2007年10月 195号 | 羽場頼三郎 |
岡山市は暴力に屈する街なのか | 不透明シルバーへの予算凍結で当局に釘 |
3区か4区、それとも6区にするか | 不可解な会議の非公開、市民病院をつぶす気か |
金剛山歌劇団にシンフォニーホールの使用を不許可岡山市は暴力に屈する街なのか
市長の言葉には、本当に失望しました。金剛山歌劇団に市のシンフォニーホールを貸し出さないということで、その理由が「右翼の妨害が近所の迷惑になるから」というもの。それでは、「岡山が暴力に屈する街になる」ので、それでもいいのか、と質問しましたが、その答えを担当局長に答えさせました。私は、市長の政治姿勢を聞いているので、本人が答えるべきだとの再質問に、「部下のいうことは私の言うこと」との開き直り。
右翼の妨害が「他の利用者に迷惑をかける」というのは、単なる言い逃れです。金剛山歌劇団が朝鮮総連系の団体であることが、不許可の理由であることは容易に推測できます。現に、和気議員の「北朝鮮に圧力をかけるためだとはっきり言うべきだ」という趣旨の質問に対し、市長は「私も同じ気持ちだ」と答えているのですから。これでは公平な行政とはいえません。集会・結社の自由を認めている憲法にも違反します。
かつて岡山県が、同じように教員組合が使う会場の利用許可を取り消し、混乱を拡大しました。そしてその後は、右翼の街宣車が大きな顔をして県庁や市役所に押しかけるのがよく見かけられるようになりました。脅しをかければ行政はこちらの言い分を飲むという、味をしめてしまったのです。これこそ、暴力団や右翼が狙っていたところです。市長がその狙いを知らずに判断をしたなら、軽率のそしりをまぬかれず、知っていたなら同罪です。2007年10月10日 岡山市議会議員 羽場頼三郎
3区か4区、それとも6区にするか
市議会の議論が煮詰まっています
政令市の特徴の大きなものは、市をいくつかに分けて行政を行うことです。市議や県議の選挙も区ごとに行われます。選管なども区に置かれます。しかし、東京都の特例区と違い公選の区長や区議会はありません。区役所にかなりの権限を与えることは大方の合意ですが、いくつに分割するかは意見が分かれています。
政令市指定を前に、区割りが議論されています。審議会は、3区案を出してきました。これには、議会内で異論、反論が続出です。それというのも、審議会が議会の意向は無視すると伝えられたことや、それぞれの地域事情がからみあっているからです。
区割りのもとは10年前の「総合支所構想」です。そこでは、福祉区を意識して市内を6つに分けました。将来は福祉が行政の主要な仕事だ、ということがその前提でした。その要素は、変らないどころか、より強くなったと言うべきです。 また、合併により、市域が広がり、人口が増えています。区を増やすことはあっても、減らす理由はありません。
審議会が3区としたのは、(1)人口が23万前後でバランスが取れる、(2)都市と農村が含まれる、(3)区役所をたくさん作らないので金がかからない、ことを理由にしています。これには(1)10万人程度が適正規模、(2)都市としての性格があいまいになる、(3)区役所も作れないような財政では政令市をつくれないはず、住民本位の発想ではない、といった反論があります。
審議会の考えでは、人口バランスと区役所設置の費用節減を重く見ています。バランスは6区でも取れていますし、費用がかかるから区役所を減らすというのは本末転倒です。区役所は住民の都合で決めるものです。
審議会が3区しか提案しなかったことや、市が説明会を10箇所程度でしか行わないことなども批判の対象になっています。
特に、旭川東岸地区では人口が24万人なのに区が一つであることと西大寺支所が区役所に決められていることに反発が強いようです。歴史的な背景もあり、調整が困難ではないかと思われます。
3区でよいとしているのは、公明党だけで、他の会派は3区、4区、6区の意見がそれぞれにあり、すぐにまとまるとは思えません。
十一月議会には、議会決議という手続きが予定されていますので、ただ、批判ばかりではなく、市民にとってなにがベストか、またはベターかという判断が求められてきます。
返済計画なしでは貸し付けできません
不透明シルバーへの予算凍結で当局に釘9月議会にシルバー人材センターへの一億2千万円の貸し付けが提案されましたが、基本財産が無くなっているなど、審議の過程で問題が次々に明らかになりました。
市が5千万円を出して作った財団が、2億円近い大赤字をかかえていながら、原因すら明らかになっていません。責任の所在も不明です。放漫経営が続いていたことは明らかになりましたが、それがこのような巨額の赤字に結びついている経過が明らかではありません。誰が関与していたのかすら、分りません。理事長も事務局長も市のOBで、私も知っていますが、かなりの人物です。無能な人ではないはず。その方々でも分らなかったとしたら、赤字隠しの操作はよほど巧みだったのでしょう。
貸付金の用途は、2千万円が運転資金で残りは借り入れ返済です。借入先は、市の公園協会と厚生会です。いずれも市の外郭団体ですので、こうした融資が適正に行われたのかどうかもあやしいという指摘もあります。担保は取っておらず、簡単に金が動いています。これも問題です。
高齢者の生きがい対策は必要です。しかし、貸し付けた一億2千万円が返ってくる可能性はゼロに等しいのに、これを認めることは税金投入を意味します。安易に認めるわけにはいきません。
議会の最終局面で、議決はするものの、「凍結」することになりました。法的に拘束力はありませんが、事実上予算執行はできません。凍結解除の条件は、(1)原因究明、(2)責任の明示、(3)返済計画、ですが、最後の返済計画に市の税金を投入することが許されないことが確認されています。
不可解な会議の非公開
市民病院をつぶす気か
市民病院のあり方研究会では、「病院存続」の結論が出ています。さらに、経営に関しての「専門会議」で、問題点を煮詰めることになっています。市がその会議を設置したのはいいのですが、それが非公開なのです。
市民ネットでは、8月1日、この専門会議を公開でするように市長に申し入れました。この件についての新聞記事(オカニチ)では、「報道陣に資料さえ提供されず、今後のスケジュールも示されない異例の運営」です。
市民病院は存続の方向、ということで多くの市民は安心しておられると思いますが、市長は「廃止」の考えを捨てていないそうです。非公開の中でどのようなこじ付けが行われ、病院廃止の結論が出るとも限りません。
当局は、非公開の理由を「内部機関だから」といいますが、内部の会議だから非公開にしなければならないとは限りません。市がお願いする専門家をわざわざ「嘱託」の身分にして、職員になったのだから内部の議論だというわけです。このこと自体おかしなことです。
2007年10月 195号 | 市民リポート |