KANの冒険
Quest2:魔人巡りin東京


 連休が取れた。GWの手前。家でGPMやAC2をやってようかと不健康なコトを考えつつも
「そういえばもうじき五色不動絡みの話になるな……行ってみるか」
 と安易な考えで旅を決めたのが4月23日頃。
 さて、それじゃあ行き先は五色不動だな。それと等々力不動。寛永寺と花園神社、それに富岡八幡にも行こう。まずは周辺の地理の確認だ。特に五色不動。ガイドなんかには、目黒不動は載っていても、他は全然載ってないしな。パソコンを立ち上げ、ネットの海へダイブ。五色不動で検索をかけると、番地、最寄りの駅の情報込みのサイトを発見。そこで驚く。
「目黄不動が……二つ?」
 そうなのだ。何故か目黄不動が二つあるのだ。魔人のガイドブックでは江戸川区の最勝寺とあったが、それとは別に、台東区の永久寺というのが同じく目黄不動になっている。これは一体?
「よし、二つとも行こう」
 迷うより観に行った方が面白い。ってことで、どっちも行く事にした。後はガイドに場所も書いてあるし、下調べの必要もないだろう。ということで次は交通手段と宿だな。親戚の家というのも考えたが、旅の拠点としてはちと駅から遠い。ビジネスホテルをとることにした。交通手段は新幹線にするのが定石だが、夜間高速バスに変更。安いし。
 と、ここまではよかったのだが。職に就いている人間である以上、しかも私の職場の性質上、外泊の場合は届けを出さねばならない。期間と場所を記入して提出。すると、次の仕事の日に上司の一言。
「KANちゃん。うちの課長がな、行き先を出してくれって」
「はい……?」
「何日に東京のどこへ行くのか、出してくれって言っとんじゃ。頼むわ」
 ……行き当たりばったりで適当に回ろうと思ってたのになぁ。仕方なく予定表を作り、次の仕事の日に提出。行き先は寺社関係ばかり……きっとヘンな人間だと思われたに違いない。この時、行き先に柴又帝釈天を追加した。何となく。
 だけど上司よ。
「KANちゃん、あんましヘンなトコに行くなよ」
 はないでしょう。大体、ヘンなトコってどこ?
「あんまし遊び慣れてないんじゃけぇ、ボッタクられたりせんようにな」
「……はぁ……」
 いや、確かに遊び慣れてないけど。飲み屋に行くつもりは毛頭無いですよ。一人で飲むなら、コンビニで買いますって。
 さらに班長よ。
「せっかく東京まで行くんじゃけぇ、遊んできたらええが」
 と、意味ありげに笑うのは何故? 遊ぶってどこで? 言葉の裏に潜むものの意味は分かるけど……行かないよ、キョーミはあるけど。いろいろ怖いから。……こんなだから、お子さまなんだよな、俺。



 さて、28日出発当日。バスの予約もすんだし。荷物も準備完了。そんな中で俺はCD屋を駆け回ってGPMのサントラを探したり、「変生」を書いたりしていた。CDは見つかったので、歌だけMDに落とし、持っていく事にする。「変生」も何とか完成。
 後は出発。駅前のバスターミナルを20時50分頃に出発。行き先は新宿駅。道中は寝てたので特に書く事はない。ただ、少し寒かった。

 29日。6時50分に新宿駅西口到着。天候は雨、というか曇り空。とりあえず駅に入り、最初の目的地の世田谷区へ向かう。ややこしい乗り継ぎをしながら東急大井町線の等々力駅へ。
 そこから渓谷経由で等々力不動尊へ向かう。本当なら渓谷を端から歩きたかったのだが、何やら橋の工事中で途中から渓谷入り。涼しく薄暗い道を進むと、途中の案内板で古墳がある事が判明した。しかも横穴。こりゃあ見ておこうと少し寄り道。
 どうやら三つあるようだったが、そのうち二つは横穴跡となっており、見る事ができたのは一つだけ。入口を透明な板(多分強化ガラスかプラスチック)で塞いでおり、中が見られるようになっていた。と言っても板は曇っていたし、明かりも小さいので良くは見えなかったけど。
 他にも大きな古墳があったみたいだが、寄り道ばかりというわけにもいかず、素直に等々力不動へ向かう。渓谷を抜けると不動の滝の所に出た。滝音が周囲に轟いたことから等々力の地名が付いたと言われているらしいが、今では滝と呼ぶにはあまりにも水量が少なかった。チョロチョロという音が寂しい。
 そして等々力不動へ到着。立派な本堂はあるが思ったより境内は狭い。
「龍麻達、ここで闘ったのか? しかも大型怪獣(笑)五体込みの鬼道衆相手に?……戦闘フィールド、少しいじらないと大立ち回りができそうにないな」
 ある程度の構想ができていたので、そんな事を考えつつ正門から外へ出る。しかしここで疑問。
「拾三話って、背景見る限りじゃ渓谷通って正門に出てたよな……でも渓谷通ったら本堂の、向かって左脇に出てくるんだよなぁ」
 ひょっとしたら渓谷がまだ伸びていて、龍麻達は反対から来たのかとも思ったが、どうもそんな感じではなかった。大体、正門は道路に面していたし。……この辺も少しいじってみるか。
 とりあえず駅まで戻り、近くのマックで朝食を取った。

 次は目青不動教学院。東急新玉川線の三軒茶屋駅から出て探してみるが、どうも位置がよく分からない。しかしゼンリンの東京23区マップを買っておいたこと、下調べで番地まで控えていたことが功を奏し、何とか到着した。随分と奥まった所にあり、参拝客が迷うのではなどと考える。ここには大きな木もあり、いかにもな雰囲気があった。不動堂はすぐに見つかったが、肝心の不動尊は暗くて良く見えない。だからホントに目が青いのかは分からなかった。
 さて、次は目黒だな、とメモを開きながら歩いていると、MDウォークマンのイヤホンが急に外れた。見るとコードが木に引っ掛かっている。やれやれと思いつつイヤホンを回収し、リモコンに手を伸ばす。しかし
「あ、爪が折れた……」
 リモコンを留める爪が今ので折れてしまった。扱いづらくなったがどうしようもない。また今度瞬間接着剤で直すしかないなとウォークマンを片付けた。

 切符を買い間違えて、無駄な散財をしたりしたが、東急目蒲線の不動前駅から歩くこと約10分、目黒不動瀧泉寺へ到着。
 五色不動でも最大規模らしい。境内は広く、中央には小高い丘。ただ、ミョーにカラスの数が多く、広さとの相乗効果なのか、やけに寂しい印象を受けた。さては、渋谷にいた「あの男」が目黒へ潜伏してるのか? などとボケつつ敷地内を見て回る。ここには前不動堂、勢至堂といった都や区が指定した文化財があり、確認はできなかったが裏山は縄文〜弥生時代の遺跡なんかもあるらしい。それと、ここは魔人の第拾話にも名前だけ出てきた役行者ゆかりの場所らしく、銅製の役行者倚像があった。その背後左右に石像が二つ。役行者、ってことは前鬼と後鬼かな、とも思ったが、風化寸前といった感じの石像は銅像の方が立派な事もあって随分とみすぼらしい……。

 バスを待って目黒駅へ向かおうかとも思ったが、別に急ぐ旅ではないのでまた歩く。
 途中、大きな通りに出たところ、ある建物の前でたむろする少女4人を発見。どうやら中に入ろうとしているようだが何やら迷っている。何気に建物を見ると、こう記されていた。「目黒寄生虫館」と。どうしようかと思いつつ、無料だったので(笑)入ることにした。
 どんな所だったかの詳しい描写は避ける。感想は「凄い、キモい、恐い」であった……。

 目黒から新宿へ戻り、いい加減に宿を確保しておこうとガイドをめくる。ちょうどよい場所があり、TEL。この時期だから空き部屋がないかも、とも思ったが、何とか空いているらしい。2日滞在を希望してそのビジネスホテルへ向かった。これで重い荷物ともおさらばだ。
 到着し、チェックイン。荷物を置いて、とりあえずシャワーを浴びる。汗を流してベッドに倒れ込み――
「寝てどうするっ!?」
 2時間程して目が覚め、自分でツッコミを入れて、荷物を整理。軽装仕様でホテルを出た。すると雨が本格的に降り始める。一応携帯傘があったのだが、どうも小さく、傘の役割を果たしてくれない。仕方がないので途中で一本購入した。

 次の目的地は目白不動。都電荒川線に乗り、学習院下駅から徒歩で5分。ここはそこそこ建物が大きい。ただ、それは本堂に限り、不動堂はやはり小さい。目白不動は、かつては文京区にあったらしい。戦災で焼失した為、本尊を今の金乗院に移して合併したのだそうだ。
 ここには丸橋忠弥とやらの墓があった。どんな人物かは知らない。後で調べてみたら、あの由井正雪とともに幕府転覆を企んだ男らしい。キョーミがなかったのでお参りはしなかった。

 新宿に戻ってくるとやはり雨足は強い。フラフラしつつ建物を見ていると色々な看板がある。インターネットカフェの看板も幾つかあったので、適当な所に入る。実はネットカフェは初めてである。
 10分50円ということだったので、とりあえず自分のサイトの確認。出てくる時に慌ててUPしたから不具合がありそうで気になったからだ。
 とりあえず大事無かったので、レスを返して終了。真神庵にも行ってみたのだが、どうも左フレームが表示されないので諦めた。それに、入力の変換がだるい。やっぱり、うちのマシン、バリュー君のように変換がスムーズにいかない。特に魔人関連の語はまともに変換されなかった。当たり前だけど。

 店を出てしばらく進むと花園神社に到着した。意外と駅から近かった事に今更気づき、驚いた。天候と時間のせいか、参拝客はいない。おまけに本殿は工事中ときた。明るいうちに来ればもっと違った印象だったのだろうが、やっぱりどこか寂しげな雰囲気だ。
 気になった事が一つ。よく本殿入口に掛かっている額みたいなヤツ。花園神社の名は当然として、「雷電神社」と「大鳥神社」ってのは何の事だろう?
 それに、ここも予想していたより敷地が小さい。第拾伍話の時、コスモはどこでヒーローショーをやっていたのだろう? まさか本殿の真正面じゃないだろうな……(汗)

 これで初日の予定は全て消化した。
「さて、ホテルへ戻ろうか。途中で何か食べるかな」
 などと考えつつ花園神社を後にする。しかし、しばらく歩いてある事に気付いた。
「こっち、来た道じゃないな……」
 途中見えていた建物が見当たらない。おかしいなと思いつつ更に進むが、どうも寂しい場所に出る。
「ひょっとして、迷った?」
 とりあえず、賑やかそうな方へ移動する事にした。歩くことしばし、かなり賑やかな――否、賑やかすぎる場所へ出た。完全に迷っている。地図があっても現在位置が分からねば話にならない。とりあえず電柱に視線を移し――プレートを見て絶句。
「歌舞伎町……?」
 最悪な事にとんでもない場所へ迷い込んでしまった。時間帯が18時頃だったから、まだ危険は少ないだろうが、早く脱出しないと大変だ。白い学ランのおっさんに、身ぐるみ剥がされてしまう(乱)。とにかくやるべきコトは一つ。携帯を取り出し、耳に当てて、再び歩き出す。
 呼び込み対策である。こうしていれば客引きも声をかけてこないし、怪しい宗教も寄ってこない。足早に歌舞伎町を脱出した。

 多少疲れもしていたし、適当な店で食事をすると、ホテルに戻ってTV見て、さっさと寝た。時間は21時過ぎ。う〜ん、何て健康的な。地元じゃ考えられんな。



 翌日4月30日。天候雨。
 朝から出歩く気を削ぐ天気だが、時間は限られている。予定通り行動する事にした。
 今日の最初は文京区の目赤不動南谷寺。まずは切符を買うが、ここで切符を拾った。本日有効の、しかも目的地まで十分行けるやつ。頂いてしまおうかと邪な考えが頭を巡る。だが、根が小心者なのでやめた。駅員さんにそれを渡して、地下鉄南北線を利用して本駒込駅へ。
 マップとにらめっこしながら進む。歩くこと10分。
「あれ?」
 今いる場所の番地が、目的地と随分離れていた。また迷ったのだ。というより方向感覚が分からないから、見当違いの方へ歩いていたようだ。京都へ行った時は、道が規則正しかったし、案内板も豊富だったからこんな事はなかったのだが……。次からはコンパスが必須だなと学習し、もと来た道を戻る。ようやく到着。
 パッと見た感じでは、目白不動と同じくらいか、それより広いくらい。まあ、墓の敷地を考えると、どっちが大きいかとかは判断が難しい。現時点では、最大は目黒だけど。ここの不動堂には、目赤不動尊縁起と、江戸五色不動の場所が書かれた紙が置いてあった。不動に関しては交通まできちんと書いてある。五色巡りをするのなら、ここから回れば下調べの手間もあまりかからないかも。せっかくだから、一枚頂くことにした。

 再び電車を乗り継ぎ、次の目的地は一つ目の目黄不動永久寺。地下鉄日比谷線、三ノ輪駅で降り、地上に上がって歩くこと2分くらい? こんどはあっさりと見つける事ができた。できたのだが……
「ち、小さい……」
 本堂も、不動堂もこぢんまりとした、みすぼらしい寺(失礼)だった。ホントにここが、五色不動の一つなのかと疑いたくなる程。隣にあった墓地の方が、本堂と不動堂を足したより広いんじゃなかろうか? ひょっとすると、魔人の目黄不動がもう一方のになったのは、この狭さとみすぼらしさが原因なのかも知れない。

 気を取り直して上野へ戻る。次の目的地は最終決戦の地、寛永寺だ。とりあえず、上野公園を突っ切ってみようかなどと考え、歩く。途中、弁財天が目に映ったのでそこへ立ち寄り――いつの間にか、上野公園を出ていた(汗)。
 仕方なく、公園の外周を歩く。その途中で初老の女性に出会った。
「すみませんけど」
 と話しかけてきた女性は、俺に道を尋ねてきた。しかし、この辺の地理が分かるはずがない。
「すんません。俺、冒険者りょこうしゃなもんで……」
「あら、そうでしたか。てっきり学生さんかと……」
 一応、途中に交番があった事を思い出し、その場所を教えると、礼を言って去っていった。しかし別れて少しして気付く。
「あの交番、留守だったな……」
 悪いコトしたかなと思いつつ、まあ電話したら最寄りのお巡りさんが帰ってくるからいいか、と自分を納得させてまた歩き出す。
 そして、ようやく到着、寛永寺。まあ、迷ったお陰で、裏から入ってしまったんだが。
 ここも、何だか寂しい印象を受けた。っていうか、寺のような気がしなかった。壁で囲まれているわけでもなし、すぐ近くに保育園か幼稚園みたいなのが見えるし。寺独特の雰囲気のようなものはあまり感じられない。京都辺りは、いくら町の真ん中にあっても、それらしさが漂ってたのにな。
 とにかく、ここが決戦の地、ってことで。周囲を見回して構想を練る。
「近くに民家があるけど、これは人払いでも掛ければ問題なし。どうせ夜だし。地震なんかでみんな大人しく――って、ひょっとしてここって避難場所とかになってるかも。……そしたら柳生達と鉢合わせ!?どうしよう。近所の皆さんには柳生の犠牲になってもらうのが自然かも(鬼)」
 などと考えつつ、大まかなイメージはできたので寛永寺を後にした。

 帰りに上野公園内を歩く。これも「弐拾参話でやってみたいことがあるのでそのための下調べ」だ。ちょうどいい場所があったので、そこに決める。まあ、集合地点はあそこにして、侵攻ルートはこう、と。で、彼女らにはこの辺で……っとっと、ま、この話は第弐拾参話までおあずけ(笑)

 さて、今日の寺巡りはこれにて終了。せっかく上野まで来たのだからとアメ横へ向かった。
 雨だというのにすごい人だった。色々な店が建ち並んでいる。岡山の商店街とは天と地の差だ。いや、比べるだけアメ横に失礼か。
 特に買う物があるわけでもなく、ただ見て回っていただけなのだが、ふとある店で足が止まる。某ミリタリーショップ。引き込まれるように店に入り(笑)、タグを見つけて即、製作依頼(爆)。だって、以前作ったのがぼろかったんだもの。
 アメ横まで来て、買ったのはそれだけだった。

 時間がだいぶ余っていたので、新宿に戻る途中で秋葉原に寄る。別にパーツを漁りに来たわけではなく、単に探し物。某DVDソフトだ。製作中止になってるらしく、しかも岡山では全滅していて、ここならあるいはと思ったのだが……。
 ありましたよ。しかも中古でなく、新品が。それも複数。さすが東京。物資の量はハンパじゃない。速攻で買いました。で、何を買ったかって? まあ、某勇者シリーズのBOXのDIVISION2ってことで(判る人には判るだろうな)。

 そして新宿へ。昨日立ち寄ったネットカフェに入って、宿帳のチェック。レスを返してホテルに戻った。



 5月1日。天候晴れ。
 旅行最終日。今日で旅も終わりだ。つまり、ホテルも出なくてはならず、荷物も全部持たないとならない。しかも、連日歩き通しだったせいか、足にマメができかけていた。昔はこの程度でマメなんてできなかたのだが……。新宿駅までは歩いていたのだが、新宿三丁目の地下鉄で新宿駅まで向かう。

 最初の目的地はもう一つの目黄不動。とりあえず荷物はコインロッカーに預けた。今日こそは何の失敗もなく終わればいいなと思っていたのだが、またまた失敗。総武線に乗ったのだが、快速に乗ってしまったため、最寄りの平井駅を過ぎてしまった。次の駅で降り、来た道を逆戻り。
 そして、平井駅で降り、また歩く。「足にマメができかけてるんだろう、バスを使えば楽だろうに」そう思ったか?そうかも知れない。が、見知らぬ土地ではどうも距離感が麻痺するらしい。例えば、地元で5キロ離れた場所に行けと言われれば、乗り物を利用するだろう。が、旅先では「5キロか。ま、歩いていける距離だな」と考えてしまうのだ。以前、京都へ行った時に、京都駅から金閣まで歩こうとした。地図の上で見たら、大した距離に見えなかったから。でも、さすがに途中で力尽きた。アレは失敗だったな……。
 話を戻して、目黄不動最勝寺に到着。うむ、ここはそこそこ大きいお寺だ。もう一方の目黄不動とは大違い。不動堂も立派だ。どっちが先に名乗ったかは知らないが、人にどっちがホントの目黄不動だと訊かれたら、俺はこっちだと答えるね。
 ここには大きな鉢が幾つも置いてある。水が入ったそれには葉っぱが浮いていた。多分、蓮の葉だろう。時期が時期なら、これが咲いているのを見る事ができるのだろうか。

 途中、マックで食事を済ませ、今度は富岡八幡宮へ向かう。電車を乗り継ぎ、門前仲町で降りて歩くとすぐだ。月次祭とかの日と重なったらしく、出店が並んでいた。しかし、こんな所へ来て、わざわざ金魚や漬け物を買っていく人っているんだろうか?
 ここは何やら江戸勧進相撲発祥の地でもあるらしく、巨人力士身長碑というものがあった。柱の傷は〜ではないが、石碑に身長が刻んである。一番大きなのが「生月鯨太左エ門」なる力士で、身長は七尺六寸。だいたい……230センチくらいだろうか。そんな身長、現代でもそうお目にかかれるものではないが、昔にそんな大男がいたなんて、驚きだ。
 御輿も展示してあった。ダイヤやらルビーやらが大量に使われているらしく、この手の御輿の例に漏れず豪華な物だ。
 そして境内。ここは割と広々としている。それに、結界の中での戦闘だから、少しくらい空間を歪めて広くするくらい、どうってことないなと勝手に納得。書くのはしばらく先だが、覚えておこう。
 そして帰りがけにここの関係者らしい人を見る。格好からして間違いはないのだろうが、袴の色は緑色。……あれって赤だけじゃなかったんだと、何故か感心してしまう俺がいた。

 ここからがまた大変。乗り継ぎを何度も繰り返し、最後の目的地である柴又へと向かう。あの、寅さんで有名な柴又。だが「男はつらいよシリーズ」は、一度としてまともに見た事がない。ま、別に寅さんツアーじゃないからいいか、と自己完結。京成高砂まで出て、ここでまた乗り継ぎ。が、次の電車までかなり時間がある。何気に地図を開くと、そう遠くには見えない。
「よし、歩こう。まあ一駅くらい、どってことないか」
 歩く歩く病、再発。途中で道を尋ねながら歩く。やっぱり地元の人間の感覚では無謀と思われたらしい、かなり距離があるよと何度も言われた。
 その途中で神社を発見。柴又八幡神社というらしい。入口の案内板に目を通すと、どうもここには古墳があったようだ。興味が湧いたので本殿の裏へ。円墳だったのか、丸い塚がそこにはあった。そこに何故かいる猫。しかも三匹。
「墓守?」
 などとくだらない考えが浮かんできた。首輪をしている所を見ると飼い猫らしい。おいでおいでをしてみるが、あっさりと無視。ちょっと悲しかったが、気を取り直して出発。

 また道に迷いかけたが、今度はちゃんと到着した。うんうん、学習したな(違)
 ここは結構な人出だった。今回訪ねた寺社の中で、一番多かったような気がする。まあ、あんまりメジャーな場所じゃないし、雨も降ってたし、仕方ないか。
 一通り見て回って、今回初めておみくじを引いた。良く振って出てきた数字は7。お、いい感じと思いつつ、引き出しから取り出したくじを開くと……
「……」
 速攻で近くの木に括り付けた。そういうことだってあるさ……。やっぱり30回振らなきゃ駄目なのか?(笑)
 帝釈天を後にして、柴又駅へ。初めて知ったが、ここには寅さんの像があった。よくよく考えれば、あってもおかしくはないか。よく似てた。

 こうして東京見物は終わった。後は帰るのみ。荷物を回収し、東京駅へ。
 やっぱり職場に買っていかなきゃ駄目だろうなと思い、人数を数えてから、それに近い数の物を購入。
 新幹線の切符を買って、乗り込んだ。今回初めてのぞみに乗ったが、やっぱり座席が広いのはいい。しかも早いし。来た時とは大違いで、快適な帰路だ。酒とつまみを買って、ほろ酔い気分で岡山へ帰還した。



 余談
 休みも明けて職場へ行き、土産を出す。すると同僚の一言。
「KANちゃん、九州へ行って来たん?」
「へ? 何でです?」
「だって、ひよこって福岡の土産じゃなかったっけ?」
 ……なんですと?
「え、いや、だって、東京駅で売ってたんですよ?」
 そう言いかけた俺だったが、「それじゃあ、岡山駅に何故もみじ饅頭(広島銘菓)売ってるんだ」なんてツッコミが頭に響いた。
 結局、しばらくそのネタでからかわれた。こんなことなら「東京ばなな」買って帰れば良かった……。





 今回の装備。
頭:帽子。(途中で紛失)
身体:服、ジャンバー。
手:腕時計。
足:運動靴。

 携行品
携帯電話
リュック:ゼンリンまっぷ東京23区、上撰の旅:東京、ホテルガイド・首都圏、折り畳み傘。
ポーチ:MDウォークマン、MD×4、予備電池(単三×2本)、ペンライト、十徳ナイフ、筆記用具、タオル。
ダッフルバッグ:着替え一式×二日分、携帯用充電器、MD用アダプタ、MD用充電器

旅費・買い物等総計:60,764円(DVD代除く)

入手品(持ち帰ったもの):傘×1
             ひよこ×2(職場へのお土産)
             (DVD−BOX×1)


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