子供のためにできること

お子様の将来に何を残されますか?
親としてお子様のために何を残してあげようと思われますか。教育、社会常識、知識、知恵、お金、資産など、それぞれの価値観で考えられていると思います。その中に、「生涯、お口が健康であり続ける」という財産を残してあげることを加えてみませんか。

日本人のお口の生涯
平均的な日本人であれば、子供の頃から老人に至るまで虫歯と歯周病を繰り返し、年齢と共に歯を失って最後には入れ歯になります。その間、何度も歯科医院への通院を繰り返し、歯を失っていきます。つまり、痛くなる、歯ぐきが腫れる、食べ物が詰まる、口臭がする、歯がぐらぐらする、硬いものが咬めない、見た目が悪い、顎が痛い、咬みにくい、入れ歯の苦痛などの症状を繰り返し、歯を失う恐怖と共に生涯を送る結果となります。その上、治療に伴う痛みや不快感と時間と費用を使い、歯科医院に通院することを繰り返します。

生涯、お口の健康が維持できる財産
歯が悪くなることから開放されることが「生涯、お口が健康であり続ける」ことです。
お口が健康だということは、食べることが楽しくなるだけではありません。口を隠すことなく大きな口で笑ったり、カラオケを歌ったり、愛情表現に使ったり、口臭を気にしないでお話したり、口に関わることを気にせずに楽しめることです。
お口が健康であることによる「快適で豊かな生活」という財産をプレゼントすることになります。

いつから実行すれば良いのでしょうか
できるだけ早いほうが良いです。周囲の協力も必要となりますので、できれば産まれる前から予防のための知識を得て実行することです。また、ご家族と相談して可能なことを考える必要があります。

予防のための知識
☆虫歯と歯周病の原因は
虫歯は口の中に居る細菌が糖を分解して酸を作ります。このによって歯が溶けて虫歯になります。歯周病は「歯周ポケット」といわれる溝に住み着いた細菌が出す毒素によって歯ぐきが炎症を起こし歯槽骨(歯を支える骨)が溶けて歯がぐらぐらになって抜けてしまう病気です。共に、歯の周囲に付着した細菌の塊によって起こる病気です。    
☆咬む機能を育成する
スポーツ選手が練習で使う筋肉を鍛えて技術や能力を高めるように、咬む筋肉を鍛えないとお口の能力は鍛えられません。お口の能力を育成するために、練習を行う必要があります。また、筋肉の発達は骨の成長を促進します。しっかりとした骨格を育成するためにも、お口の機能の育成は大切なことです。

☆食生活の管理
虫歯予防の最も有効な方法は、食生活の管理です。その中でも特に糖分摂取のコントロールは重要です。
☆フッ素の利用
フッ素は安全で虫歯予防の効果が高い薬品です。使い方は高濃度と低濃度の2種類のフッ素を組み合わせて上手に使うことです。
☆歯磨きの習慣
歯を磨くという習慣は、お口の健康を守っていくために大切な習慣です。しかし、子供にとって歯磨きの大切さは理解できません。その上、はじめから上手に磨くことはきません。子供にとって楽しい遊び道具の一つもしくは、嫌いではなく毎日使う道具と感じてもらうことが目標です。
☆仕上げ磨き
子供が自分の力では磨けないところを保護者が磨いてあげることです。大切なのは、自らの力で磨けるようになるまでの期間の補助だという認識です。お手伝いする所が少しずつ減るように教えながら仕上げ磨きをして下さい。
☆周囲への協力
周囲の人、特に祖父母へは「生涯、お口が健康であり続ける」ための管理であることを伝えて協力を得ることが大切です。


糖分のコントロールの大切さ
ある大学の研究でナイジェリアの都市部と文明に殆ど接していない部族の虫歯の状態を調査した結果、近代文明に殆ど接していない(お菓子がない)部族においては1%程度の虫歯の発生率しかありません。彼らには近代的な歯ブラシやフッ素がなくて、この結果です。また、ニュージーランドの先住民族は埋葬された頭蓋骨の調査から1万本に1本の虫歯しか発見できなかったそうです。糖分を摂取しなければ歯磨きをしなくても虫歯にはならないということです。

虫歯は早期発見が大切です
虫歯といえば穴が開いている状態をイメージされることが殆どだと思います。ところが、歯の表面が少し溶けた状態も虫歯です。しかし、初期の小さな虫歯を発見するのは、かなり困難なことです。特に歯と歯の間や詰め物の隙間は直接見ることができません。そこで、定期的なレントゲン診査を行うことが必要になります。