2002/04/05

ホームリポート前号次号


常識はずれのボーナス支給で揺れた議会
条例を遡って適用する悪例を残すな

不当な改正案に修正動議で対抗

2月定例市議会が19日に閉会したのですが、私はその最終日が印象に強く残っています。岡山市議会では、めったに行われない議案の修正動議を提出したからです。私の11年の議会経験でも初めてです。

議員は、議案に対して質疑をする権利、当局への質問権などがありますが、議案を修正する権利もありますが、あまり実行されません。それは、執行部も自分たちの案が否決されないように内容を吟味し、ある程度根回しをするからです。しかし、人間がやることですから、完全ではありませんし、不備を承知ですることもあります。それをチェックするのが議会の役目ですから、敢えて修正をしなければならない時もあります。

今回の改正案は病院事業管理者に8300万円ものボーナスを出すことも問題でしたが、付則で「この条例を平成12年から適用する」としているところが見逃せない点です。これにより、違法な支払いを隠そうとしている疑いがあります。このような「遡及効」の規定は、よほど止むを得ない事情がないかぎり、認められません。緊急な提案にしては十分な説明もなく、「これまで要綱で定めていたものを『より明確にする』ため」という点ばかり強調されて、実質的な審義が行われず議決が急がれました。2月の25日から議会は開会されているのに、質問戦がすべて終わった後で追加提案されたこと自体が疑いを濃くします。修正案が出なければ、議会はそのチェック機能が錆びついていたとの批判を受けかねません。

この事実に新聞記者も気づかなかったのか、一行も記事になっていません。8300万円という巨額な期末手当てに眼を奪われていたからでしょう。この条例改正で、萩原市政のチェックの必要性を強く感じました。

2002/04/05  岡山市議会議員 羽場頼三郎

参考:市民オンブズマンからの監査請求に対する監査結果(岡山市)
市民オンブズマンおかやまホームページ

脱線岡山市政:「特別ボーナス」8300万円支払問題/17日間の攻防


手腕と業績は認めます、でも8300万円は多過ぎます

腕のいい医者をスカウトし、市立三病院の薬剤の仕入れを統一し、医療機器を安く買い、救急車の患者を市民病院に受け入れることで入院患者を増やすなど、病院事業管理者は市立病院を建て直しつつあるといっていいかもしれません。四億円余りの赤字解消も見るべき成果です。しかし、その8300万円の成攻報酬は余りにも常識はずれです。

普通、成功報酬とは赤字が黒字に転換したとか、累積赤字が解消したときに支払われるものだと思います。まだ、そのような状態になっているわけではありません。

赤字の圧縮幅の20%というのも大きすぎます。仮に90億円の市民病院の赤字を解消したなら、18億円を支払う必要がありますが、それがまた赤字になります。

成功報酬を出すのは、全国でもあまり例がないのですが、鹿児島市の場合には3%だと聞いています。現に岡山市でも1.5%と当初(平成12年の6月の委員会)は検討されていました。それが、いつ、なぜ20%になったのか明らかにされていません。

報酬として年間1900万円をお支払いしているわけですから、合計で一億円にもなります。これを一人の方に支払った場合、他の職員の士気にも影響が出ます。

ウラがありそうな条例改正です

もっと問題なのは、報謝を支払う条例を平成12年に遡らせるという部分です。法律や条例は、その制定後に効果が発生するものです。適用を遡らせる規定は例外中の例外ですから、特殊な事情があるはずです。市長の説明によっても、その事情は明らかにされていません。むしろ、これから効力を認めるべき理由を上げています。

(1)(明確なものを)より明確にするため
(2)(このままでも有効だが)今後のため

要綱を条例化するだけという当局の説明はウソといっても、言い過ぎではないと思います。なぜなら、要綱では「20%以内」となっていたのに、条例では「20%」ですし、報酬額を市長が審査をして定めるはずなのに、議会が決めることになっています。

このように不自然で、疑問のある条例を議会が認めるのはいけないと主張したのですが、時間不足もあって他の議員の理解を得られませんでした。

なぜ当局がこんな不当な条例改正を急いだのか。それは、これまでの報酬の支払いが違法に行われた可能性が極めて高いからと思われます。60万円の報酬に市長裁量で30万円を上乗せをしたこと。8300万円も市長の裁定によることなどが、「報酬の額、支給方法は条例でこれを定めなければならない」とする自治法の規定に抵触するものです。

なお、期末手当ては3月15日に支払うことになっていたのに、何の根拠もなく、何の手続きも取ることなく3月の25日に変更しました。これも、法律・条例無視の現れと言ってよいかもしれません。


2002/04/05

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