16.レット・イット・ビー・ネイキッド

フィル・スペクターのほどこしたストリングスを取り去り、オーバーダビングなしのスタジオライブというもともとのコンセプトを最新技術により実現させたアルバム(ポールの執念?)。

イエロー・サブマリン・ソングトラックのようにレット・イット・ビーDVD発売にあわせて、発売されたCDと思ったら、未だにDVDは発売されていない。

ネイキッド(裸)というが、編集はしているので、(整形)素肌美人と言えるかもしれない(本当にそのままはアンソロジー3のバージョン)。

このアルバムで新鮮な感じがするのはやはり、ストリングスがなくなった曲で、ロング・アンド・ワインディング・ロードはポールの歌声がみずみずしく、やさしい感じがする。ちなみにオリジナルと違うバージョンを使ったのは、ストリングスを取り除いたら、ジョンのベースのミスタッチが目立つのでそのまま収録できなかったというが本当なら、ストリングスにはミスタッチを覆い隠す意味もあったわけだ。フィル・スペクターのストリングスはインパクトが強く、解散間近の鬼気迫る切ない感じがして、ドラマチックである。ジョンやジョージがソロになってからも、フィル・スペクターのプロデュースを採用したのもそういう手腕を評価したのであろう。アクロス・ザ・ユニバースでは、スペクターはテープ速度を落としているので、ジョンの声が低く太くなっているが、ネイキッドでは通常のテープスピードなのでジョンの声が生々しく感じて好ましい。レット・イット・ビーもポールの歌声やピアノも生々しく美しい。ここでは第3のリードギターが採用されており珍しい。しかし、シングルバージョンのリードギターの方がかっちりした感じだし、オリジナルアルバムのリードギターの方が鋭い感じがしており、第3のリードギターがこれまでメインに使われなかったのも納得だ。

同じアルバムをあえて別編集で発売するには、新鮮味が必要なので、曲も入れ替えてある。マギー・メイとディグ・イットを外し、ドント・レット・ミー・ダウンを入れている。ドント・レット・ミー・ダウンは名曲なのでアルバムに入れたのは正解だろう。ジョンの「オーディションに受かるかな?」というおどけたおしゃべり等もカットしてあるのも、完成された楽曲のみで構成しようという考えなのだろう。

スペクターの編集をそのまま踏襲している所もあり、ディグ・ア・ポニーでオープニングのコーラスがカットされたままであったり、アイ・ミー・マインで本当は1分30秒位なのを2分30秒に伸ばしたりしているのはそのまま残してある。

ファンとしては、レット・イット・ビーを当初のオーバーダブなし、ライブアルバムコンセプトで聴けることを素直に喜びたい。


1. Get Back
2. Dig A Pony
3. For You Blue
4. The Long And Winding Road
5. Two Of Us
6. I've Got A Feeling
7. One After 909
8. Don't Let Me Down
9. I Me Mine
10. Across The Universe
11. Let It Be