98/05/05

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安宅市長の決断 4

「告発しない」事も意味ある決断

 前理事に補助金の不正流用などの疑惑が持たれている健寿会ですが、これを告発すべきだとする議会が、告発をしない市長と対立をしているような言い方がなされています。また市民の間にも、市長を非難する声があるようです。入居者や介護の方々への配慮もあると思いますが、私に言わせると、告発をしないのにはそれなりの理由があるのです。

 議会は告発をしたではないかと言われますが、これは百条委員会への「不出頭」についての告発で、形の上からも明確です。しかし、市が告発すべきとされているのは、「補助金の不正流用罪」と理事としての「背任罪」です。これにはそれなりの証拠、心証が必要です。これなくて告発することは、「誣告罪」にもなりかねません。

 当局の説明によると、補助金の流用についても補填がなされれば刑罰に値しないというう説もあり、背任についても立証は困難とのことです。「議会がしろというからしました」では、市長としての見識を疑われます。また、告発は誰でもできますし、それがなければ捜査当局が動けないものでもありません。そこが、親告罪の場合の「告訴」と違うところで、これを混同してはいけません。議会の議論の中でも、これを勘違いしている人がいたのは残念です。

 先日市長が行った、捜査当局への「事実の申告」は妥当なものです。告発は出来ないが、議会や市民からの疑惑解明の声に応えるために捜査当局への通知や協力を惜しむものではないという姿勢を明確にすることは、市民への責任を果たす市長として当然です。

 世論に迎合して告発をすれば非難はないかも知れません。しかし、非難を恐れず「告発をしない」ことも一つの決断です。


98/05/05

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