2006年9月 185号 羽場頼三郎

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羽場頼三郎 市民リポート
サラ金規制を「規制」するのは誰だ プールの安全管理に市・教育委員会は手を抜くな
不動産の二者鑑定廃止と結果の公表を求めます 9月補正予算の中身
市土地開発公社は本当に必要か 編集後記


サラ金規制を「規制」するのは誰だ
与党が日本と岡山を悪くする時

議会を議会でなくしてしまうことも

後藤田正純政務官が辞職したことが、小さく報道されました。サラ金の異常な高金利の温床は法の盲点にあると指摘され、法改正が検討されていますが、小額短期の貸付を特例にしようとする動きが表面化し、それに抗議したもののようです。後藤田正晴氏の血筋を引く氏は、同じ様な硬骨漢のようで、拍手を送りたい気持ちです。それにしても、サラ金のテレビ宣伝はすごい。駅前の一等地にも大きな看板が目立ちます。それだけ、儲けているということなのでしょう。

法改正を捻じ曲げる圧力は、貸し金業界から献金を受けている与党政治家のところから出ているといわれています。まことに情けない。権力を握る与党が、その権力を国民のために使わない。それを許す土壌(役所と国民に)がまだ日本には存在するようです。このような政治を変えるのは選挙しかありません。もっとも、昨年のような馬鹿馬鹿しい結果を出すこともありますが。

岡山市議会には、厳密には与党・野党は存在しません。地方の議会は、国と違い責任内閣制ではないからです。しかし、おかしなもので、与党意識は存在するようです。簡単にいえば、市長との距離が近いから与党という分類になり、与党意識とは、与党なら市役所に無理が言え、その代わり当局提案には全面的に賛成するのが当然というものです。これが、議会のチェック機能を有名無実にしてしまうようです。旭川荘への土地無償貸付、三丁目劇場、アスポ、さい東町公園、大野小学校プールなど、前市長にまつわる疑惑を生んだ大きな原因となっています。

国も地方も、政治を変える意志と行動が必要です。

2006年9月14日  岡山市議会議員 羽場頼三郎


不動産の二者鑑定廃止と結果の公表を求めます
経費の節減と土地売買の明朗化のために

岡山市が土地を買うときや売るときに、その値段を決めるため不動産鑑定士に鑑定をお願いします。1億円以上の場合には二人に鑑定を依頼します。なぜ、二人なのか、鑑定結果がなぜ公表されないのか。いずれも疑問に思い、これまでも改善を求めてきたところです。

不動産鑑定士は国家資格であり、司法試験に匹敵する難関です。その鑑定は権威の高いものです。これまでの二者鑑定で、価格が相違したことは皆無だそうです。かつて、鑑定が市の意向に添ったものではないかという疑惑があり、その懸念をなくすために鑑定を複数にしたのがことのはじまりです。この提案をしたのは他でもない、私ですので経緯はよく知っています。行政と鑑定士の馴れ合いを心配するなら、広島市のように鑑定士の人選を協会に任せればすむことです。余分な出費は止めるべきです。

鑑定の結果も公表されません。これも問題です。鑑定費用は市のお金で支払われます。市民には知る権利があります。しかし、当局は土地売買の際の価格は他に影響があるとして、公表を拒んできました。かつて決算委員会などで問題となり、委員会を秘密会にして委員にのみ価格が示されたことがありますが、あくまでも例外です。しかも、議員の反対で秘密会にもならなかった例もあります。国土庁は取引価格の公表を進めています。闇の中で取引をすること自体、市のやるべきことではありません。市民の税金の使い道はオープンでなければならず、議会のチェックも可能でなければいけません。


市土地開発公社は本当に必要か

岡山市が土地を買うときに、普通の買い方以外に二つの方法があるのをご存知でしょうか。土地購入の特別会計と開発公社による買い入れです。

問題は後者(公社)にあります。これは、バブル期のように土地の価格が上昇を続けていて、早く買わないと公共の土地利用が困難になってしまうような事態に対処するため、できた制度です。市のために土地を先買いします。議会の了承を得てから買うというものの、議決事項ではないので事実上市の裁量権が大きい制度です。俗に言う土地の塩漬けが生まれやすくなります。

公社は、実質的には市の一部です。市が百%出資し、市の最高幹部(助役)が代表者をし、市役所に設置され、市の職員が事務をしているのですから。でも、市とは別組織だという形式的な理由で市の監査も及びません。これは監査の規定が不備な自治法にも問題があります。官僚や、国会議員もこれに気がついていません。気がついても、直そうとしません。


ふじみ野市の事故は他人事ではない
プールの安全管理に市・教育委員会は手を抜くな

大野小では変則的な監視体制で一般開放をしています

今年の夏は特に暑かったので、プールに行かれた方も多かったのではないでしょうか。その安全性が問題となったことも記憶に新しいと思います。埼玉県ふじみ野市の市営プールで、ずさんな管理が原因で小学2年生の女の子が命を落としました。岡山市では本当に大丈夫でしょうか。

新しくできた大野小学校のプールは一般開放されるプールですが、3人以上でチームをつくらないと利用できない変則的なものとなっています。その理由をたずねれば、管理が地元なので費用が掛けられず、監視員を充分置くことが出来ないので、利用者が相互監視をするためにこのような利用規則になっているとのことです。えっ、と思ったのは私だけではなかったはず。安全管理の基本から大きくはずれた市の姿勢ではないでしょうか。経費がいくらかかろうと、安全性の確保だけはしなければいけません。当然です。

新設されたプールは市内唯一の屋内・温水プール(学校の中にあるものでは)であり、学校施設として例を見ない豪華さを誇り、建設費用も他と比べて二倍をはるかに越えています。なぜこのようなプールがここにだけできたのか、事情を調べると他でもない前市長の「仕事」としか思えません。この地域に出身高校が存在し、下宿をしていた縁で、在任当時はそこに家を借りて地元と称していた前市長は、その地元への利益誘導をするために思い切った豪華なプールを作らせた。しかし、1校だけ費用をかけすぎるという批判があり、一般開放するからという理由をくっつけた、と思われます。それが無理のはじまりになったといえるのではないでしょうか。

これまで、岡山市は1校1プールという考えで、整備をしてきました。しかし、市内東部の学校では費用節減のため、複数校で利用するように方針を変更しています。一方では、市長の圧力で豪華なプールが与えられ、他方では自校のプールさえ無い。同じ岡山市の子供でありながら、不公平きわまりない。そうした批判が沸き起こるのは、当然かもしれません。

以上が、私の推測どおりの経過なら、反省すべき点は私にもあります。市長のみえすいた地元利益誘導を許し、かつ不公平を見逃した教育委員会、そして市民の安全を軽視したプール管理をしようとする市当局。これらにストップがかけられなかったことです。市政チェックの責任がある議会に席を置く以上、隠された市長の意図も見抜かなければ存在意義が問われます。私が入っている無所属市民の会がプール管理の条例に反対したのは、そうした理由からでもあります。


9月補正予算の中身

総額で13億1300万円の増額、財源は昨年の繰越金です。主なものは次の通り。

安全安心ネットワーク構築(学区内の団体への補助) 729万円
旭川荘愛育寮改築への補助  6171万円
ももぞの学園、青葉作業所への補助  729万円
地域活動支援センターなど 9983万円
産廃処理の電子マニフェスト試行  100万円
園芸作物への支援  458万円
庭瀬・高島駅南口改札の新設  330万円
カネボウ跡地へテーマ館建設  5613万円
アスベスト対策補助  1200万円
瀬戸へ消防支所新設  1億2448万円
三門の消防車両更新  3060万円
地域安全ネットワーク構築(小・中学校への補助) 1180万円
耐震調査 800万円
農林・水産施設災害復旧 1億 206万円
土木施設災害復旧  6553万円
借り入れ先変更  4億4890万円
駅西口エレベータ設置  3500万円

編集後記

大阪の松原市で選挙があり、親友の古川一夫君が3度目の挑戦をしましたが、本当に惜しくも8票差の次点でした。反省しきりです。そして、選挙の怖さがあらためて身にしみました。来年は他でもない統一自治体選挙の年です。反省を生かさないといけません。


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