まっていると誰もが感じているからではないでしょうか。

 その麻生総理がやろうとしている「定額給付金」を何の批判も無く受け入れ、実施しようというのが岡山市です。実施のための経費や混乱を考えて適切な判断を国に求めるのが、「市民のための市政」ではないでしょうか。条例を悪用した上に、市民の声を無視した不見識きわまるラウンドワン開発許可がまさにそれです。市民のために仕事をしているとは、とても思えません。

 これまでも、市民の意向を無視して、十分な準備も哲学も無く実施したごみの有料化、シルバー財団に対する不適切な延命策、職員採用の三年凍結、アスポの解決回避、税金無駄遣いの証明書自動交付機導入など、汚点が目につく高谷市政にいずれ市民の断を下さなければならい日が迫っています。

2009年2月10日  岡山市議会議員 羽場頼三郎


安易な産廃の許可は、誰のためだ
御津地区と市民の意思を尊重するのが行政

 御津に計画されている産廃の処分場について、この許可権限を持つ市長の判断が注目されています。議会は、かつての御津町議会に続き、合併後の岡山市議会でも「設置反対」の決議を全会一致で可決しています。

 誰しも、自分の住んでいるところにごみの埋め立て場を造ることに賛成しません。特にここは旭川の上流であり、市内の飲み水が採取されている浄水場が下流にあります。市民の反対の声が起きるのも無理からぬことです。この市民の声を行政=市長がどう吸い上げるかが問題です。

 業者にも、もちろん言い分があります。「法律で定められている条件はクリアしている。産廃はどこかで処分しなければならない以上、認めてもらわなければ企業が困る。企業が困れば、市民も困るはず」こう言うでしょう。しかし、「書類が整いましたから許可を出します」では、誰のための行政かわかりません。市民にとってベストの判断が求められます。市民の不安が解消されているか、企業のご都合主義に陥っていないか。そこを判断するのが市長なのです。しかし、これまでの動きを見ていると、条例で求められている地元説明会では、地元の参加は少なく、かき集めた人による説明会でしかありません。地元同意の範囲もきわめて狭い地域であり、そこに開発業者から金がばら撒かれたという疑惑は晴らされていません。手続きというものはルールなのですから、厳格に進めなければ、法の無視という批判を受けます。

 近くにも、産廃の許可が出されるという雰囲気ですが、市長がどちらを向いて仕事をしているかの判断材料になるのは間違いありません。


小松露池の浄化装置はなぜついている
半永久的に岡山市は産廃処分場のお守りをするのか

 十一月議会の質問で、小松露池の浄化装置を取り上げました。市内の箕島にその池はありますが、早島町との境に接していて、池から流れ出た水は早島町の水路に流れ込んでいます。池の西側は早島との市境であり、東側は斜面となっていて産廃の処分場しか見えません。この池に二十年前から浄化装置がついていた事は私たちが調査をするまでは、まったく明らかにされていませんでした。こちらからの問い合わせに、当初は地元の支所でも事情が分からない様子でした。池から流れ出る水に、濁りと臭気があるという早島町の住民からの苦情で、岡山市が5基の浄化装置をつけたことが判明したのですが、細かい事情は不明です。問題は二つです。直近の処分場と水の汚れに因果関係があるのか。因果関係が証明されない場合に市がどこまで責任を取るのか。

 市が因果関係について調査をしたことはないし、今後もその予定はないそうです。許可を出したのが岡山県と岡山市の両方であって、責任があいまいなことも起因しているのかもしれません。

 事業者との因果関係が不明でも、浄化装置をつけるということは、つまり岡山市が責任を取ったことになるわけですが、それでいいのでしょうか。今後、同じような場合にも責任を取るのでしょうか。また、いつまで責任を取るというのでしょうか。そこが明確ではありません。

 この直近にある処分場は、御津で許可を求めている業者であり、将来に不安を残さないためにも、単に小松露池だけの問題として放置してはいけません。


全会一致で専決処分(控訴)を不承認
法律に従わず、内規で報酬を支払い敗訴で

 専決処分とは、本来なら議会の議決が必要だが、その時間的ゆとりがない時には、市長が判断してものごとを進めます。責任を明らかにするため、議会の事後承認を求めることになっています。しかし、十一月定例会ではその専決が不承認になりました。私も聞いたことがない事態です。

 市民ネットのメンバーであり、民主党の田原清正議員が起こした裁判が、岡山市の全面敗訴になりました。市内のある地区の町内会内のトラブルを解決するために、市が設置した委員会で、その委員に対して支払った報酬が不当であり、市長はその額を岡山市に返還せよ、という内容です。

 まず、町内会内のトラブルに市が介入することは、本来認められることではありません。もしそれを認めたとしても、委員に報酬を支払うには条例上の根拠が必要だということは、法律で決められています。市はそれを無視して、内規である「要綱」で支払いを実行してしまいました。これが違法であることは明らかです。

 裁判に先立つ市の監査委員の判断でも、「違法」であるとしています。ただし、違法であっても委員が何らかの仕事をしているので報酬の返還までは必要でないと言っていました。裁判所は「違法な支払いは不当」という常識的な判断を示しました。この敗訴判決に対しての控訴手続きをしたので、これを承認してもらいたいと言ってきました。

 法律を無視しておいて、さらに控訴するのはおかしい。議会選出の監査委員も違法と認定している。などといった意見が続出して、全会一致で「不承認」になりました。控訴自体は取り消しにはなりませんが、市長の責任は大変重いものがあります。


水俣の甘夏と私

 思い起こせば三十年になりますが、水俣病が深刻な健康被害として社会問題となっていました。初めは原因不明の奇病と言われましたが、地元の「チッソ」が垂れ流した水銀が原因と判ったものの、それまで豊かな海で成り立っていた漁業ができなくなりました。

 患者やその家族は、網を鍬に持ち替えて山に向かい、畑をたがやし蜜柑の栽培を始めました。自分たちが健康被害にあったことから、農薬をほとんど使わず、有機肥料で栽培した甘夏は気候に恵まれて豊作でした。

 しかし、問題はその次でした。水俣病に対する誤解から、せっかくの甘夏が売れません。ひどいのは「甘夏を食べれば水俣病になる」という人もいました。これでは、患者や家族の方々の生活ができません。

 生産者と消費者が離れていることが、大きな原因でした。そこで、生産者は誰がどのような方法で甘夏を作ったかを明らかにし、消費者はその情報を合わせて甘夏を買うことで、新しい関係作りをはじめました。当時東京にいた私は、自分でできる水俣病患者支援をと思い積極的にこの産直運動に参加しました。岡山に帰ってからも、水俣の生産者グループきばるの方々と連絡をとり、共同購入を続けてきています。


2009年2月 203号 羽場頼三郎

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