多汗症・赤面症

◆手術で治る“立派な病気”

 痛みや発熱といったことがなく、まして命を脅かす危険性もない。まわりは病気と思っていない中、当人は人知れず悩んでいる。

 そんな症状の1つに多汗症や赤面症がある。

 緊張して汗ばんだり、顔が火照ったりすることは、だれでも身に覚えがある。

 でも、別段暑くもないのに、手のひらから大粒の汗が見る見る吹き出したり、人前に出た途端、顔が真っ赤になったり……。

 片時もタオルが手放せず、集中力もなくなるといった、あまりに激しい症状のため、生活に支障が出るほどの状態なら、とっても深刻だ。

 だが、とかく「気持ちの持ちよう」、「体質的なもの」と放置されてきた。

 居たたまれない本人は、劣等感に陥って、人付き合いに消極的になったり、職業が制約されたり。対人恐怖症にもなりかねない。

 「これらの症状は交感神経の過緊張が招く立派な病気。最新治療で95%は完治できます」とNTT東日本関東病院(東京・五反田)ペインクリニック科部長の塩谷(しおたに)正弘さんは力説する。

 多汗症と赤面症は併発することが多い。精神的な緊張や興奮により、同じ場所の交感神経が異常に高ぶって、末梢(まっしょう)神経に伝達される突発現象だからだ。

 本人の意思とは無関係だから、心を鍛錬する精神療法などをいくら試みても治りはしない。

 そこで、交感神経の機能を抑える「胸部交感神経遮断手術」(ETS)がスウェーデンで考案された。

 手の発汗や、顔面紅潮は第二交感神経節を切除すると消失する。この部分は、ろっ骨の根元にある。そこで、わきの下に小さな穴を開け、内視鏡を見ながら、問題の交感神経節を電気メスで切除する治療法だ。

 全身麻酔をかけて、30分程度で終了。体の負担が少なく、翌日には退院できる。保険も適用されるが、麻酔科、ペインクリニック科、胸部外科、心臓血管外科などの1部でしか、まだ実施されていない。

 ただし、手術後に背中や腹部に発汗が増えることもある。長年、苦しんでいる人は、手術数の多い専門医に相談するといい。

(医療情報部・前野一雄)

2001年6月24日 日曜版

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