「住めば都」

2月末に11回目の引越しをしました。岡山で生まれて家業の歯科医を継いだ40数年の人生でこの回数は多いですよね。ここ10年は岡山に住んでいますが、浪人生から大学、就職と18年間の間に東京、横浜、京都、大阪、神戸の街に移り住んできました。
そこで、私が感じた各都市の印象をご紹介させていただきます。

東京は、芸能、芸術、娯楽を楽しむには格好の場所だと思います。大変なことはありますが何をするにも便利な街でした。食べ物はとんかつ、てんぷらと浅草近辺の洋食屋さんは美味しいと感じましたが、私の嗜好にあわないお店が多いようです。塩辛いだけでなく首をかしげるような味付に多く出会いました。

横浜のイメージはかっこ良くあこがれの街でした。中華街は偶然か運が良かったのか当然かは不明ですが、入った店は全て美味しく感じました。また、住む所にもよると思いますが、水道水が意外と美味しかったのと水量が多いのは便利で良かったことです。気になったことは車でないと移動するのが難しく、休みの日の混んでいることです。移動に時間がかかりすぎて到着までに疲れてしまうことでした。行く日と時間帯が悪かったのでしょうか?

京都は、日本の四季を感じさせてくれる食べ物とイベントが楽しみな街でした。季節ごとの行事と季節の食べ物があるので年中ワクワクします。でも、汗が吹き出る蒸し暑い夏と、地面の冷たさが足裏まで伝わる寒い冬はたまりませんし、祝祭日の幹線道路の交通渋滞はたいへんです。

大阪は楽しく美味しい町です。会話の中には「ぼけ」や「ギャグ」が入ることが必然で「落ち」があることを前提として話が進むため、横で聞くのはいいのですが、会話に入るには高度なテクニックが必要なようです。どんな店に入っても食物が美味しく感じました。おそらく日本一美味しい街だと思います。しかし、夜の街は喧嘩と罵声が多く、危険と刺激が大きいエキサイティング街だと思います。

神戸はパンとケーキの美味しい街です。私が住んでいた岡本にはパンとケーキ店が13軒ありました。お土産はケーキと相場が決まっているようですが、ちょっとした時に美味しいパンのお土産が意外と喜ばれます。意外なことですが、水道水が「まずい」点と坂が多い点を除けば私が住んだ街の中で住環境としては一番良かったと感じています。

あらためて岡山を考えると、晴れの日が多く、気候が良く、天災がなく住みやすいところです。街が小さいので殆どの用事は自転車で行けます。行楽は日帰りで混雑することなく山でも海でも行けますし、主要都市へは3時間以内に行くこが可能です。果物は確かに美味しいと思いますし、麺類の美味しい店が多いように思います。自然が多くコンパクトで便利な街だと感じています。

どんな街でも比較すれば不便なことや嫌なことはたくさん出てきますが、その町にしかない良い特徴は必ずあると思います。そんな所を楽しんで住むことが「住めば都」ということではないでしょうか