2006年5月 182号 羽場頼三郎

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羽場頼三郎 市民リポート
地方自治に対する不当判決が出ました ごみの有料化をはじめた町田市を視察しました
来年の1月22日に瀬戸、建部と合併します 日ごろの生活と環境問題


市民の生活環境は誰が守るのか
地方自治に対する不当判決が出ました

「ラブホテル規制」を認めない裁判所、それに抵抗しない自治体

建設委員会に、ホテル業者から起こされていた訴訟の「岡山市敗訴」の報告がされました。とても納得できない判決です。

判決では、風俗営業法で定めるラブホテル以外のホテルを規制する条例は違法と言っていますが、この法律自体がザル法で、実際に建てられているホテルのほとんどが風営法の規制をはずれるものばかりです。この判決は、法の網をかいくぐる業者の脱法行為を正式に認めたことになります。

住宅地の、しかも病院や学校のすぐそばにラブホテルを建てる計画に対して、近隣の住民の同意を求める岡山市の姿勢のどこが悪いのでしょうか。住民の要請に応えようと言うのが岡山市の条例です。国の不十分な規制で守られない住民は、何を頼りに生活を守れというのでしょうか。自分達の地域のことは自分達で決める、これこそが地方自治というものです。

社会の実態を知らず、地方自治を理解していない判決が出てしまいましたが、これに控訴しないという市の態度にも失望しました。「訴訟に負けると損害賠償が請求されるから」という理屈は成り立ちません。すべての訴訟は、負けると不利になるのは当たり前のことだからです。岡山市は本気で市民を守る気概があるのかどうか、心配になりました。ただ、当局が「住民の熱い要望、願いに自治体がどう取り組んでいくのか、挑戦も含んだ条例の制定だった」といい、そうした姿勢を今後もとりたいと答弁したのが唯一の救いとしか言いようがありません。

2006年5月20日  岡山市議会議員 羽場頼三郎


来年の1月22日に瀬戸、建部と合併します
政令市が見えてきましたが、市議選は激戦必至

3月29日に開かれた建部・瀬戸との合併協議会では、特例区、議員の選挙、上下水道やごみの手数料などが議題とされました。

特例区については私も特に発言を求め、区長と支所長の兼任によって問題が発生していること、その原因に法の規定と異なる規則があることを上げました。また、協議会にしても、チェック機能を果たすためには、人選が公正であること、報酬の決め方もお手盛りにならないように、などを指摘しました。

議員の選挙については、吸収される建部・瀬戸の議会の意向が尊重されるべきだと考えていましたが、両町の意見は真っ二つに分かれました。建部は増員選挙、瀬戸は普通選挙の実施を主張しました。調整がはかられましたが決着が着かず、岡山市議会の判断によることになりました。そこでも意見が割れたので、正副議長に一任され、両町の希望を入れる方式を認めました。結論として、建部は増員特例で1名が選ばれ、瀬戸は我々と同じ選挙をすることになりました。

現在、2ないし3名の立候補が予測され、御津、灘崎の現職も当然出ますし、昨年の補欠選挙に出て大量得票をして落選した人も出るでしょうから、有力候補が多数出馬することになるでしょう。定数も増えることは無いでしょうから、いずれにしても激戦になると予測されます。

上下水道の料金が現在はばらばらなので、早期に統一することが確認されましたが、その時期は4年以内になることが示唆されました。ごみの有料化については、すでに指定袋有料制を実施している町から、岡山市に統一して無料にしてもらいたいとの発言がありましたが、私は、負担の公平のため、岡山市がそれに追いつくべきだと持論を述べました。市長と環境局長は明言を避けたものの、有料制による制度の統一を意識した発言をしました。

4月27日に開かれた第6回の合併協議会では、議案として掛けられたすべての議案の審議が終わったことが確認され、来年の1月22日の合併が正式に決まりました。

岡山市が合併を進めて、来年には69万6千人の人口になります。70万都市になれば「政令市」、といわれていますが、どうなるというのでしょうか。

大都市といわれている大阪や横浜は、以前から政令市として、道・府・県とほぼ同じ自治権が認められています。人口が100万を超えている福岡や神戸も同じです。自治法では50万人を超える市の中から政令で指定したものを特別な市と認めています。

そこでは、行政の単位を区切り、区役所を置いて運営をします。権限も県と肩を並べることになり、道路の管理や児童相談所などの設置をし、独立性の強い自治体となります。


ごみの有料化をはじめた町田市を視察しました
元から減量・負担の公平・リサイクルの推進

5月10日、東京都町田市にお伺いし、吉田つとむ議員とお会いしました。つい先日4期目の当選を果たされたので、まずはそのお祝いを申し上げ、市内の視察に同行をお願いしました。車で30分ぐらいの場所にある「清掃事業部ごみ減量課」に行き、担当の課長さんからお話をうかがったのですが、町田市は人口40万人の都市でありながら、昨年10月に「ごみの有料化」に踏み切ったところであり、以前から実情を知りたいと思っていました。

大変参考になったことを報告します。まず、有料化の動機ですが、予想どおり「ごみの減量化」でした。都下の自治体はどこもごみの埋め立てに苦労しており、日の出町の処分場(埋立地)も先が見えています。国が有料化の方針を出していることもあって、議会と市民の納得をえられたそうです。排出抑制(ごみを作らない、出さない)のための手段としては、かなり効果的だと思います。

次が、「負担の公平化」です。いくら沢山のごみを出しても、極力ごみを減らしても経済的な負担は同じ(ゼロ円なら)だとすれば、資源化や減量化に取り組むのが馬鹿らしい、ということになりかねません。これは「ごみ袋有料制」によって、解決が期待出来ます。ちなみに、町田市の袋は5リットルが10円、10リットルが20円、20リットルが40円、40リットルが80円で売られています。

町田市の特色のひとつは、有料化によって入ってくる収入(経費は除いて)を積み立てて、減量化やリサイクルにのために使うことです。もう一つは、特例として「ボランティア袋」と「おむつ袋」は無料ということです。つまり、街を市民が掃除をして出てきたごみや、子育てや介護のための紙おむつは負担がゼロということです。

町田では違ったようですが、私はごみの有料化を選挙の争点の一つにすべきだと思っています。それによってごみと向き合うことになり、ごみ問題への意識が高まることはまず間違いないからです。



日ごろの生活と環境問題

地球温暖化など環境問題が新聞記事などで目に付きますが、日常生活の中でどのように意識されているのでしょうか。国民生活センターが発行している「たしかな目」6月号に「生活の中の省エネ行動」という記事があります(この元は、内閣府の調査です)。

実際に心がけている省エネ行動は、毎回の調査で増加していて、現在では圧倒的に多数派になってはいます。しかし、目で見える効果が出ているという実感は無いのでは。現に昨年の調査では、(1)「仮に不十分であっても、基本的な自分の生活スタイルは変えないで、不要な電気の消灯や普通に買える範囲での省エネ機器購入などの取り組みを進めるべきだ」、(2)「本格的な省エネ活動には賛成だが、自分の生活スタイルを変えるのは難しいので、相当高価であっても省エネ機器・住宅などを消費者として選択すべき」といった、比較的省エネ派が66.5%以上となっています。

これに対する「電気の消費量を半分に落とすなど、自分の生活スタイルを大きく変えてでも、本格的な省エネ活動に取り組むべき」という積極推進派はまだ全体の4分の1程度にとどまっています。

地球規模で考えると、エネルギー問題は深刻です。限られた資源を生かし、持続可能な発展を意識した事業や施策が必要です。国はもちろんですが、自治体の目標として「環境保全」「省エネ」といったものを掲げなければならない時期に来ていると思います。

「たしかな目」6月号から


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