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ひつじは嫌いじゃない。
というより、かなり好きだ。
何を考えているのかいないのかわけのわかんないガラス玉のような目も好きだし、垢まみれのひつじ男だって、大好きだ。
予告編には心が動いて、公開すぐに観に行く予定だった。
が、劇場から郵送されてきたチラシが曲者だった。
ダーマートで描いたような 『月のひつじ』というタイトルと、あのかわいい男の子(町長の息子だな)の大写し。
あぁ。・・・・なんとも、めるへん。
そして、なんとも、あざとい。
「こども」と「ひつじ」で私を釣ろうたって(誰もそんなこと思ってないってば)そうは問屋がおろさないぞ。
ということで、気になりながら、やりすごし(この間に、『サイン』などという、バカげたものまで観ちゃったわけだが)、公開10日目にしてやっと、観ることになった私であった。
よかったーー。
ある意味、すごいメルヘンだった。
だけど、あの男の子もまったくの脇役で、ひつじたちに至っては、気の毒なくらい少ない出番しか用意されていなかったのであった。めぇぇ。
メルヘンの主役は、「大人」の男たち、だ。
いいねいいねいいねー。
私自身は、特に宇宙に興味があるわけでもなんでもないので、彼らに与えられた任務がなんであってもよかったのね。
ま、とりあえず、「とっても困難なこと」でなければならないのだけど。(別に世界が注目するような仕事である必要はないが。)
で、彼らが、この仕事を遂行する様子が、すごく、いい。
余裕っぷりがなんともステキだ。
あの若いにーちゃん、アポロ11号の位置の計算をするという逼迫した事態であっても、憧れのキミの前では、メガネ、はずすんだもん。
かわいーー。
そりゃ、コメディだから当然さ、と片付けてしまえるかもしれないが、コメディとしても、ああいう風に仕立て上げてしまうところが「メルヘン」なんだなぁ。
だってさ、やったこともないようなことで、しかも失敗は許されないんだよ、そんなプレッシャーの中にいたらさ、普通、その任務以外のことは、何しても(しなくても)許されちゃうような感じって、一般的にあるじゃない?
それなのに、この重大事に、ちゃんと女の子にうつつを抜かせる余裕、そして、周囲もそれを面白がれる余裕。いいなぁ。
町長さんもいい。あの重責(?)の中で、よき夫、よき父という役目を投げ出さないのだな。笑いながらも感心してしまう。(繰り返すが、コメディなら、もっと貶めることだってできるのに、そうしてないのが心地よいのだ。)
・・・・でも、さ、所詮、メルヘンなんだよねぇ。
こんな「大人な」仕事ができる男がいたら、ぜひぜひ会ってみたいもんだ。
「男の仕事」の対極が「家庭」とか「女子ども」という図式が根底にあるのか?と、うがった見方もできたりするのだが、そこらあたりを、所長クリフの亡き妻の存在でやんわり押さえてあるのも、うまい。
ところで、原題は『THE DISH』。
「ひつじ」なんて出さずに、そのままでよかったと思うが、どうだろう。
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