2006年3月 180号 羽場頼三郎

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羽場頼三郎 市民リポート
熟慮をしての断行か、職員の採用停止 これが問題の「御津」の文書です
旧・御津灘崎町の決算の一部が不認定に 故・森本徹磨県議を悼む
「辞める」「辞めない」の裏に隠れたもの お詫びとお礼


熟慮をしての断行か、職員の採用停止

こどもの医療費無料化も台無しに

どうも、市長は熟慮しなかったようです。二月定例市議会の初日に、職員の新規採用3年間凍結をすると表明しました。直接、間接にそのような非常識なことをしないように言ってきたつもりですが、私の思いは届きませんでした。職員はコストとして考えるべきでない、人材として考えるべきだとの常識が通じないのは残念なことです。

費用の縮減をはかるなら、まず事業の精査をすべきです。人件費を削らざるをえないなら、まず給料や手当てを見直すべきです。人数を減らさざるをえないなら、まず採用人員を少なくすることで対処すべきです。採用をまったくしないというのは、岡山市にとって最悪の非常事態です。市長を始めとする幹部が高給をそのままにしていいはずがありません。市長の高額な退職金を返上するぐらいの覚悟が必要です。私達議員だって報酬の減額や返上を言いだす事態のはずです。

今、失業率が高い時代です。若者は就職難に直面しています。働き口を少しでも多くすることが、社会の要請です。ワークシェアリングなどと言う言葉が出てきたのも、背景に雇用不安があるからです。市長は先頭に立って、地元企業などへ就職の機会を広げることを求めるのが役目です。自分のところの職員の採用をしないでその役目が果たすことが出来るでしょうか。

こどもの医療費無料化を、今年の十月から就学前まで引き上げることを決めました。市長の強力なリーダーシップの現れ、と評価していいかもしれません。しかし、職員の新規採用のストップはこれを打ち消してしまう大失策と言うべきでしょう。

2006/03/07  岡山市議会議員 羽場頼三郎


旧・御津灘崎町の決算の一部が不認定に

本会議の初日に、審査が伸びていた旧御津町と旧灘崎町の決算審査の報告があり、旧町選出の二議員が退席するなか、反対者なしで不認定の決定がなされました。決算委員会で、審査されていた旧町の決算ですが、一般会計を中心に決算が認定されませんでした。ずさんな会計処理や不明朗な支出が出てきたからです。

旧灘崎町の施設利用料金が不法な取り扱いをされていたり、年度をまたがって委託契約を結ぶなど法に違反したうえ、「決算書の金額が正しいものとはいえない」と答弁があるなどの点で認定ができないという報告です。

さらに町長交際費については、他の自治体の首長の当選祝い、国会議員の事務所開きや懇談会など私的なものとの疑いのある支出が明らかになりました。

委託契約についても、契約伺いも予定価格もなく、随意契約の理由書すらないことが指摘され、一般会計の不認定は当然と受け止められています。

旧御津町についても、下水道会計に不審があることが指摘されました。入札において落札率が100%の物が約六割と多すぎる。積算根拠を提出させる指導も行われていない。また、合併後については8000万円までの契約の予定価格は参事が行うことになっているのに、2000万円までの権限しかない支所長(旧町長)が行っていることも明らかにされました。

御津の金川病院は支出負担行為のない公金の支出、一部に領収書、入札見積書の不存在が指摘され、決算書自体の信憑性に問題があると指摘されています。また、八月になって返済されたものの、院長交際費として、職員忘年会、その二次会に支出されていたことも明らかにされました。

さらに、ここでも町長交際費の支出が不法と指摘されました。20万円の架空の支出伝票で現金を引き出し、町長の要求で支払いをしていました。また、ゴルフの町長杯への支出が指摘されたほか、萩原前市長の新春の集いに町長と七人の議員の参加費まで支払われていて、その支出には事務方のチェックがなされていなかったことも明らかになりました。交際費の使途基準がなく、支出の決裁もなく、領収書もないものがある上、決裁者が異なる点について説明ができないなど、法に違反するものと決算委員会は報告しています。なお、決算は不認定になっても支出が無効になるわけではありません。


「辞める」「辞めない」の裏に隠れたもの

御津の支所長兼特例区長の辞める、辞めない事件が起きました。2月3日の決算特別委員会に安信区長の出席を求めたところ、すでに辞表を提出しているからと欠席したことがことの発端です。

決算審査で厳しく追及されていた中で起きたことで、山陽新聞によると「問題が一切ないことを証明するとともに、市議会などのさまざまな指摘に対する抗議」するためとコメント、サンケイ新聞では「市役所本庁の方針に、抗議する形で」辞表を出したと言うことになっています。これが本当なら、市議会の追及が悪いことであり、岡山市が間違っているように言われている訳で、聞き捨てにはできません。また、辞表が受け取られていないのに委員会を欠席することも問題です。

しかし、辞表は市長が出張中という理由で保留になり、市長の慰留に応えて辞表を撤回したということです。この間の事情は、市の幹部に説明を求めても要領を得ません。

安信氏の弁明によると、山陽新聞の記事は間違いで、実際は支所長の権限について岡山市が間違った指導したことに対して抗議のためだった、ということです。抗議のために辞表を出すこと自体が賢明な方法とは思えませんし、それを簡単に撤回することも理解が難しい話です。また、慰留した理由も「合併して一年足らず。政令市に向かって良いまちにしようという」時期だからというのは説得力がありません。余程の理由があるのか、公表できない事情があるのか今のところさっぱり分かりません。そのあたりの事情を説明したと思われる文書が出回っています。

文書は御津特例区協議会の会長が出したものです。「岡山市が全面的に悪かったので、市長が区長に謝る」という趣旨です。のちほど、この文書は「誤解を生じやすい」として回収されたそうですが、なにがどう誤解なのかの説明がありません。うやむやになる可能性が十分です。

御津の入札疑惑、不明な社協の5000万円問題などが、この辞める辞めない劇に隠れてしまわないように、議会の監視と市民の関心が必要です。



これが問題の「御津」の文書です
平成18年2月7日
御津合併特例区委員各位  
 御津特例区協議会 会長小坂真史
本日の特例区連絡会議で決定した岡山市長との会談は以下のとおりです。

〇日時
〇場所
〇当方
〇相手
 平成18年2月7日(火) 午後4時頃
 岡山市長室
 小坂会長・友次副会長・桐山委員・正好委員・金光委員
 高谷市長・風早企画局長・田淵秘書室長
(御津)  安信区長の辞表を受けてもらったら、私らも地域も困る。町中が傷つかないようにしてもらいたい。
 言いにくいが岡山市に謝ってもらわないと困る。
(市長)  今回は、岡山市の方が悪いと思っている。
(御津)  安信区長が2月3日の委員会に欠席した理由を、2月13日の委員会で追求されないように岡山市の方でちゃんと説明して欲しい。
(市長)  2月3日の件は、天野助役が委員会にことわりに行っている。天野助役を呼んでことわりさせようか。
(御津)
(御津)
 そこまでは良い。
 共同で記者会見をし、お互いのメンツを傷つけないようにしてもらいたい。安信区長のメンツを御津の1万人に立ててくれ。
(市長)
(御津)
 分かった。直に手配する。
 委員会と辞表の問題は違うということ。社協の件もどうにもならないので、市長にもご尽力いただきたい。
(市長)  分かった。

※誤字はそのままにしてあります。

 

故・森本徹磨県議を悼む

民主党のメンバーで、これまで一緒に活動してきた森本徹磨県議が3月5日(日)に亡くなられました。63歳でした。県政の巨星が落ちた感じです。

連合の初代会長をつとめたのち、県議を二期、この間、江田事務所事務局長、民主党幹事長代行として腕をふるっていた森本さんは「二大政党による政権交代」が口癖でした。その道半ばで倒れたことはさぞ残念だったと思います。志を引き継いで私達が頑張らなくてはと決意しています。


お詫びとお礼
今月号も発行が遅れてしまいました。申しわけありません。近く、なんとかペースを回復して議会・市政の報告を続けるように努力します。

会費(カンパ)の振込に感謝します。これを励みにしてさらに、皆様の熱い期待に応える紙面作りに精力を注ぎたいと思います。

            羽場頼三郎


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