2007年7月 193号 羽場頼三郎

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今井正章筆
おかやま国際音楽祭のプロデューサー採用問題 高谷市政の汚点 間違いは不当な開発許可だ
羽場が久々に登壇して市長・当局と対峙 合併地区の格差解消をただす 水道料金と市外局番


手順をまちがうと市政混乱のもとになりますよ

おかやま国際音楽祭のプロデューサー採用問題

 おかやま国際音楽祭が、6月議会で問題となっています。これまでは実行委員会がこの運営をしてきましたが、突然市長と懇意なプロデューサーを入れたことで、不明朗だと指摘されています。

 市長は、「良い音楽祭にするため、専門家であるプロデューサーにお願いした。採用は、入札になじまない」と説明したが、説明になっていない。入札になじむか、なじまないかを、市長が勝手に判断をして良いものではありません。こんな独走が、市政に混乱を起こします。その独走を周囲の職員が止められないのが、情けない限りです。

 デジタルミュージアムの店舗契約が同様であり、職員の三年間採用凍結がよく似た話です。例の、福田地区のラウンドワンに対する不当な開発許可も同じです。黒を白だと言い張るのですから。市民の声、市のルールを無視したという意味では、むしろ暴走と言うべきでしょう。この暴走市長が「安倍総理とは懇意であり、右翼などではなく立派な人だ」といった、議会答弁をしています。国民の声を無視し、国会のルールを無視して強行採決を繰り返す安倍総理も暴走政治家のようだから、同じ体質をお持ちのようだというと失礼でしょうか。

 二年ぶりに質問(この二年間は副議長のためしなかった)に立ちましたが、あらためて市長の独走による市政の歪みを感じました。こうした歪みをただすことが、議会の仕事だと強く感じました。

2007年7月10日  岡山市議会議員 羽場頼三郎


羽場が久々に登壇して市長・当局と対峙

市政の問題点をえぐることに力をそそぐ

選挙後、はじめての定例議会が開かれ、久しぶりに羽場頼三郎が市民ネットの代表として質問をしました。市長の政治姿勢として、(1)財政危機、(2)3年間の採用停止、(3)特例区長、委員の給料・報酬、(4)開発許可について見解を求めました。市長自身の答弁はなく、満足すべき内容はゼロに等しいものでした。

財政危機とは言うが 

 NHKの特別番組で取り上げられた、岡山市ですが、「市の借金が予算の3倍の7000億円あり、夕張市に続く財政危機」という印象を与えたことを問題視すべきです。

 借金といわれている中に、下水道建設がありますがこれは、将来の市民が料金として支払うもので自治体の負担と考えるべきではありません。また、予算全額ではなく一般会計の予算額です。このように正確ではない数字をあげて危機感をあおるべきではないこと。2年後に政令市をめざす方向と矛盾すること。内容的にも、改革に取り組む市長が善玉に、抵抗勢力として議会や職員が悪玉になっているのは見逃すわけにはいきません。

 これを、市は取材を許しただけで、作ったのはNHKだ、とか弁解していますが、この番組を見ることを議員や市民に市が広報したのですから、言い訳はできません。
財政状態を正確に把握することなく、危機感をあおることは、扇動政治そのものです。

3年採用停止は愚策

 新規職員の3年間採用凍結は、高谷行革の目玉といっていいかもしれません。しかし、職員の世代断絶を生み、将来の市政運営に支障をきたす恐れが大きいとの指摘をしました。さらに、優秀な職員が逃げること、市への就職希望が断たれた者は救われないことなどが他の議員からも指摘されています。

 法律で定員の定まっている職員については採用する、との答弁はまったく筋違いです。こちらが聞いているのは、一般の職員の話なのですから。まともに答弁しようという気が無い証拠です。

 職員を単なる「ごくつぶし」のように言うのは、まちがいです。「人材」として、いかに活用するかという発想が抜けています。行革イコール人減らしではありません。財政危機にあっても、人材を削るのは、最後の最後の手段です。そうした優先順位についての認識もずれているようです。

多すぎる区長の給料 

 特例区長は、支所長と兼任していましたが、弊害が指摘されてこれを止めました。それ自体は当然です。しかし、その給料が問題です。

 これまで、月に61万7千円が支払われていましたが、別に支所長(給料約50万円)が任命されて、仕事のほとんどがそちらに移ったにもかかわらず、今後も61万5千円だそうです。

 また、特例区協議会の委員は月一回の出席で10万円の報酬です。これには住民のきびしい批判があります。これらを、費用弁償、一日でればいくらといった方式、にかえたらどうかと提案しましたが、区長の給料と同じく現行どおりしか考えていないようです。

審議監制度はプラスか

 高谷市長が行革の一環として導入したのが、審議監制度です。市長→局長→部長→課長というピラミッド型組織から部長を抜いて、組織の簡素化とマトリックスにして縦割り行政の弊害を取り除くことが目的だそうです。これだと、いいことのように聞こえますが、実際はとても上手くいっているようには見えません。

 まず、マトリックスとはなにかが分っていない状態です。市民から見ても、名前からでは、なにを担当しているか分りません。議会事務局の審議監など良い例です。責任の所在が分りにくいとの批判もあります。部長職は無くなっても、人がいなくなるわけではありませんから、人件費が減るわけでもありません。極端に言えば、名札が変わっただけです。意味のない「改革」という人すらいます。

 それを、「良くなった」と胸を張って言うわけですから、行く末が心配です。事実を直視しない改革が、成功するとは思えません。


高谷市政の汚点 間違いは不当な開発許可だ
法と条例をねじまげて福田にラウンドワンの建設を認める

 高谷市長が下した判断で、最大の間違いの一つが、ラウンドワンに対する「開発許可」です。開発が本来できない区域にありながら、規制緩和の一環で作られた条例を悪用して一企業に便宜をはかりました。

 条例では、許可の条件として(1)公益性、(2)地元の積極的同意をあげています。学校のすぐそばに大型遊戯施設を作ることが公益になるとは、常識では考えられません。市長がその公益性を判断できるような「内規」を勝手に作っているのですから、条例の骨抜きそのものです。そして、地元の学区をあげての反対、住民の8割を超える反対署名、地元町内会長の半数の反対表明、これら全てを無視して「地元は賛成している」と言う神経が分りません。

 法やルールを無視する市長には、「市民のための市政」を語る資格はありません。これをそのままにすることは、高谷市政の汚点になるので、即刻「許可取り消し」を求めたのですが、聞く耳を持たないようです。この問題に限らず、市長の周囲には「間違いは、間違い」という人がいないのが残念です。イエスマンに囲まれた市長が「裸の王様」になるのを見ているのは、情けない限りです。これからも、機会を見つけては市政の歪みを正す直言を続けるしかないようです。


合併地区の格差解消をただす
水道料金と市外局番

 合併地区の格差是正と題して、水道料金、市外局番の扱いについて当局の見解を質しました。

 合併した御津、瀬戸、建部地区は、水道料金が岡山市より高いことは、問題です。新しく岡山市民になられた方が、歴然とした格差と感じられるなら、新市の一体感を醸成して政令市に臨むなどということは、言葉が空回りするだけです。

 同じ市民なのですから、同一料金が当たり前です。これを、5年間の合併特例区と同じように考える必要はありません。「5年以内」に条件が整った地域から、料金の改定をすればよいのでは。

 これに対して、市の水道局は前向きな姿勢を示しました。なお、灘崎は倉敷から水を買っていた関係(設備が不要)で、比較的安いのだそうです。

 市外局番が統一されないのは、市民生活にとっては不便なので、これも早期解決を求めました。

 当局も、管轄する総務省に働きかけを行うことを明らかにしました。


2007年7月 193号 市民リポート

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