内観療法

 筆者(仲村)が、平成16年9月、第23回心理臨床学会で奈良内観研修所の三木潤子先生の「カウンセラー要請における記録内観の効果」(カウンセラーもクライエント体験をすることで「自己肯定」「共感的理解」が向上する)の発表を聴いて、内観について自分なりにまとめておこうと思いました。

そこで、ここでは奈良内観研修所の内観研修案内文を参考・引用して紹介し、後で筆者の考えを述べたいと思います。

内観療法は、森田療法と並ぶ日本生まれの心理療法で、ルーツは浄土真宗の一派に伝わる「身調べ」という求道法です。

これを体得した奈良県の吉本伊信(故人)が、五十数年前、宗教色を除き、一般向けの自己探求法として確立しました。

吉本の口癖は「いつ死んでもいいように」という。内観の本質はいつ死ぬかわからない身の上であることを実感した無常観を基礎にして、ともすれば自分の身さえ良ければと考える自己中心的な罪深い自分を自覚し、周囲の人々をはじめ天地自然の恩恵によって生かされている身を素直に感謝するところにあります。

現在、専門の内観研修所が全国に20箇所、精神科等病院が10箇所程で、少年院等の矯正施設や大学等の教育施設内、さらには国際内観学会等海外にも普及しています。

内観療法は、研修所に1週間宿泊して行う「集中内観」と、日常内観があります。

集中内観の方法は次の通りです。

1.静かな個室で、楽な姿勢で座ります。屏風で囲むと落ち着きます。

2.そして、朝から夜まで1週間かけて母に対する自分を

@世話になったこと

Aして返したこと

B迷惑をかけたこと

の3点のテーマについて、具体的な事実を調べます。

3.調べるのは年代順。小学校低学年、ついで高学年、中学校、高校と年代を区切って、現在まで調べます。

4.母親の次は父親、兄弟姉妹、配偶者、身近な人の順に調べます。

5.その間指導者は、1〜2時間ごとに3〜5分面接して、テーマ通りに内観しているかチェックします。カウンセリングはしません。

「この時間、誰に対するいつ頃の自分を調べて下さいましたか。」

「母に対する中学時代の自分を調べていました。お世話になったことは・・・・。して返したことは・・・・。迷惑をかけたことは・・・・。」

「ありがとうございました。次にお母さんに対する高校時代の自分を調べてください。」

6.内観には、その他「養育費の計算」や「嘘と盗み」というテーマもあります。

7.研修所では朝6時起床。洗顔と清掃の後、6時半から夜の9時まで、入浴とトイレの他は静かに座って内観します。食事は自室でとります。

8.テレビやラジオの視聴、読書、他の人とのおしゃべりは厳禁。緊急の用事以外は電話もかけません。心の世界に集中できるように、外部からの刺激を最小限にするのです。

次は、内観の過程についてです。

個人差はありますが、1週間の内観の過程は3期に分けられるそうです。

奈良内観研修所では、内観への紹介(20分)ビデオを見てもらい、説明後、10日間の集中内観に入ってもらう(8月の夏休みに行なう人が多い)。

内観後、30分スピーチやグループセッションを行なったりする。

(フロアからの意見)

ある臨床心理士:私が集中内観をやって良かったと思うのは、どんな話しを聞いても動揺したり批判的にならなくなった。クライエントの中のものが自分の中にもあると感じられるようになった。被害者意識から抜け出せない人も、自分にもいいことはあったと気づく人もいる。

発表者:何かしてもらったことという内観の視点が役に立っているかもしれない。迷惑かけたと認めることも大変だが、自分の気づきがある。栗田先生は10日間の集中内観をしたそうですが、そこまでできない方も5分でも自分を内観する、内観の視点を相談に使用するという方法もあると思います。

座長:内観したことをスピーチで聞いてくれる人の存在もありますね。

発表者:勿論聞いてくれる人が居る方がいいです。内観の報告スピーチもした方がいいですが、報告することよりも、内観して思い出すことに重点を置いています。そして、内観して報告したことは、尊重して批判的なコメントはしないようにします。

事例では、内観でAさんの人々への誤解がとける。両親に対しても思い込みがあったが別の見方ができるようになっています。

(感想及び聞いた後の着想)

@内観や認知行動療法の健康度から見た適応範囲

精神的健康度高                                  病的

       内観         認知療法(うつ病等) 認知行動療法(統合失調症) 

    (報告について    (認知の歪みを修正) (SST等ロールプレイで修正)   

コメントはしない)

Aある臨床心理士が「集中内観をやって良かったと思うのは、どんな話しを聞いても動揺したり批判的にならなくなった。」とコメントしているが、カウンセラーにとってどんな話しを聞いてもしっかり受け止めて聞くことが大事で、例えば、DSMの多軸評定に当てはめることでしっかり聞けているという方法でもしっかり聞ければよいのでしょう。


奈良内観研修所
 日本ロールレタリング学会