子供の歯の予防 その2
―4歳から6歳までに行う予防ー

 

6歳までの糖分コントロール
3歳までとは違ってどんどん理解できることが増えますし、お友達も増えて行動範囲も広がり ます。今迄のような制限は難しくなってきますので、糖分のコントロールは一部にしてみてはいかがでしょうか。例えば、家の中にジュースやお菓子は置かない。自動販売機で買うのははお茶だけ。ケーキは誕生日や特別な日だけに限定するなど、少し工夫すれば色々なことが出来ると思います。


フッ素を積極的に利用する

糖分の摂取量が増えるわりには、歯磨きが完全にはできない時期です。しかし、フッ素を積極的に利用することが可能になる時期です。安全で虫歯予防に有効なフッ素で、この時期を乗り切りましょう。

☆低濃度のフッ素
1日1回、寝る前に低濃度のフッ素(250〜500ppm)で、「ぶくぶくうがい」をすることを毎日の習慣にして下さい。フッ素はできるだけ長時間お口の中に滞留させておくことによって虫歯予防効果が高くなります。歯磨きや仕上げ磨きが出来ない時は、せめて「ぶくぶくうがい」だけして下さい

☆高濃度のフッ素
歯科医院で5分程度かかる方法です。少し気持ち悪くて我慢しなくてはいけませんが、歯の表面を固くして虫歯になりにくくします。6カ月おきを目標に行えばかなり有効です。
特に、永久歯が生え始める時期は積極的に行うのが良いでしょう。なぜならば、生え始めの歯は弱いので虫歯になりやすい状態のうえ、フッ素がしみこみやすいのでフッ素が良く効く時期です。


             歯磨き
糖分の摂取量が増えてきますので歯垢(歯に付いた細菌)を除去できるような歯磨きを毎日する必要があります。また、永久歯が生えてくる6歳までに自らの力でしっかり歯磨きが出来るように上達しなくてはなりません。これからは技術を向上することです。
<歯磨きの技術を学ぶ>
正確に磨くことを少しずつ学ぶことです。その方法としては、磨く順番と回数を決めることです。   
例えば、(1)咬んだ状態で左右の奥歯と前歯
     (2)開けた状態で左右のかみ合わせと、下の前歯の裏側
     (3)開けた状態で左右上の奥歯のかみ合わせと、上の前歯の裏側
     (4)開けた状態で上下左右奥歯の裏側
といった具合にやりやすい順番を決めて、それぞれの回数を決めることです。このことは磨き残しを少なくできるだけではなく、出来てないところの修正がしやすくなります。歯のすべての面を磨く習慣さえできれば後は歯ブラシの当て方のくふうだけです。6歳までに少しずつ学んでいきましょう。

<仕上げ磨き>
糖分の摂取量が増えてくるので仕上げ磨きが大切になります。まだまだ自分の力で磨けるようにはなりません。自分の力で磨けるようになるまでの間の補助としてしっかり行って下さい。注意点は、汚れを取ろうとして強くゴシゴシこすらないことが大切です。力を入れることよりも正確に汚れを取るようにして下さい。お手伝いする所が少しずつ少なくなるように歯磨きの方法を教えてあげながら仕上げ磨きをすることも大切です。なお、歯ブラシでは歯と歯の間は磨けません。乳歯は歯と歯の間から虫歯になりやすいので必ずフロスを使って下さい。


周囲の協力を得てお付き合いすること

引き続き、「虫歯のないきれいな歯に育って欲しいので、できるだけ甘い物は与えないように」と祖父祖母、周囲の親族、親しい人にはお願いすることです。
ご近所やお友達の家へ遊びに行ったときにお菓子を出されたら 「歯医者さんに言われたの」「主人に言われて食べさせられないの」などと、他の人のせいにすると良いでしょう。でも、あまり強く拒否して関係を悪くする必要もありません。 「ありがとうございます」と言って受け取って、子供と交渉するのも良い方法です。「1つだけ食べようか」「後で食べようか」と量や時間のコントロールをしたり、ジュースを出されたら「○○チャンは専用のお茶」と言ってごまかすのもいいでしょう。お母さん同士のコミュニケーションを上手にとりながら、お菓子を否定するのではなくコントロールして、うまくお付き合いしてください。


              最後に

3歳を過ぎれば色々なことが理解できるようになります。そのため、制限することが少し難しくなってきます。でも、一度甘い物を食べる習慣が付いてしまえば、もっと制限が難しくなります。子供は知っていることを我慢するのはつらいことです。糖分のコントロールは努力しただけの 結果はあります。やってみて後悔することはありません。がんばって続けて下さい。
長い人生の中で、ほんの数年だけ甘い物を知らなくても不幸にはなりません。それよりも、時々食べるお菓子に、これほどまでおいしそうにうれしそうに食べる姿のほうが、よっぽど幸せな子供に育ったと感じられます。