TAT(Thematic Apperception Test;主題統覚検査

私が、卒論のテーマとして選んだのはTATであった。「TATにおける反応類型の意味付けの試み」というタイトルで、ゼミの数人で取り組んだ。TATはなかなか面白いテストであると思った。

しかし、マレーとモーガンによって1935年に考案されたTATを研究する人は、図版が31枚と多く(使うのは20枚程度)、1枚ずつ物語を作るため時間がかかるというためかロールシャッハ程使用頻度は多くないようだが、これから発展の可能性をもったテストであろう。

マレーは、人間がその本質において歴史的存在であることを強調した。生活周期は、環境側の圧力と個体側の欲求との相互作用としてのエピソードが繰り広げられる。マレーのいう主題とはこのようなエピソードの持つ力学的構造である。マレーはTATを被験者に対してこうした主題の統覚を求める心理学的技法と考えていた。

マレー版以外に、日本人向けに構成された早稲田版、精研版、名大版が発表されているが、マレー版が使われることが多いようである。

TATの幼児児童版としてはベラック等によるCAT(Children's Apperception Test)がある。用いられる図版は10枚だが熊等擬人化した動物が描かれている。

第1図版は、バイオリンを前にして頬杖をつく少年絵で物語をこの状態の過去、現在、未来について述べるというものである。

物語の流れだけでなく、登場人物や小道具などロールシャッハよりさらに色々な要素がでてくる。どのような場面としてその絵を認知するか、さらに過去未来の物語まで作るという点でその人の個性が強く出てくる。

少し前、鈴木睦夫先生が「TATの世界」(誠信書房)という博士論文をもとにした本を出した。片口安史先生の「新心理診断法」に匹敵する
TATを行う人の必読書といえよう。以前にこれだけの年月をかけてデータを蓄積し、分析を行った著作は見当たらない。