ウェックスラー式知能検査

D.ウェックスラーは、知能を広く環境に適応する適応行動の表出と考え、さらに知能は諸能力から構成され、
その総和や関連によって知能水準や適応障害を個人差を重視して考える検査法として、1939年に発表された。
ウェックスラーの知能検査は、1949年に児童を対象とする検査(WISC)を生み、
1955年には青年から老人を対象とする検査(WAIS)に発展し(1990年に改訂され、WAIS−Rとなった)、
その後WISCは1974年に改訂されWISC−Rとなって対象を6歳から16歳に広げ、
1963年にはWPPSIという低年齢児(3歳10カ月から7歳1カ月)を対象にした知能検査を生み出した。
さらに、WISC-Rは近年WISC-Vに改訂されている。
因子分析から得られた4つの群指数(言語理解、知覚統合、注意記憶、処理速度)により、
子どもの発達の特徴をより多面的に把握できるようになっている。
また、子どもが興味をもって取り組めるように、 図版は大判カラー刷にしてある。

ウェックスラー式知能検査は、
 1.適用範囲が児童から老人までと広い。
 2.同年齢集団の中での個人の知能水準の位置を知り得る知能偏差値IQが算出できる
 3.IQを言語性のIQ(VIQ)、動 作性のIQ(PIQ)、全検査のIQとに分けて算出することができる。
頭部外傷、脳卒中等の高次脳機能障害では、特にどのような能力が落ちているか等有効である。
反面、IQ45以下は測定不能になるなど、重度知的障害者には適応範囲が限られるという難点もある。
 WAIS-Rの下位尺度は次の11種類である。
言語性検査は、知識、類似、算数、単語、理解、数唱
動作性検査は、絵画完成、絵画配列、積木模様、組合せ、符号

2006年7月、16年ぶりに改訂版WAIS-Vが発売された。
これまでのWAIS-Rは適応範囲が16-74歳であったが、
改訂版は高齢社会の現状をふまえて16-89歳と適応範囲が拡大している。
WAIS-IIIでは、新しく「群指数」という側面からの把握や解釈が可能になること、
その他、提示用の図版の大型・カラー化や、時代に合わなくなった問題内容の修正など、
種々の改良が加えられている。
言語理解」、「知覚統合」、「作動記憶/ワーキングメモリ」、「処理速度」の4つの群指数の算出も可能になり、
一層多面的な把握や解釈が可能になる。
・新しい下位検査が3つ加わり(行列推理、記号探し、語音整列)、14下位検査で構成される。
・14下位検査のうち、IQ、群指数などの使用目的に応じて実施する下位検査を選択できまる。
・検査が動作性下位検査の絵画完成から開始されるため、検査に取り組みやすくなる。

WAIS-III知能検査の問題構成
【 動作性下位検査 】
1. 絵画完成3. 符号5. 積木模様7. 行列推理10. 絵画配列12. 記号探し14. 組合せ
【 言語性下位検査 】
2. 単語4. 類似6. 算数8. 数唱9. 知識11. 理解13. 語音整列

新しい下位検査
行列推理 ‥‥ 一部分が空欄になっている図版を見て、その下の選択肢から空欄に当てはまるものを選ぶ。
記号探し ‥‥ 記号グループの中に見本刺激と同じ記号があるかどうかを判断する。
語音整列 ‥‥ 検査者が読み上げる数字とかなの組み合わせを聞き、
数字を小さいものから大きいものの順番に、かなをあいうえお順に並べ替えて答える。

2010年1月、5年ぶりに日本版WISC-W (原版刊行2003)が発売された。
大きな改正点として、言語性IQと動作性IQという区分が廃止された。
WAIIS-Vで算出可能となった4つの群指数のうち、「言語理解」、「知覚統合」は一般知的能力GAI(General Ability Index)であり、推理応用力と関係が深い。
作動記憶/ワーキングメモリ」、「処理速度」は認知習熟度CPI(Congnitive Proficiency Index)で、学習の基礎能力との感激がある。

WISC-WとCHC理論(ブログ)