オリジナルアルバムを取り上げています。タイトルの横の点数は、筆者のお勧め度数です。

1.ポール・マッカートニー 7点

1970年4月発売。英1位、米1位

このソロアルバム発表のときにビートルズ脱退をマスコミに公表し(ポールが最後に抜けたのが実態のようだが)、レットイットビーより先に発売された。素朴なアコースティックなアルバムで、素朴な味わいがある。ポールが殆ど一人で全ての楽器を担当してる。

2011年リマスター発売

2.ラム 9点

1971年5月発売。英1位、米1位

当時は酷評されたが、No1ヒットした素晴らしいポール初期の傑作アルバム。ビートルズの雰囲気も少し漂っている。メロディは美しいが、歌詞には解散後の葛藤が現れている。

2012年リマスター発売


3.ワイルド・ライフ 4点

1971年12月発売。英11位、米10位

ライブ活動を開始したいポールが短期間で仕上げた。荒削りなライブ風の味があるアルバム
マンボ、ピーポップは、やや雑な感じがあるが、バラッドのラブ・イズ・ストレンジ、サム・ピープル・ネバー・ノウ、トゥマロウは名作と言える作品。



4.レッド・ローズ・スピード・ウェイ 5点

1973年5月発売。英5位、米1位

マイ・ラブはヒットした。ソフトな作りで、ちょっとプログレっぽくもある。




5.バンド・オン・ザ・ラン 9点

1973年12月発売。英1位、米1位;年間ビルボード3位

ソロとしての面目躍如となったポールで最も評価の高いアルバム。このアルバムまでは売上げでは成功しても、評論家にイマイチの評価であったポールがソロになって初めて評論家から大賞賛を受けた。それだけ、ポールに対する期待が大きかったとも言える。前のバンドメンバーが抜け、アフリカ録音中、デモテープを金品と一緒に強盗に盗まれたりしたが、デニー・レイン、愛妻リンダと仕上げた。ドラムスはポール担当。ピカソの遺言はダスティン・ホフマンの目の前で作り上げたものであり、ダスティン・ホフマンは感動したそうだ。
2010年リマスターの第1作
として発売。


6.ビーナス・アンド・マース 8点

1975年5月発売。英1位、米1位

華やかな作りで、マジカル・ミステリー・ツアーを連想する。オープニングは次のウイングス・オーバーアメリカのオープニングにも使っている。

2014年リマスター発売


7.ウイングス・アット・ザ・スピード・オブ・サウンド 6点

1976年3月発売。英2位、米1位;年間ビルボード3位

前作と雰囲気を変え、地味めにシンプルに仕上げている。ライブを意識して他のメンバーがボーカルを取る曲も数曲ある。アメリカ公演中であったこともあり、アメリカではかなり売れた。

2014年リマスター発売


8.ウィングス・オーバー・アメリカ 8点

1976年12月発売。英8位、米1位

大成功であったライブをそっくり収録してある。アナログ盤の時は3枚組みで発売されたボリューム満点で、内容も充実の傑作。当時はビートルズ曲を堂々と数曲行ったことが、ファンを歓喜させた。

2013年リマスター発売。 嬉しいことに長い間ビデオやレーザーディスクでしか見られなかったロック・ショウも映像をリマスターしてDVD、ブルーレイで発売。


9.ロンドン・タウン 8点

1978年3月発売。英4位、米2位

いい意味で枯れた雰囲気の情緒あるアルバム。船上で録音した曲もあり、りラックスしたアルバム。メンバーはまた3人に減ってしまった。



10.バック・トゥ・ジ・エッグ 6点

1979年6月発売。英6位、米8位

新メンバーでロッケストラも含む意欲作。ちょっと凝り過ぎ、力みすぎの感じはあるが面白い。この中の曲を中心としたツアーの時、日本公演の時に大麻持込で公演中止となる。デニー・レインは愛想を尽かしウィングスを脱退し、ウィングス解散となる。


11.ポール・マッカートニーU 8点

1980年5月発売。英1位、米3位

テクノポップにポールが挑戦。カミングアップは、ジョンもほめていたそうだ。1作目と同様ポールが殆ど一人で全ての楽器を担当している。ポールは器用だと感心する。日本で大麻で数日牢獄に入れられたため、フローズン・ジャパニーズというインストルメンタル曲を作っている。2015年のアウトゼア・ツアーで、テンポラリー・セクレタリーがライブ演奏され、ファンを驚かせた。

2011年リマスター発売


12.タッグ・オブ・ウォー 9点

1982年4月発売。英1位、米1位

ジョンレノン暗殺というショッキングな出来事の後、作り上げた傑作アルバム。全英全米1位となった。スティービーワンダーとのデュエットやジョンに捧げるヒアトゥデイを収録。赤と青のアルバムジャケットはポールの内省的な雰囲気と情熱を現しているようだ。

2015年10月にリマスターアルバム発売。(リミックスを含む)

13.パイプスオブ・ピース 6点

1982年4月発売。英4位、米15位

前作の続編アルバム。雰囲気は明るく軽快になっている。マイケル・ジャクソンのセイセイセイを収録。マイケルに音楽著作権ビジネスを勧めたら、スリラーで儲けたお金でビートルズの曲の権利を買われてしまい、ショックを受けていたが、仲直りしたそうだ。

2015年10月にリマスターアルバム発売。

14.ヤア!ブロードストリート 6点

1984年10月発売。英1位、米21位

映画は興行的には成功せず、ジョージ・ハリスンはあれでポールは謙虚になったと話している。サウンドトラックでビートルズや前作のライブを含み音楽的には結構楽しめる。ひとりぽっちのロンリーナイトを収録。演奏場面だけを見れば、リンゴ・スターも出ているし、なかなか良いのではないかと思う。結末を夢落ちにするのは、素人ぽいが、ポールはバンド・オン・ザ・ランの時にデモテープが盗まれたこと、日本公演で牢獄入りして前科者になった経験の癒しの作品と考えれば興味深い。


15.プレス・トゥ・プレイ 5点

1986年9月発売。英8位、米30位

リズムを強調したり、新しい雰囲気だがポールファンは違和感を感じたのだろうか、それほど悪くないと思うが、セールスはこれまでのポールにしてはイマイチであった。タイトル曲プレスは、大ヒットしなかったがなかなかいい曲。


16.バック・イン・ザ・USSR(Choba B CCCP) 6点

1988年10月発売。英-位、米109位

当初、ソ連のみで発売された他の人の曲をカバーしたストレートなロックンロールアルバム。バンドのリハーサルを含めてのリラックスしたレコーディングのようだが、当時手に入りにくい希少価値もあり、内容は絶賛された。筆者もやや高い値段で手に入れたが、その後ボーナストラックをつけてCD化された。ポールは、手に入りにくいので大好評なら、新作は一枚だけ地下に埋めようかなとふざけていっている。


17.フラワーズ・イン・ザ・ダート 9点

1989年6月発売。英1位、米21位

日本で大麻で逮捕された経験や前作の不評で作られたかと思われるマイ・ブレイブ・フェイスは、エルビス・コステロとの共作だが、その辛い経験を明るく笑い飛ばせるくらいの勢いがある。プット・イット・ゼア等の名曲を含むが、ラフ・ライド等味のあるというか奇妙な感じの曲も含む。ポールもこのアルバムの仕上がりに満足しており、ワールド・ツアーをはじめる等、この後意欲的な活躍が続く。ある意味で、ポールを復活させたアルバム。

2017年4月にリマスターアルバム発売。new

18.トリッピング・ザ・ライブ・ファンタステック 8点

1990年11月発売。英-位、米26位

前作で復活したポールがワールドツアーを行い、嬉しい事に過半数の曲が、ビートルズ・ナンバーであった。このライブはビートルズファンを歓喜させた。ポールは、ビートルズは他のメンバーが揃ってのことであり、スフレは温めなおせないとインタビューで語っている。しかし、ここには、ビートルズの中核であったポールのビートルズ解釈を聞くことができる。


19.公式海賊盤 7点

1991年5月発売。英14位、米-位

アコースティック・ライブ。しゃれたタイトルで、演奏も内容も充分に楽しめる。



20..オフ・ザ・グラウンド 7点

1991年5月発売。英14位、米17位

明るく軽いタッチの空を飛ぶようなイメージの仕上がりが多い。ライブを意識した作りだが、フラワーズ・イン・ザ・ダートのような陰影はない。



21.ポール・イズ・ライブ 8点

1993年11月発売。英-位、米26位

2度目のワールドツアー。ビートルズのドライブ・マイ・カーからはじまり、ビートルズがライブを中止した以降の曲もシンセサイザー等で再現しており、非常に楽しませてくれる。ジャケットは、アビイ・ロードのパロディ、やってくれますね。


21.フレミング・バイ 8点

1997年5月発売。英2位、米2位

ビートルズ・アンソロジーのフリー・アズ・ア・バードのプロデュースをしたジェフ・リンがこのアルバムをプロデュース。円熟を感じさせるシンプルさがある。



22.ラン・デビル・ラン 6点

1999年10月発売。英12位、米27位

Choba B CCCPの時より、本格的にロックンロール・カバー曲に取り組んでいる。キャバーンでもライブは行っており、原点復帰の意味もあるようだ。まだまだおとなしく老いることはないぞと迫力のあるボーカルを聞かせる。オリジナル曲も昔のカバー曲の中に溶け込んでいる。やはり、ポールは器用です。



23.ドライビング・レイン 7点

2001年10月発売。英46位、米26位

ポール21世紀初めての作品でCDにPaul McCartney 2001と手書きの刻印入りである。ちなみに、ソロ活動30年で20枚目のオリジナルアルバムである。
今回ポールは、ビートルズ時代ラバーソウルやリボルバーの時代のように、時間をかけすぎず仕上げることを意図したらしい。そのためか、リボルバーに収録されているジョージが書くようなインドぽい曲もはいっている。
インドで過ごした時に作った曲も何曲かあるのは、ビートルズ時代マネージャーが死んだ時、インドで瞑想したように愛妻リンダが死んで、同じようにインドへ行ったのかと連想してしまう。
 日本盤アルバム解説の松村雄策氏は「プレス・ツゥ・プレイ」に似ていると語っているが、ポール自身はアメリカで録音したので、「ラム」に似ているのではないかとインタビューで話している。
ラブリー・リンダという曲がファーストアルバムに入っているが、このアルバムにはへザーという婚約者の名前の曲が入ってる。そして、なんと息子ジェームスとの共作が2曲初めて収録されている。あれ?ポールの新境地の曲かな。と思ったら息子との共作であった。面白いベースフレーズとラップの影響が感じられる曲である。
 シングルカットされたフロムラバートゥフレンドは、ヒアゼアアンドエブリホェア等ビートルズのバラッドをポールが作っていたことを思い出すような美しい曲である。但しビートルズ時代にはシングルカットするような曲ではなかっただろう。
 そして、CDのクレジットに入っていないが、急遽ラストの曲として収録されているフリーダムはテロ救済のコンサートフォーニューヨークでのラストナンバーでもあり、リードギターはエリック・クラプトンが弾いている。ポール版、ジョンの「平和を我らに」と言われているが、私は最初クイーンの「ウィウィルユーロックユー」を連想した。
 現時点でポールとしては商業的に成功しているとアルバムとは言えないが、駄作ではなく、常に新境地を開いていく、前向きなポールの意欲作である。(2002年4月30日付け「ビルボード」でゴールドディスクに認定された。)

ドライビングUSAライブの曲目

24.ケイオス・アンド・クリエーション・イン・ザ・バックヤード 8点

2005年9月発売。英10位、米6位

ポールの4年ぶりのオリジナルアルバムは、レディオヘッドのプロデューサーとして有名なナイジェル・ゴットリッチがプロデュースしている。ポールはプロデューサーの提案で殆どの楽器を一人で弾いているが、プロデューサーとのコラボレーションは「最高のバンド・メイトと仕事をしてるようだった。」と充実したものだった。ジョン(・レノン)のときと似てた。」というのは、エルビス・コステロに続いて2人目。ポールの作風とレディオヘッドの作風はかなり違っている。そのため、今回のポールの曲はひとひねりしてある感じで、じわじわと良さが分かってきて聴き飽きにくい仕上がりになっている。雰囲気で行くと、ちょっとサイケで切ない感じ。もしかすると、ソロ1作目の「マッカートニー」を磨き上げると、今度の新作の雰囲気に近づくかもしれない。ちなみにシングルでもリリースされた1曲目のファインラインは、日本のオリコンで1位になっている。

25.メモリー・オールモスト・フル 8点

2007年6月発売。英5位、米3位

スターバックスの新レーベル「ヒア・ミュージック」からの発売。私はスターバックスというと映画「アイ・アム・サム」を思い出してしまう。

前作からの期間が短いのは、後半のメドレーの曲はドライビング・レインの頃に出来上がっていたためらしい。後半のメドレーは、子供時代の回顧的な歌詞の内容となっており、バンド演奏になっている。バンド演奏によるナンバーが6曲、ポール一人による演奏は7曲という構成である。

新アルバムは、ケイオスが実験的・渋め・新しいポールの魅力を開拓しているという印象だとすると、今回の新アルバムはポールの王道のポップなアプローチ、シンプルなコード進行になっている。

離婚後まもないリリースだったが、ポールは昔から逆境にこそ名作を残すことができていたので、期待はしていた。内容はレット・イット・ビーのようなバラッド中心になるかと思ったら、意外にはつらつとした感じの曲が多かった。特に1曲目のダンス・トゥナイトはマンドリンの音が印象的な名作になっている。しかし、エ・ジ・ンド・オブ・ジ・エンドは、「僕が死ぬ日には冗談を飛ばしてほしい、そして昔話を絨毯のように繰り出してほしい」とポールが死について歌っている曲である。ポールに言わせるとそれで終わるとファンに重い気持ちを残すことになると、ロックン・ロール・ナンバー「ノド・ユア・ヘッド」で締めくくっている。ポールの創作意欲は、新たに燃え上がっている印象を受ける。}

26.グッド・イヴニング・ニューヨーク・シティ   8点

2009年11月発売

シェイ・スタジアムに替わる球場として2009年に建設されたシティ・フィールドで、最初にコンサートを行ったライブである。2015年来日時武道館で演奏しなかった「アイム・ダウン」を演奏しており、ジョンの楽曲として、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」と「平和を我々に」を演奏している。オープニングからラストまでたっぷり33曲収録されている。DVD付きでも発売されており、映像でも楽しめる。肝心の演奏は素晴らしい出来であり、ジャケットにポールの達成感が表れているように感じる。Sing The ChangesとHighwayというファイアー・マンの曲が2曲演奏されているのがこの時期のライブの特徴であろう。そして、「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」では、ビリー・ジョエルがゲスト参加しているのはビリーのファンとしても嬉しい。


27.キス・オン・ザ・ボトム  6点
2012年2月発売。英3位、米5位
 ポールによると、ジャズのカバーアルバムを作る構想はずっと温めてきたそうだが、私は、マイ・バレンタインというオリジナルの名曲ができたのが、制作に踏み切った理由ではないかと思う。アウトゼア・ツアーではマイ・バレンタインをナンシーのためにと言って演奏している。自作ならライブで演奏しても楽曲使用料も払う必要はないという理由もあるだろうが、ジャズのスタンダードナンバーの中でもマイ・バレンタインは光っている。ギター・ソロはクラプトンが弾いているらしいが、ビデオではジョニー・デップが演奏している場面が使われている。このアルバムをそのままiTuneで生演奏して、発売している。そのライブはモノクロで、エルビス・コステロの奥さんのダイアナ・クラークがピアノを弾いているのが分る。




28.NEW  8点 
2013年10月発売。英3位、米3位
ポールは、NEWといういつまでも古びることのない新しく感じる曲を作れたと思ったのだろう。ポール自身はペニー・レインにホーンが似ていると語っているせいか、アウトゼア・ツアーでは、ペニー・レインをリハーサルでは行ってもとNEWと一緒に演奏したことはない。このアルバムで、ポールは新進気鋭のプロデューサーを曲ごとに採用している。前作で古いジャズ・カバーを制作した反対をやってみたかったのであろうか。2013年の来日ライブ前に日本先行発売ということもあり、日本では2位(デイリーチャートでは1位)とヒットし、ゴールドディスク(10万枚販売)にも認定された。アウト・ゼア・ツアーでは、2曲目にセイブ・アス
そしてNEW、クイニー・アイ等がセットリストに入っており、ファンにとっても馴染み深いアルバムになっている。特に日本では、2014年に再来日した時には、ウィルス性胃腸炎で中止となっており、2015年には武道館ライブも含めて、見事にリベンジしてくれたことが歴史に残るうれしい出来事であった。アウトゼア・ツアーが3年にわたって実施されため、このアルバムも様々なバージョンで販売された。


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