2012年3月 219号 羽場頼三郎

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今井正章筆
あきらめず議案修正の試みを がれき受け入れを市に強く進言
暴力団排除条例原案の修正を求める 議決の結果が○×で明らかに

あきらめず議案修正の試みを

これが本当の議会活性化への道

 二月定例市議会の最終日に、私をふくめた六名で条例修正案を出しました。二面に詳しく載せていますが、問題の条例は「暴力団排除条例」です。暴力団排除基本条例と暴力団威力利用等禁止条例の二つから成り立っています。そのいずれに対しても修正を提案しました。しかし、賛成は提案者と賛同者の五名だけで計十一名にとどまり、あっさり否決されてしまいました。

 今回、修正案を出すにあたり、議会の解説書を読んでいて気がついたことがありました。原案を出すのは執行部(当局)ですが、修正は議会のみが出来ることです。審議の過程で条例案に不適切な部分が明らかになった場合には、ためらうことなく権限を使えば良いのです。それが、議会活性化の証しです。かつて修正は当局に対する抵抗とか反発とかに受け取られ、いわゆる与党的立場の議員が嫌うことがあったがそれは間違いである、とも指摘されていました。まったくそのとおりだと思います。また、修正案が否決された場合に、それに賛成したものでも原案に賛成できることを、議会事務局に確認させました。

 これまでも、病院事業管理者に対する過大報酬の是正(二回)、ごみ有料化の地域的不公平是正、市民税不申告に対する過料の適正化などの対案(修正案)を出してきました。最初は提案者を集めること自体が困難でしたが、市民ネットという会派を作ったことで、この点は楽になりました。また、乙号議案(議員発議の提案を議会用語でこう言います)の文案作成も議会事務局の協力がスムースに受けられ、提出までの時間もかからなくなっています。

 せっかくの修正案を他の議員に理解してもらうには、その場所と時間が必要です。修正案を検討する委員会の開催を議会運営委員会で要望しました。また、会派内の意見一致と同時に他の会派に働きかけるという水面下の働きかけもおろそかにしてはいけないことなど、まだまだ、反省ばかりの二月議会でした。

2012年3月28日  岡山市議会議員 羽場頼三郎


暴力団排除条例原案の修正を求める

 社会の敵である暴力団を追放しようというこれらの条例の趣旨には基本的に賛成です。しかし、必要な部分が欠けていたり、行き過ぎているところが明らかな場合、これに修正を加えるのは議会として当たり前のことです。

距離規制を強化すべき
 
まず、何が足りないかといえば、以前から指摘しているように、暴力団事務所に対する距離規制です。国には法律が無く、あるのは岡山県条例ですが、その規制は甘く、200メートルにしか過ぎません。これでは規制はあるというものの、実効を伴わない、無力なものでしかありません。岡山市が本気で暴力団追放に取り組むというなら、この規定を置かない理由はありません。市民と暴力団の距離を離せるだけ離すというなら、まず500メートルに規制し、その上でさらに必要なら、もっと厳しい規制にすべきで、初めから距離規制の規定すら置かないような消極的な姿勢で、排除が出来るわけがありません。

市民が犯罪者になるおそれ
 
さらにこの条例は行き過ぎの点があります。それがいわゆる「みかじめ料」をなくすための条項です。暴力団の資金源を断つという趣旨には反対するものでは有りません。それを受け取る暴力団に懲役1年以下、50万円以下の罰金を科するのは良いとしても、それに応じた事業者(これは暴力団員ではなく一市民です)にも同じ罰則を適用するのは、性急すぎるというべきです。

罰則を適用する根拠が不足
 
当局の説明では、暴力団に積極的に金を渡す人がいるといいますが、それがどれくらいいるのか、どれくらいの金が流れているのかの説明がありません。単なる「そんな話がある」といった説明や「言われている額を仮に計算すると」といった具合で、処罰の必要性の合理的な説明にはなっていないのが実状です。そして「暴力団に金を渡さない理由に使えるツールになる」との説明ですが、これには現実味がありません。「自分も処罰されるかもしれないから、みかじめ料は払いません」といって「ああそうですか」と引き下がるような暴力団員がいるとはとても思えません。また、支払いを拒んだときにその市民が保護される体制が本当にとられているのでしょうか。それにも不安が残ります。

現実的に考えて修正を加える
 
そうはいっても、暴力団に資金提供をさせない必要から、どうしてもみかじめ料を払う市民をも罰則を適用する必要が将来発生するかもしれません。そのときに適用すればいいので、それまでは適用を控えるという附則を加えるのが、この際適切な条例のあり方ではないでしょうか。


がれき受け入れを市に強く進言

 この議会では、いくつか当局への質問を用意しました。でも、質問時間が10分も短くなったことと、大震災の一周年を目前にした議会であることを考えたら、普通の質問をしてはいけないという思いにかられ、あえて「東北のがれき処理」にのみ絞って質問を行いました。残念ながら、答弁は今までの繰り返しでしたが、以下はその要旨です。

東北の人は朗報を待っている
 
阪神淡路のときは約8年分の一般廃棄物が生じたわけだが、今回は岩手県では11年分、宮城県では19年分の廃棄物が発生している。その内わずか5パーセントほどしかまだ処理ができていない。朝日新聞によると受け入れを表明した自治体は西日本ではゼロだ。がれきを受け入れないと復興は進まないことは誰しもわかることだ。私の友人、吉田泉君(福島県いわき市選出の衆議院議員)は現在東北にある復興庁の政務官であり、彼の話によると「復興の遅れは深刻で、処理引き受けという朗報を待っている」とのことだ。

まずは受け入れの決意から
 
これまでの答弁を聞いていても、受け入れを進めるのかどうか、さっぱり分からない。市はまず「がれき受け入れの姿勢を示し、その上で障害となっているものを具体的に挙げ、それをクリアしたら受け入れを進めるべきではないか。東京都は、都としての規制値を定めて、それ以下のものを受け入れている。岡山市も、これなら市民も安心できるという基準(規制値)を決めた上で、説明をすべきではないか。

再質問 情けは人のためならず
 
「情けは人のためならず」と言うことわざがある。よく間違って「情けをかけてやっても、結局その人のためにならない」という意味にとる人がいるが、そうではない。他人に情けをかける親切にする、それはその人のためだけではなく結局自分のためでもある」というのが、本当の意味だ。今東北は大震災で困っている。この復興ができない前に東海、東南海、南海の3連動の地震が起きたらどうするのか。西日本が壊滅的な被害をこうむっても、東日本からの援助は不可能である。今、東日本を助けておくことは結局我々のためでもあるのだ。30年以内に70パーセント以上の確率で起きるといわれる地震・津波に備えをする意味で、市の姿勢を不明確にすることは許されないと思うが。


議決の結果が○×で明らかに ホームページに公開されます

 各議員が各案件に対してどのような態度だったのか。これまではよく分かりませんでした。議会改革の一環で、これをホームページで公開し、インターネットでわかるようになりました。暴力団排除条例の採決でいうと、距離規制の強化と市民処罰の停止を内容とした修正を提案し、賛成しました。それが否決された後に、原案の採決が行われ、距離規制が盛り込まれていない暴力団排除基本条例でも次善の選択と考えてこれには賛成をしました。しかし、暴力団と向き合う市民である事業者を犯罪人にしかねない恐れがあるため、暴力団威力利用等禁止条例には、反対の態度を取りました。この点は譲れない一線であると思っています。

 なお、条例の修正案を賛同して下さった方は次のとおりです。熊代昭彦、井本文博、長井孝介、森山幸治、高橋雄大(敬称略)。さらに、採決の際に賛成してくれたのは、河田正一、竹永光恵、林潤、田中のぞみ、東 毅。

 市民ネットの皆さんの態度は次のとおりです。○が賛成、×が反対です。

24号修正 25号修正 24号原案 25号原案
羽場頼三郎 ×
井本文博 ×
長井孝介 ×
森山幸治 × ×
高橋雄大
下市このみ × × × ×
鬼木のぞみ 退席 退席 × ×

24号は暴力団排除基本条例   25号は暴力団威力利用等禁止条例です


2012年3月 219号 羽場頼三郎

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