森田療法

 
日本人のオリジナルな心理療法の中でも、最もポピュラーと思われる療法である。以前から心理学の教科書で知ってはい
たが、その真髄を感じたのは第5回開高健賞を受賞作『神経症の時代 わが内なる森田正馬』渡辺正夫著を読んだ時である。

ちなみに「開高健賞」は芥川賞作家で平成元年にガンで亡くなった開高健さん(享年58)の業績をたたえるため平成3年に創設。世界中を駆け回った開高さんの名にふさわしい若き「行動作家」育成を目的にジャンルは不問で、「創造的な人間洞察の作品」が対象という異色の文学賞として知られている。

心理学書といってもいい内容で、しかも創造的な人間洞察の文学作品であるため、内容は面白く、さらにある程度心理学の知識のある私には、とても刺激的な本であった。自分の内的体験と照らし合わせるようにして読み続け、一見理解しがたい神経症の症状や治癒体験がわかった。その神経症的症状がよくわかるということは、自分の中にも微量ながらその要素が含まれており、そのことを拡大して共感できるからであろう。特に森田神経質や対人恐怖という日本人に多いタイプの神経症には有効と思われる。

森田療法からの、私が有効と思っている基本的治療方針は、@症状はそのままでも、日常生活に支障をきたさないようになすべきことをなす、A嫌な気分になっても、気分転換できないことを苦にしない。なぜなら、気分感情は流れているもので、時間とともに自然に薄まっていくものだから、無理に変えようとするとかえってそれが固着したり、またそんな気分になったらどうしようという予期不安が起きて日常生活に支障をきたしてくるからである。(勿論、上手に気分転換できる人はした方がよいし、治療の対象ではない。)

精神分裂病やうつ病には、森田療法よりも薬物療法、認知行動療法等が効果的であろうし、森田療法もそれが効果的な場合のみ適応するべきであろう。

リンク:Mental Health Okamoto

蛇足ながら、手術が有効な多汗症、赤面症もあることを紹介しておく。

リンク:からだ・けあ