この特集では、基本的に「ヨコハマ買い出し紀行」に関する文言のみを載せます。他の作品
の広告などが欄外に掲載されますが、ここではとりあげません。
第0話 ヨコハマ買い出し紀行
クラウスのコメント
四季賞受賞作として登場した記念すべきものです。表紙の前ページに紹介用の扉絵があり
ます。アルファさんが金槌を持って広告看板をつくったところでしょうか。
キャッチフレーズ、欄外の言葉はあまり気をひきませんが、作品を味わうのにちょっとした味
付けになります。
実のところ、よく絵を見ていると不思議な点があります。
まず、おじさんのガソリンスタンドにはじめて訪れる場面です。
第1話 鋼の香る夜
クラウスのコメント
扉絵のアルファさんがみずみずしく描かれています。
T.青層圏(せいそうけん)は、水の中で、右手の長いリボンで踊っているように見えます。
U.てろてろの汐(なぎさ)は、岸辺でしょうか。スカーフのようなものを持って舞っているよう
に見えます。(なぎさ)とあえてつけていますが、汐は(しお)と読み夕方の干満を意味しますが、 なぎさと読ませ、意味を膨らませているのでしょうね。
作者近況報告でもわかるように、ヨコハマの舞台は芦奈野さんの故郷の風景をとりいれてい
ます。異なる風景の場所で、描くときは故郷を思い出して、芦奈野さんは二重の世界に暮らし ている感じなのかもしれませんね。
第2話 入江のミサゴ
クラウスのコメント
表紙では、アルファさんとタカヒロが欄干に座って何かを眺めながら話をしているようです。タ
カヒロが少し上を向いて見ているのは、ミサゴの長い髪の毛でしょうか。足下に船虫の姿が描 かれていて、潮という感じがします。
この話では、アルファさんはめずらしくスカート姿でした。アルファさんの脚が美しく表わされ、
さらにタカヒロの脚、ミサゴの脚もきれいにだされています。これらの脚の姿はある意味艶かし いコントラストになっていて、三者ともスラッとしているところが共通しています。
この脚の演出は、ミサゴの抱擁へと発展していきます。タカヒロは濡れた服を脱いで、裸にな
らざるえなくなり、その後裸であるミサゴに抱擁されます。
裸というと、エロティックな面もありますが、また人間の自然な姿でもあります。抱擁されてい
る場面は、乳児が抱かれているという人間の原体験を感じさせます。エロティシズムと原体験 とがうまく融合したような世界になっています。
気がつくと長袖長ズボンのアルファさんに抱かれていました。ここで現実回帰となりますが、こ
こでもその世界は完全に抜けてなく、続いていると思いました。アルファさんは両腕の袖をまく って白い肌をあらわにしながら抱いていて、タカヒロの感じた世界が残っています。
タカヒロは幸せ者です。
そういえば、タカヒロの寄った本屋や芦奈野さんのAG200は今どうなっているのでしょうか
ね。
第3話 しましまのごろごろ
クラウスのコメント
表紙のアルファさんはカップに何を入れているのでしょうか?この情景は、おそらく夜食のつ
いでに、朝に飲むものをつくっているのでしょう。眠いのに気分がややハイな感じで、右手小指 がたっているのがオツですね。そして翌朝6:20ごろでしょうか、起きる時にカップに注いだ美 味しいものを飲みます。これがもしかしてメイポロ?
この第3話で、動物性タンパク質がアルファさんの体に合わないことがはじめてわかります。
そうなると、ニボシやカツオのダシの料理もだめなのかなと勘ぐってしまいます。
もうひとつ言いますと、作者近況報告で『てろてろ』という言葉が出ます。おそらくこの作品で
はじめて使われたものと思われます。(訂正 第1話で「てろてろの汐」と出ていましたね。ボケ て書いてしまい、すみませんでした)。そして第1巻のカバーやDVDのナレーションなどに使わ れていきます。ヨコハマの世界を、象徴的にあらわした、または凝縮した言葉ですね。
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