矯正治療

 

矯正治療とは
歯並びが悪い場合に歯を移動させる治療方法です

歯はどうして動くのですか?
歯は一定方向に適度な力を加え続けられると、移動する側(動いていく側)の歯根膜(歯を支えている組織)が圧迫されてその周囲の歯槽骨(歯を支えている骨)が溶けてきます。そうすると、溶けた所へ歯は移動します。このとき、反対側(離れていく側)では歯根膜が引っ張られる状態になり、移動した量だけ歯槽骨が添加されます。これを繰り返すことによって歯は移動します。


矯正治療はどの位の期間がかかりますか?
歯の状態、によって差はありますが1年半から2年半位です。特殊な例としては乳歯の時期から始めた場合(小学生の低学年など)は、お口の成長に合わせた治療を行いますので長期間におよぶ場合もあります。このような場合も、矯正装置を入れ続けるわけではありません。


矯正治療と咬み合わせの治療とでは何が違うの?
矯正治療は主に歯を動かして歯並びを改善します。咬み合わせの治療は顎の関節、筋肉、顎の動かし方に調和した上下の歯の当たり方を良くする治療です。
咬み合わせの治療は、顎の関節、筋肉、を健康な状態にして、上下の歯が均等に当たるように治療することです。このことは、顎の組織と歯の負担を軽減して長く使える(※1)ようにする目的があります。 <参照 咬合治療>
矯正治療は主に審美(見た目を美しくする)のために行うことが多いようです。
理想的には良い歯並びで咬み合わせも良い状態にすることが理想です。
※1 生涯、歯を使うという事は約70年間、(永久歯は6〜15才のときに生える)毎日使い続けるということです。一部の歯に無理な力が加わると、長く使えなくなります。


矯正治療の歴史
矯正治療の歴史は取り外しができる床(入れ歯のような物)タイプの装置から始まりました。そして、1本づつ歯に針金を止める装置を取り付けて針金の弾力を利用して歯を動かす固定性の(取り外せない)タイプへと進化しました。現在はこのタイプが主流になっています。歯に針金を止める初期の装置は歯全体を金属で覆う装置でしたが、歯に直接付けるようになり、最近では透明の矯正装置や歯の裏側に付ける矯正装置になり目立たなくなってきました。


どの矯正装置が優れているの?
矯正の治療の内容によって分けられます。前歯の1〜2本を少し移動するだけであれば、床装置(取り外しができるもの)で十分ですし、成長発育がある時期は(18才位まで)成長を促進、抑制させる装置を用いる場合もあります。
一般的には1本づつの歯に装置を付けて針金の弾性によって歯を動かす方法が3次元的に動かすことができるので、最も詳細かつ正確に動かすことが可能です。また、力のコントロールがしやすいので早く動かすことができます。裏側に装置を付ける矯正はかなりの技術が必要で、一般の矯正の知識に加えてかなり勉強が必要のようです。
最近、簡単に矯正ができるという触れ込みでさまざまな装置が出ていますが、問題が多いように思います。良い治療結果のためにはスタンダードな方法が良いようです。


私の矯正治療へのスタンス
矯正治療は歯科大学で学ぶ診療ですが、実際に治療を行うためには、かなりの勉強と研修が必要となります。私の場合、卒業直後はあまり興味がありませんでした。ところが、私が属していた東京での勉強会(包括歯科医療研究会)で小矯正(一部の歯のみを動かす)の講習のときに「小矯正を行うときにも矯正する能力はあった方がいいでしょう」(CDC百瀬先生)という言葉に刺激されて矯正を学ぶことにしました。特に京都と神戸に勤務していた時は矯正専門医(高槻市 河合矯正歯科 河合秀一先生)の所へ5年間、毎週のように研修へ行っていました。また、多くの患者さんの矯正治療にも携わってきました。しかし、学べば学ぶほど矯正治療の難しさが身にしみて感じるようになりました。また、一般治療と矯正治療は思考回路が異なったので、一般の治療と混在すると頭の整理がつかなくなることに気がつきました。そこで、私は矯正が一般治療の片手間に出来るような治療でないことを認識したので、小矯正(部分的な矯正)以外は全てやめてしまいました。
私の結論は、矯正治療は専門知識と経験が必要なため専門医に任せたほうが早くて良い結果が生まれることです。
そのような理由で、いまは矯正専門の先生を紹介するようにしています。
今の私は矯正の知識がある歯科医として矯正専門医にお任せしています。
細かい注文が多いので矯正専門医からは少し嫌がられているかもしれませんかね....