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仮に、
彼女が彼の帰りをずっと待っていれば、
彼らは何の問題もなく、4年前のような関係に戻れただろうか?
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トム・ハンクスが遭難して、無人島で暮らす映画??
興味ないな、ぜんぜん。
トム・ハンクスって、あんまり好きじゃない。
積極的に嫌いとは言わないまでも、「どーでもいい」タイプ(笑)。
加えて、サバイバルとかアドベンチャー(?)いう類の分野も、これまた、どーでもいい。
じゃ、なんで観たかというと、ただただ、「もー、映画でも観ないとやっていけないよぉ」という精神状態に追い込まれて、その日、ちょうど時間の合ったのがこれだった、というだけ。
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(以下 ネタバレあり)
4年間、無人島で生き延びた彼が救助されて、故郷に戻ってくる。
斜めから映したその顔。
一瞬で、私は心の大部分をずっぽりとえぐられる。
そして、その替わりにどうしようもなく完璧な孤独が押し込められる。
これは、かなり、凄い。
じわじわ、というのではなく、なんでもないシーンで、瞬間的にこれが来るのに自分でも驚いた。
彼は、無人島で、彼女の写真に向かってではなく、バレーボールのウィルソン君に話し掛ける。
彼女の写真があるのに、だ。
なぜ?
もし、私だったら、どうするか?
たぶん、いや、きっと、私も、ウィルソン君を選ぶだろう。
そして、彼と同じように、腹を立ててウィルソン君を投げ出して、慌てて探しに行って「ごめんごめん」と本気で謝ったりするはずだ。
彼女の写真が飾ってあっても、それは、「ただそれだけ」。
私の記憶が間違いでなければ、彼は彼女の写真に向かってただの一言も話し掛けていない。
彼女は、別世界の別時間を生きる人間であり、島での生活の同志ではないから。
彼は、彼女を恋しがる一方で、どんなに努力しても解消不可能な彼女との隔たりをきちんと自覚している。
だから、生還した彼は狼狽する。
「彼女にどうあえばいいのだ?」
彼女がすでに別の男と結婚し家庭を築いていることなど、まだ、知らされていないのに・・・・・。
彼女の夫が訪ねてくる。
「私が夫だ」と言われて、彼は、内心どこかで「ほっ」としたはずだ。
彼は以前の彼ではない。
そのことは、彼自身が一番よく知っている。
たとえ、彼女が、自分を4年間待ってくれていたとしても、昔の二人に戻れるはずがない。
ほんのひとときの幸福の後、二人を待っているのは、うんざりするぐらいの葛藤、忍耐、傷つけあい・・・・。
完璧な孤独を受け入れて生きていこうという人間に、昔の彼女なんて、いてもいなくてもいい。
いや、いない方がぜったいに気が楽だ。
しかし、彼女の家を訪ねてしまう彼。
彼は、再確認する。「彼女と元に戻ることはできない。」
後を追ってくる彼女にキスして、家に送り届ける彼は、一見かなりかっこいいが、はっきり言ってずるい。
奇跡的に生還を果たした貴重な自分の人生を、ぜったいに元に戻れない二人の関係をなんとかするために使おうなんて選択を彼はしない。
ずるい。
だけど、きっと、私もそうする。
いやぁ、もし、あのまま、彼女を車に乗せて連れ去ったりしたら、「けっ、なーんや、こいつ」と呆れて罵詈雑言モウドに突入していただろうな(笑)。
よかった、よかった。
彼女の写真をウィルソン君替わりに(というのもなんかヘンない言い方だが)する人も、やはり、いるだろう。
そんな人は、この映画をどうみるのだろう?
さて、この作品、作りがなかなか面白い。
オープニング、アメリカ西部ののどかな風景から1995年のロシアのクリスマス。???と思っていると、トム・ハンクス登場。
実にテンポがいい。
彼のお相手は、ヘレン・ハント。
おぉ!今回は、『ペイ・フォワード』のアル中かーちゃんとうってかわって、ちゃーーんと才媛役をこなしているのがすばらしい。
研究室でコピーを取る彼女を実に愛しそうに見つめるトム・ハンクス。
音楽の使われ方も楽しくていい。
一変して、飛行機事故。(詳細、省略 ^^;)
そして、淡々とした無人島生活。
これは音楽もなし、せりふもほとんどなしで、もー、心底、淡々(笑)。
個々には、火を熾したり、怪我したり、とかいろいろ事件はあるんだけど、あくまで、淡々淡々。えぇ、私、何度、あくびをしたかわかりません(笑)。
(あ、島での彼の「プロ根性」(笑)は、なんか共感できて、よかったなぁ。)
そして、その後、奇跡の生還を果たした後、前述したように一瞬にして孤独感を味合あわせてくれる仕組み。
そして、ラストは、また、ほんのり希望の光が見え隠れしたりするのも、うーん、なかなかいいじゃないですか。
うん、嫌いじゃないですね、これ。
25キロ減量のトム・ハンクス君も見直したぞ(笑)。
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