2008年10月 202号 | 羽場頼三郎 |
税金のムダ使いに無神経な岡山市 | 環消水の委員会は裏取引で有料化可決? |
議会の情報公開や議論の明確化など | 決算委員会を重視 |
市の金でなければそれでいいのか税金のムダ使いに無神経な岡山市
税金の無駄遣いをやめる。当然のことですが、なかなかできない。岡山市も九月議会で、それができないことを明らかにしました。
住民票の写しや印鑑証明書などの自動交付機を導入すれば、確かに市民の便宜がはかれるとは思います。時間外や休日などに機械で証明書が発行されれば、助かります。しかし、そのために必要以上の経費がかかり、税金が無用に投入されるなら、やるべきではないことも確かです。
六月議会で凍結された「証明書自動交付機」の予算は、委員会で解除され、それを運用するための条例がすべて賛成多数で成立しました。この条例は成立をさせるべきではありませんでした。なぜかといえば、多額の税金がつかわれることを認めてしまう結果になってしまうからです。交付機をつかうにはカードが必要です。そのカードが問題です。今、岡山市では印鑑証明のための登録証(紙製)が発行されています。これをカード化するのはいいでしょう。印鑑証明が必要ない人に専用カードを発行することも費用はほとんどかかりません。一枚五十円くらいだそうです。しかし、評判のあまり良くない「住民基本台帳ネットワーク」のカードを使えるようにするための補助金が無駄金です。一枚約ニ千円かかりますが、その費用を国の金でまかなう計画です。その補助金をもらうためには市民の一割七万枚の発行が必要です。五百円の、手数料をもらっても、千五百円×七万で一億円以上の税金がつかわれます。それを指摘した羽場の質問に対して、「市税の持ち出しはほとんどないから」と当局は平気で答弁しました。国の税金もわれわれが負担していることをまったく考慮していません。こんな人たちに市や国を任せていては財政難になるはずです。2008年10月29日 岡山市議会議員 羽場頼三郎
議会の情報公開や議論の明確化など
反対討論や質疑などで態度を表明9月議会の最終日には、市民ネットが中心となって、議会の良識を目覚めさせる動きをしました。
まず、証明書の自動交付機を認める条例に鬼木のぞみ議員が反対討論をしました。また、議会での議員の賛否をインターネットのホームページ上で明らかにしてもらいたいという陳情の不採択に反対する討論を近藤昭議員が行いました。われわれ市民ネットがなぜ反対したのか、税金の無駄遣いを認めない、議会の公開性をたかめるべきだとするといった理由を明確にするためです。
そして議会運営委員会では下市このみ議員が「廃棄物条例(ごみの有料化)」の採決を記名投票でするように求めました。誰が賛成したか反対したかを公にするためです。これにたいして、新風会、ゆうあいクラブ、政隆会、公明党が無記名投票を提案し、表決がなされましたが、賛成多数で結局記名投票にはなりませんでした。
さらに、ごみの有料化を決めた環消水の委員会の委員長報告に対して質疑を田原清正議員が行いました。裏取引などについての疑問を明確にさせるためです。委員長も議員であり、議員同士がやりあうことになるのでこうした「質疑」はあまり行われませんが、委員会に出席していない議員としては、必要があれば当然するべきです。議員定数を議運が決めた際に、羽場が当時の委員長に対して、審議の中身について質疑を行ったことがあります。こうした議員に与えられている権利を眠らせてはいけないと考えています。
不公平是正の修正条例を提案する
条例提案は、本来のあり方が問われ、活性化が求められている議会の切り札です。これまで、当局提案の条例を審査・可決するのが当然と考えてきた議員の意識改革のためにも積極的に権限行使をしてきました。アメリカのように一人でも提案ができればもっといいのですが、我が議会では5人の提案者が必要です。
これまで病院事業管理者の不当報酬の廃止など実際に行ってきましたが、ごみ有料化に関しても、合併地区との不平等解消のため、条例提案をしました。
灘崎、御津、瀬戸は以前からごみ有料化に踏み切っていましたが、合併後も旧市内と一緒になるはずの制度が統一されず、放置されていました。何の見返りもありません。だとすれば、いったんは旧岡山市と同じく無料にし、住民の合意を得た上であらためて提案をするのが筋だと考え、地元の皆様の声にもこたえる形で条例の修正案を出しました。
市民ネットを代表して下市このみ議員がてその趣旨を訴えましたが、結果は不採択。同調したのは共産党の5人だけでした。しかし、今後も7人の会派である市民ネットはいつでも条例を提案できるので、必要なときには権利を錆びつかせないつもりです。
環消水の委員会は裏取引で有料化可決?
これまでと異なり反対から賛成多数に9月議会の最大の焦点になったのが、家庭ごみの有料化条例でした。これまで、このリポートまで明らかにしてきたように、負担の公平化を図るためには有料化は必要と考えてきました。しかし、今回、市が推し進めてきた条例は、理念も方法も納得できないもので、強い疑念を感じてきました。2月、6月議会での「継続審査」も当然のことと受け止めていました。
この議会でも、強硬に全面突破を一図る当局と慎重に審議したい議会とは空気が違っていました。しかし、議会の一部保守会派と公明党が採決をみとめる動きをして、これが結局、賛成多数への流れを作りました。
審査をしていた環境消防水道委員会の構成は、委員長が保守の新風会、副委員長が公明党、保守+連合系のゆうあいクラブが2名、保守の政隆会が2名と市民ネットの羽場、共産党の各1名の計8人です。採決を促したのは和気委員長で、賛成は松田、有井、升永、礒谷、小川の各委員。反対は羽場と河田の2名のみでした。ここにいたるまでに、水面下の動きがあったようです。一部の委員からは45リットル袋を50円から45円に引き下げることで当局との妥協をはかる動きがありましたが、拒否されたようです。それに代えて町内会に補助金を上乗せする案が出て、当局が約束(取引)をしたのではないかという事実が一部委員会で明らかになりました。ごみ有料化の混乱が納まるまでというあいまいな時期が示されています。
いずれにしても、そんなことまでしてごみを有料化するのは健全な市政とはいえず、市民の不信をつのらせるだけです。
本会議は19対31
ごみの有料化を審議していた環境消防水道委員会ですが、結局、当局案をそのまま認めて本会議にかけられました。委員をつとめていた羽場としては(1)市民の納得が得られていない(2)新しいごみ行政が充分に示されていないなどの理由で反対しました。
これには市民ネット全員が同一歩調を取りましたが、本会議では19対31の大差で賛成が多数を占めました。投票が無記名になったことで、本音は反対の議員が会派のしばりから逃れるのではという見方もありましたが、そうはなりませんでした。
反対したのは市民ネット6人と共産党5人とゆうあいの田中、若井議員と新風会の一部ではないかと思われますが、確かなことは分りません。
決算委員会を重視
病院会計の一部は認められない
9月議会と11月議会の間に、昨年度の決算審査が行われています。岡山市の一般会計、特別会計、企業会計をそれぞれ3つの特別委員会に分かれて審査します。
昨年は一般会計の決算委員会に所属しましたが、今年は企業会計の委員会に入りました。消防、病院、水道の会計を3日に分けて審査したのですが、病院事業会計については近藤議員とともに「不認定」の意思表示をしました。なぜなら、病院事業そのものについての決算に不法性、不当性は見つからなかったのですが、裁判費用が出されていることにひっかかりました。
以前の病院事業管理者に対して支払われた8千万円、支払い保留の7千万円のいずれも法律に反する条例による違法な支出とする判決が確定したからです。この条例は、前萩原市長がわれわれの反対にもかかわらず制度をつくりました。これをなくすための条例を私たちが二度にわたって提案した因縁のある件です。しかも、岡山地裁で敗訴したにもかかわらず、広島高裁に控訴して敗訴し、最高裁にまで上告して却下されました。途中で市長が交代したにもかかわらず、裁判だけは無用にも引き継いだわけですから、この支出は認められないと判断しました。
決算は不認定になったからといって、支出そのものは無効になるわけではありません。政治責任が生じることにはなります。この結果は本会議にかかりますが、市民ネットの主張に同調する議員はおそらく5人(共産党)だけと思われますので、最終的には認定されるでしょう。残念ながら。
2008年10月 202号 | 羽場頼三郎 |