サイモン&ガーファンクル

サイモン&ガーファンクルもビートルズ同様、日本で洋楽ファンで知らない人はいないであろう。代表曲「サウンド・オブ・サイレンス」は、ラジオ等の放送でいつのまにか覚えてしまった。
サイモン&ガーファンクルの魅力は、メロディとそしてアコーステックギターの響き、そして何といっても抜群に美しいハーモニーであろう。

高校の頃、レンタルレコードで「サイモン&ガーファンクル・グレイテスト・ヒッツ」を借りて一番いいテープにダビングしてよく聞いた。全部いい曲だと思って何回も繰り返して聞いた。

丁度、フォークギターを買ったので「サイモン&ガーファンクル・グレイテスト・ヒッツ」の楽譜を買って、収録曲を練習した。レコードでもフォークギターで録音されているため、楽譜どおり弾くと上手下手はあるとは言え、レコードと同じ音が出るのが嬉しかった。

特に最初は難しかったが、弾けるようになって嬉しかった曲はスカボロー・フェアだ。右手が独特の運指のアルペジオの綺麗な旋律が弾けるようになると、本当に嬉しかった。「サイモン&ガーファンクル・グレイテスト・ヒッツ」はギターの弾き語りの練習として、魅力的な教材であった。アイ・アム・ア・ロックのイントロは、低音を親指で弾いた後、2弦一緒にハマリングオンオフの繰り返しだが、すぐにレコードの雰囲気が出る。ブックエンドは、2弦一緒に弾くのを繰り返しているだけだが、非常に味のある曲である。

まさしく、ビートルズのアコースティック曲に匹敵する名曲揃いである。ちなみにビートルズの曲ではミッシェルのイントロ、演奏と一緒に歌うのは難しいブラックバードやカポを7フレットに付けてメロディの旋律も入っているヒアカムズザサンも弾けるようになると嬉しい曲ではある。(弾けるといっても、実際私にはうまく弾くのは難しい。)トゥ・オブ・アスなんかは、イントロからストロークまで単純でしかもいい曲であるが。

話をサイモン&ガーファンクルに戻そう。

よく知られた話で、私も印象に残っているのは、2人がアルバム『水曜の朝、午前3時』をリリースしたのが64年秋。しかし、まったく評判にならず、2人は活動を辞め、アートは大学に復学、サイモンはイギリスに渡ってしまい、現地のフォーク・シンガーとして活動し、ポールサイモン・ソングブック(現在廃盤)をソロで録音しなおししたりしていた。しかしフォーク・ロックがアメリカで話題になりはじめた65年、プロデューサーのトム・ウィルソンは、ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーンズ」を録音した後、そのスタジオミュージシャンを使って、2人に無断で、先のアルバムに収められていた「サウンド・オブ・サイレンス」にエレクトリック・ギターやドラムスなどをオーヴァーダビングし、売り出したところ、ヒット・チャートを駆けのぼり、その知らせを聞いたサイモンがイギリスから帰米したのは、この曲がNo.1の座につく直前のことだったらしい。しかし、サイモンはオーヴァーダビングに対して素直に喜べなかったらしい。結局はそのおかげで、2人はブレイクする。ビートルズのマッカートニーがフィル・スペクターに「ロング・アンド・ワィンディング・ロード」をオーヴァーダビングされて怒るのとは状況が全く違うのですが、勝手にオーヴァーダビングされることはアーティストにとっては憤りがあるのだろう。「サウンド・オブ・サイレンス」をライブで演奏する時は、いつもギター一本のような気がする。

サイモン&ガーファンクルは「明日に架ける橋」で活動休止して、ソロ活動に入ったのですが、不思議なことに、ポール・サイモンがサイモン&ガーファンクル時代も作曲していたにも関わらず、ソロ活動になると雰囲気が変わるのです。アート・ガーファンクルは作曲していなくて、歌だけだったけど、かなり影響を与えていたのかも知れない。

しかし、ソロ活動になると,ポール・サイモンの方に関心が行きます。私が大学時代に痛く気に入ったポール・サイモンの曲はグラミー賞を取った「時の流れに(スティル・クレイジー)」で、流れるようなメロディ、タイトルにクレイジーと付いているのもいいし、そして特に歌詞が良かった。

そして、私のサイモン&ガーファンクル熱のピークは、再結成「セントラル・パーク・コンサート」である。何回もレーザー・ディスクで繰り返して見た。特に「追憶の夜」では、アコースティックな作りが主体のサイモンが、リズムを強調した曲でスティーブ・ガットのドラムスもご機嫌である。(無論、サイモン&ガーファンクル時代も「いとしのセシリア」等印象的なリズムの曲はあるが)さらに、暗殺されたジョン・レノン等に捧げた「グレイト・ジョニー・エース」演奏中に観客がステージに駆け上りサイモンに体当たりする寸前、警備員に取り押さえられるシーンも印象的だ。

次のニューアルバムは、アートとも参加するの噂もあったが、結局それは実現しなかった。そのアルバム「ハーツ・アンド・ボーンズ」は、それまでのサイモンの歴史上、最も商業的に売れなかった作品らしいが、私にとっては、「時の流れに」と同様に、とても気に入って聞いたアルバムである。今でもいいアルバムだと思う。その当時はやはり、サイモンの個人的な内容なので、アートとのハーモニーが曲に合わなかったなら仕方ないかと考えた。(アートのハーモニーの入った曲が又いつか聴きたいという気持ちに変わりはない。)とにかく「ハーツ・アンド・ボーンズ」個人的には次作の「グレイスランド」よりも好きなアルバムだ。

その後、サイモンはアメリカの民族音楽に触発されて「グレイス・ランド」でグラミー賞を獲得し、面目躍如となる。(グレイスランド25周年記念盤発売)「コール・ミー・アル」等のヒットも出している。(ポール・マッカートニーもアフリカで「バンド・オン・ザ・ラン」という傑作を作っているし、異文化民族音楽との出会いはかなり創作意欲を触発されるものかも知れない。)その後、「リズム・オブ・ザ・セインツ」「ユー・アー・ザ・ワン」と新作を出してライブ活動もしている。

一方アートもボーカリストとして活動を続けていた。なんといっても、「明日に架ける橋」のボーカルはアートなのだ。そのアートは、最近「心の散歩道」というニューアルバムを出し、初の自作曲も収録されている。

2003年のグラミー賞で嬉しいことにサイモン&ガーファンクルが映画「卒業」の主人公ダスティン・ホフマンの紹介で、サウンド・オブ・サイレンスを披露した。やはり、解散ではなく、活動休止なのである。(イーグルスと同じか)


ポール・サイモンは、ポール・マッカートニーのような多作のアーティストではない。だが、毎回、趣向を変えたアルバムを出す、素晴らしいメロディメーカーという点では共通点がある。今後の活躍も期待したい。

リンク:S&G(Sony Music) Still Crazy   Simon's Cafe Art Garfunkel