SST(Social Skills Training)[社会生活技能訓練]

筆者は、SST普及協会の会員ではあるが、それを一途にやっているわけではないので、以下は筆者なりの理解によるSSTのかなり大まかな説明である。(筆者の勘違い等お気づきの方はご指摘いただきたい)
 生活技能訓練は、米国UCLAのリバーマンらにより慢性精神障害に対応した治療技法として発展してきた。
 SST普及協会による説明を引用すると「SSTとは.."Social Skills Training"の略で、『社会生活技能訓練』や『生活技能訓練』などと呼ばれています。」とのことである。
 精神障害の人の陰性症状と呼ばれる対人関係のぎこちなさや生活障害の改善のためにあみだされた認知行動療法の一つとして位置づけられる療法である。
 「近年わが国でもその効果が認められ、1994年4月には『入院生活技能訓練療法』として診療報酬にも組み込まれました」と保険の点数にも認められている。
「精神障害をもつ人たちの自己対処能力を高め(エンパワメント)、自立を支援するために、この方法が広く活用されることが期待されています。」 とされているが、精神障害者以外にも、知的障害者や神経症レベルの人等にも適応が可能と思われる。
筆者が考えるSSTのエッセンスは、どれだけできていなくても良いところを見つけだしてほめること、わずかな改善でもほめること、否定的なフィードバックをしないという点である。(精神障害者は、否定的フィードバックに耐えられない)
 技法としては、不適切もしくは、患者が悩んでいる行動を具体的な場面として、リーダー、サブリーダーの前で集団で行う方法である。ポイントとしては、短く具体的に再現できるように場面を設定することである。
 例えば病院内で看護婦さんにうまく物を頼めない患者が、うまく頼めるようになるという場面設定を作る。実際に、その人にやってもらって、少しでも良いところを見つけてほめる。視線が合っていた等、いくらできていなくても良いところを見つけだしてほめるわけである。100満点の30点だとしたら、その30点分をほめて、皆で拍手する。 この皆でいつも拍手をするというのが、SSTの技法で特徴的なところである。決してけなさず、「ここをこうしたらもっと良くなりますね」とアドバイスをする。他の患者さんやサブリーダー等にやってもらい、どこが良かったかと良いところを見つけ、拍手してほめる。課題を持った患者さんに、今やったようにやってみましょうと、再びやってもらい、ほんのわずかでも改善したところを見つけて、拍手をしてほめる。今度は、看護婦さんにうまく物が頼めそうですかと患者に尋ね、どの程度うまくできるようになったか、宿題として出し、次回に報告して貰うといったやり方である。
 随分おおざっぱな説明で簡単そうだが、実際に講習でやってみると、頭でわかっていても自分がリーダー、サブリーダーとして行うのは簡単ではない。私が講習を受けた時の講師は、「やっている最中に頭が真っ白になる体験を何回か繰り返すうちにリーダーとして慣れてくる」と冗談まじりに言っていたが、実際に自分がリーダーを行う順番がやってくると初めから簡単にはできないものである。しかしながら、SSTというのは、良いところを見つけてほめてもらえるから、いくら下手でもそんなに嫌にならずに済むようになっている。

リンク:SST普及協会講座精神障害者のSST