『千と千尋の神隠し』
2001.7.14
<-2001年リストに戻る
<-50音順リストに戻る
。。。。。  
 実を言うと、ジブリの映画って、そんなに「すごい!」と思ったことないのだな・・・・。
 『もののけ姫』なんてさ、いったいぜんたい何がどういいんだが、ちっともわかんなかったしぃ。 『トトロ』も『宅急便』も『ぽろぽろ』も『ナウシカ』も『ぽんぽこ』も、なーんか、「で、それで?」って感じだったしぃ。 (あ、唯一、『紅の豚』は好き)

 でも、なぜか、今回のは、期待度満点だったのね。
 なんたって、予告編の両親がブタになっちゃうまでが、すごかったんだもん。

-----------------

 まず、お子達の反応。
 
 いや、こりゃ、すごい。
 
  「ファミリー試写会」みたいので観たから、会場の大半がガキんちょ様たちで、ま、ある程度のザワザワは覚悟してたんですが、いやいや、どの子どもさんも、最初から最後まで、みごとな集中度でございました。
 私の左隣の小学1年生(息子)も右隣の小学6年生(娘)も、えぇ、ポケモンなんて目じゃないくらいでしたね。
 もう少し小さなお子さんにはどうかな、とも思うのですが、ま、小学生には観せて間違いない名作と言えましょう。
 大変な勘違いをして『A・I・』(しつこいってば)にご家族でお出かけになるようなことをしてしまったご家庭では、お口直しにこちらをご覧になることを強くお勧めします。



 で、私なのですが・・・・。


 
 やられました---。
 
 恥ずかしながら、ほとんど「千」と同化しておりました。

 「ハク」という謎の美少年から、おにぎりをもらって食べて一息ついた「千」が、ぼろぼろぼろぼろ泣いちゃうところがあるんですが、不覚にも画面の「千」と同じタイミングで涙が出てしまった私でございます。(←すっかり同化)
 
 いやいや、それが、夢や御伽噺などではなく、自身で、確かに経験したのに、きれいさっぱり忘れていたことが、目の前に映し出された、という感じなのですね。

 もしかして、私の意識(無意識?)を覗き見されたのでなかろーか、いや、この子は私じゃないか、とまで思ってしまうほど(笑)なんですわ。

 まぁ、そこまで思わなくても、誰もが、一度はきっとあの街に、あの湯屋に迷い込んでしまったことがあるはずなんですね。
 

 こんなものを映画にするなんて・・・・。
 あぁ、宮崎駿、おそるべし。


(以下 2001/7/20付記)

 -「親子」という人間関係について-

 不思議の町の店先でむさぼるように食べる両親への千尋の態度。
 ねねね、あったでしょ?あんなこと。
 親に対する全面的な信頼が薄れてきた時期ですよねー。
 なんていうのかなぁ。
 たとえば、誰もお弁当を広げていない場所で自分一人でもくもくともぐもぐ食べてる分は、ぜんぜん平気なんだけど、親がいっしょに居て、「さぁ、ここで食べるよ」なんてお弁当を広げ出したら、もうどうしようもなく恥ずかしくなって、他人のふりしてどこかへいきたくなっちゃうような、そんな感覚が芽生えてくる時期。(って、わかるかな)
 で、親の方でも、そんな子どもを、どう扱ったらいいのか戸惑って、ちょっとぎくしゃくするような、そんな時期。

 千尋は、豚を見て「あ、お父さんとお母さんだ」って確信するくせに、そこから逃げ出して「おとーさん、おかーさーーん」て探すんですよね。
 すごくリアルで、「おぉ」と、うなってしまう。

 で、父母が豚になったのもそりゃ大変なんだけど、そんなことも吹き飛んでしまうくらいに次から次へと試練がふりかかってくる。
 彼女のそのがんばりのおかげで最後に人間の姿にもどった父母。だけど、彼らは何があったのか何もおぼえてない、っていうのが、またいいのね。
 千尋が大きく強くなったことなんて、親は何にも知らないいんだけど、千尋のほうは、ひとつ大人になって、それまでとは違った親との関係を作っていくんですよね。

 ねぇ、親子なんてさ、こんなもんだと思うのよね。

 ・・・・だからね、やっぱ、おかしいのよ。
 永遠に刷り込まれた母親を愛し続けるロボットなんて。
 いや、われながら、しつこいとは思うんだけど(笑)。
 ちょうど今朝、地元のタウン誌の映画感想コーナーで「『A.I.』は、母性本能の強い人ほど泣けます」なんていう馬鹿げた文章読んじゃったんですわ。
 ・・・・・え−−っと、涙のかけらすら出ない私でも、とりあえずは「母親」してるんですけどぉ。
 ま、そんなもんが「母性本能」とかいうものだったら、私はいっこも欲しくないけどね。(笑)

 さて。
 映画を観た帰り道、息子に尋ねました。
 「ねぇ、おかーさんが豚になっちゃったら助けに来てくれる?」
 「・・・・うーん。
 お父さんとお母さんが二人とも豚になったら仕方ないから、助けに行くけど・・・。
 どっちか一人だけだったっら、ボクは残ったほうと暮らすよ」
 爆笑。
 正直でよろしいっ。
 それでこそ、わが息子!(笑)
  
<-2001年リストに戻る
<-50音順リストに戻る