増える都心暮らし


少し前まで都心では人口の空洞化を言われて久しかったが、近頃市内中心部を見てみると、かつて銀行だったところの空き地も無くなり、かなりの数でマンションが増えてきている。以前に比べて人々が中心部へ戻ってきているようである。そこで今見直されてきている「まち中の暮らし」について考えてみたい。


■マンション

都心で生活するメリットは何と言っても歩いての買い物や、文化・スポーツ施設などへの移動も気軽にできること。また駅にも近いといった利便性が最大の魅力となっている。地価下落により販売価格も以前の半分以下位となっている物件も多く、郊外型物件と比べて割安感があり、売り出しが始まると即完売状態になっているようである。入居者を見ると若い世帯よりも、子供が独立して夫婦だけとなり、田舎の広い家からまち中へ転居して住むケースも1棟のうち半数近いと聞く。実際、後楽園周辺や総合グラウンド、西川緑道公園あたりを散歩されている人が増えているように感じる。

                   

■戸建て住宅

マンションだけが都心での暮らしではない。一戸建てで限られた敷地を最大限生かした暮らし方もある。私が設計に関わった住宅は、12.5坪の土地に3階建、延べ25坪、大人4人と犬1匹が都心に住み続ける為に建て替えたケース。狭小敷地でも空間を最大限に生かす工夫を取り入れることで、今までの生活とは一変して、明るく最適で我が家は世界一の住まい家とまで評価していただいて、建築家冥利に尽き嬉しかった。

■街づくり

最近の都心では歩いて楽しいまちづくりとして、歩行者や自転車にも優しい街づくりが見直されている。今後都心に住む高齢者は確実に増えていくと考えられるので、それに見合った終の棲家となるのにふさわしい暮らしのあり方も見直していく時期に来ていると思われる。


   【2010年7月5日(月) 岡山日日新聞掲載】

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いえ・ひと・まち 【第4回】