考察1 ミツコ・クーデンホーフとの関連
「ミツコ・クーデンホーフ」は正式には「ミツコ・クーデンホーフ・カレルギ
ー」と名のります。1874年生まれで、もとの名前は青山光子でした。オー
ストリアのハインリッヒ・クーデンホーフ・カレルギー伯爵と日本で結婚し、
1896年に夫とともにオーストリアに戻ります。20世紀初頭にウィーンの
社交界に登場し、日本から来た美しき貴婦人という名声がヨーロッパの上
流階層に広がったようです。
カリーノはこの頃10代後半に入る頃で、社交界にも貴婦人としてぼち
ぼち出ても良い頃になってきます。おそらく社交界で、ミツコのうわさは聞
いていると思います。実際のところ、イタリアの赤い貴族と呼ばれる名門
のソレッタ家と、美男美女を輩出してきたオーストリアの古くからの名門カ
レルギー家は、双方とも名前は知っていたと思われます。
緒方星也との恋愛、そして別離がこの時期にありました。日本人男性を
愛した彼女が、ヨーロッパ社交界で一定の名声を得たミツコに対して興味
を持っても不思議ではないと憶測しています。カリーノは星也との別れに
不条理を感じていたものと思います。それに対してミツコは日本人の伯爵
夫人として受け入れられたということで、ミツコに対する何らかの特別な
感情、想いを持ったかもしれません。
ミツコ・クーデンホーフについては、「レディーミツコ」(大和和紀 著)と
いう漫画作品にその生涯が描かれています。
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