バリアフリーからユニバーサルデザインへ



ユニバーサルデザイン(UD)という言葉を最近よく耳にするようになってきました。これは、今までの高齢者や障がい者といった特定の利用者のためにというバリアフリーの発想から、利用者を区別せず、すべての人(年齢・性別・障がい・国籍など)が違いにかかわらず使いやすいものが当たり前という考え方に基づいて「ユニバーサルデザイン」が提唱され、次第に社会に取り込まれてきています。

■「UDの7原則」

すべての人にとって、できる限り利用可能であるように、製品、建物、環境などをデザインする方向性としては次の7つの原則から構成されています。@誰でも公平に利用できるA使うときの自由度が高いB使い方が簡単C必要な情報がすぐにわかるD誤作動や危険を防ぐE体への負担が少ないF使いやすいスペースと大きさを持つ。といった考え方のもと、人に優しいデザインの指針となっています。

  
 写真:第1回(2009)岡山県「UD建物コンテスト」優秀賞の竜操整形外科病院(設計:藤田佳篤)

■公共建築物や街づくり

利用者がさまざまな公共建物やお店、また街づくりなどの計画をする時にはそのプロセスを重視し確認するために、いろんな人の参加(高齢者・障がい者・子供連れ・外国人など)によるワークショップ形式で行われています。全ての人々にとって同じ視点から使いやすさ・分かりやすさ・心地よさを意識しながら意見を出し合ってもらうことで、健常者には気付かないところも沢山出てきます。参加者からは「自分達も一緒につくった」という意識を持ってもらえることで、愛着を持った建物や街づくりにつながります。

■「UD」製品に触れて

岡山県では、誰もが暮らしやすい地域づくりを目指して、「UD」の考え方が広く県民に理解され、身近なものとして定着してゆくようにと、私の所属するNPOとも官民協働でさまざまな取り組みの中で、県民への啓蒙活動を行っています。

「NPOまちづくり推進機構岡山」には「UD」製品に触れられる展示物や、高齢者・車いす・妊婦などの疑似体験、「UD」を通じたカフェ的な交流の場も設けてあります。そこでは気軽に相談にも応じてくれますので「UD」に関する問い合わせはこちらへどうぞ。(お問い合せ先/事務局:NPO法人まちづくり推進機構岡山/〒700-0813岡山市北区石関町2-1/TEL:086-803-3361/FAX:086-803-3362)身近な住まいでの「UD」は、家庭内の危険防止やおもてなしなどの心地よさも大切な「UD」のひとつです。建築家として、ものづくりに関わる人間として、これからは積極的に前向きに「UD」に取り組まなければと考えています。


   【2010年6月7日(月) 岡山日日新聞掲載】

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いえ・ひと・まち 【第3回】