ライフサイクルからみた老齢期

 E・H・エリクソンによる人生をライフサイクルとして見る見方をすれば、それはひとまわりしてまた元に戻るという意味である。人間の一生を四季にたとえて、四つの段階に分けるならば次のようになる。

(T)幼少期(春)0〜12歳;母子一体感で与えられる物をそのまま受け入れる基本的信頼感。
(U)青年期(夏)0〜20代後半;疑い批判的だが成長の時期。人生の夏であり、苗が育つと元の場所から離れて別のより広い場所へ植えられる。
(V)成人期(秋)30歳前後〜60歳ないし65歳;特に40〜50代は、「次の世代を確立し導いていくこと」自分の子、弟子、作品、業績等後の世に残すべく生み出される物全て
をさす。幼い者等に対して配慮して成長を助け導いていく。
(W)老年期(冬)60代半ば以降;人生の冬にあたる老年期は老化現象などネガテイブにしか考えられない傾向がある。しかし、老年期は人生の完結期として重要な意味を持っている。たとえば、人間はその生涯をかけて1枚の自画像を描き上げるのだと考えてみた場合に、その自画像を完成される時期が老年期なのか、という問いかけである。
 自分の祖父母や親、いずれは自分の問題になる。生涯発達の完成期としての老齢期を人生すべての時期をカバーするライフサイクルの完結として老齢期を考える。ぼけとか否定的にしかとらえられない時期であるが、その人の人生の完結期としての重要な意味を持つ。
 老人になるまでの様々な体験や出来事の中には辛い悲しい出来事や自分を苦しめた人々の思い出も含まれる。しかし、それらすべてを自分の精神的成長に必要なものであったと肯定的に受け入れることが出来るかどうかが老年期における最も切実な問題である。両親に対する思いが特に大切で、どういう親にしろ自分の根底をなすものとして、すべて肯定し受け入れ感謝する気持ちである。それを受け入れられないともう一度やり直す時間がないと絶望感に陥る。宗教的な来世や輪廻の考え方も気持ちをやすらかにするために有効なこともある。

 老年期において、自分が年をとっていくことを受け入れ、よく適応していることを、よき老後(サクセスフル・エイジング)という。
 男性の職業からの引退後の老人パーソナリティを5つのタイプ分けした。 (S.レイチャードによる)
1.円熟型:自分と自分の過去を受け入れ、未来志向である。日常生活でも建設的である。
  引退後も積極的に社会参加をし、色々な趣味を持つ。対人関係でも満足感が強く、良  い関係を作ろうと努力もする。
2.揺り椅子型:もともと受け身的な人であり、老年期には責任から解放され受け身でい たいという欲求が受け入れられるので、老年期を歓迎する。引退していることに満足し ており、仕事に対する野心はない。 
3.よろい・かぶと型は老化の不安に対する防衛が非常に強いが、防衛がうまく働いてい るので、一応適応はしている。この型の人は老人になって受け身になったり、無力にな ったりすることに直面できないので、体の衰えを認めず活動的であることによって衰え を隠そうとする。
4.憤慨型(外罰)は、人生の目標を達成できなかったことを悔い、その原因を他人のせ いにして、他人を批判する。したがって、老いを受け入れることが出来ない。
5.自己嫌悪型は、(内罰)は、自分の過去を失望と失敗としてしか見ることが出来ない 人である。原因を自分と運が悪かったことに求める。老年期が近づくと抑鬱的になりや すい。不全感と自分には価値がないという感情が強い。

リンク:ライフサイクル、その完結(E・H・エリクソン)