ロック・ファンで知らない人はいないバンド、特にロック評論家渋谷陽一氏のお気に入りのバンドである。映画スクール・オブ・ロックのジャック・ブラックが「レッド・ツェッペリンを知らないなんて、学校で何を教えているんだ!」と憤慨しているシーンがあった。ビートルズは学校でもイエスタディ等市民権を得ているようだが、まだレッド・ツェッペリンは市民権を得ていないようだ(学校で教えるような音楽かも疑問だが)。

かくいう私もビートルズと音楽性の方向性の違うレッド・ツェッペリンは、すぐに心地よく聴けたわけではない(最高傑作「天国への階段」を除く)。特に高校・大学の頃は、友人がはまって感激していても、私はそれほどは良いとは思えなかった。ジミー・ペイジは、初期のビートルズをそれほど良いと思っておらず、中期後期が良いとコメントしているところからも、初期のビートルズのようなポップで分かりやすい曲つくりを目指していたのではなく、ブルース・ハードロックを目指していたためもあるのであろう。

というわけで、以前からベスト盤で聴いていたのだが、アルバムとしては売れていたが、シングルヒットがあまりないので、ベスト盤のような感じがしなかった。しかし、去年(20036月)発売の35周年記念DVDレッド・ツェッペリン(5.1ch)と伝説ライブ、そして既発のオリジナルCD(紙ジャケ;リマスター)で揃え、聞き込んでいるうちにレッド・ツェッペリンのリフレインの魔術師ともいえる音楽が心地よく聞こえるようになってきた。

リンゴ・スターをビートルズがドラムスのメンバーに誘う時、ドラムソロはするのかと聴いて、リンゴがしないと答えた時、ジョンとポールは良かったと思ったと言う話がある。しかし、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムは、モビー・ディックの時などドラムソロがメインになっているし、傑出したイメージを出している。ファンなら周知の話だが、もともとレッド・ツェッペリンは、ジミー・ペイジのニュー・ヤードバーズがバンド構想となっており、ブルース、ハードロックの王道、時にアコースティックに進むバンドである。ジミー・ペイジのセッションミュージシャンとしての経験や幅広い音楽的素養(特にブルース)がごった煮のようになり、レッド・ツェッペリンの味を醸し出している。しかし、ビートルズの音楽性が全方向に近いイメージなのに対し、レッド・ツェッペリンは鋭角に切立ったイメージである。ビートルズを口ずさむ時、ボーカルメロディを口ずさむが、レッド・ツェッペリンの時は、ジミー・ペイジのギターのリフレインやジョン・ボーナムのドラムスパターンであったりするのが大きな違いである。従って、メロディだけ独立した音楽として成り立つビートルズと違って、レッド・ツェッペリンはメロディだけ取り出すと魅力が伝わりにくい。ビートルズやクィーンと違って、レッド・ツェッペリンはコーラスが少なく、ロバート・プラントの切り裂くようなハイトーンボイスがメインである。従って色んな要素がつまっているのだが、聞き込まないと単調な感じがしたり、メロディアスな感じがしないというのが、すぐに心地よく聴けなかった要因なのかもしれない。しかし、リフレインのマジックで、繰り返し聴いていると心地よくなって、ギターリフを口ずさんだりしている。ドラマティックな「天国への階段」は、すぐに心地よく聴けたが、「幻惑されて」や「移民の歌」は繰り返し聞くことにより次第に心地よく聴けるようになった曲である。

ジミー・ペイジのギターのテクニックはバイオリンの弦を使ったり、アイディア豊富だが、意外にプロミュージシャンからの評価は辛めである。サザンの桑田が、ジェフ・ベックはもう何でもできるぐらいに上手いミュージシャンだが、ひょっとするとジミー・ペイジはとても下手なんじゃないかと冗談まじりにコメントしていたことがあるが、テクニシャンというよりアイディアマンなのかもしれない。

レッド・ツェッペリンの真似をしたわけではないだろうが、ビートルズにもリフレインを効果的に使っている曲がある。ホワイトアルバムの中のバースデイ、ヤー・ブルース。ソロになってからは、ジョンのコールド・ターキー、ポールのレット・ミー・ロール・イットがギター・リフが印象的な曲である。

ジミー・ペイジのギターとロバート・プラントのボーカルはとても相性が良いらしく、ジョン・ボーナム解散後も、ペイジ・プラント名義でノー・クォーター等の評判のいい作品を残している。しかし、ドラムスのジョン・ボーナムがいないかぎりはレッド・ツェッペリンの新作とはいえないのは、それだけ完成されたバンドであったということであろう。

2003年に発売された35周年記念ライブDVDは、5.1chで迫力満点であり、画像・音源共に楽しめる。ジミー・ペイジはレッド・ツェッペリン海賊盤のコレクターなのは有名な話で、東京の海賊盤販売店に本人が立ち寄った時、店長が感激してサインをもらって無料でいくらでも海賊CD・ビデオを持っていってくれと言ったらしいが、2回3回と来日する度に来るので、ジミー・ペイジが来たと聞くと、商品がなくなると青くなって店を閉めるようになったという冗談めいた話がある。そういうジミー・ペイジのブートコレクションも今回のDVD映像では活かされているそうだ。さらに、ステレオでDVD化されている狂熱のライブを5.1chで再リリースするかもしれないということをジミー・ペイジはインタビューで話しており、こつこつといい作品を作りあげてくれるかもしれないのでファンとしては楽しみだ。

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