岡山のまちづくり
市民参加で城の復元


 岡山市の中心にあり、地域のシンボルである岡山城。

 私が所属している団体の「日本建築家協会(JIA)岡山建築家の会」では、歴史的まちの遺産として本物の城を復元して後世に伝え残したいとの思いで、継承するための勉強会を続けています。
 岡山城本丸跡は、明治維新以降天守閣などの一部を除いて取り壊された後、軍の施設や学校用地などとして利用されていましたが、その天守閣も戦災で焼失したため、現在では鉄筋コンクリート造の天守閣や城門が再建されて、市民の憩いの公園として整備され、岡山を代表する観光地となっています。

 本丸は三段造りとなっていて、1700年ごろに描かれた「御城内御絵図」などにしっかりと建物の記録も残されています。現在はその絵図などに基づいて遺構の保存や整備のための調査が行われていて、当時の状況が次第に明らかになってきています。
 私たちは本丸各段の建物を50年ぐらいの年月をかけながら復元を目指す「しろゆめロマン50年」をテーマに掲げています。

 先人が残した遺構や資料を基に歴史顕彰を行い、地元の職人たちの手で石積みや木組み、左官や表具師などの伝統的な工法の継承を行います。ここをスタートとして、岡山城再生の取り組みが次世代へと駅伝のように襷(たすき)がつながれば、岡山城からはいつも鎚(つち)音が絶え間なくしている状況をつくることができます。これこそ市民の皆が誇りを持って取り組める国づくりになると思います。

 本丸を復元させるにはどのくらいの費用が掛かるか概算してみると、内堀内の岡山城全体
面積は約4千坪であり、その総工事費はざっと約2億円。これを市民県民から城づくりのロマンとしての参加型(寄付運動)で始めれば、これ以上のまちづくりはないのではと考えます。
 史跡指定地で、容易に整備できるものではないということは十分承知の上で、市民の皆さんと本気で情熱の気運を盛り上げていければと思います。

 まちの顔が元気なこと、楽しいことに夢を持って、JIA岡山建築家の会と一緒に「城を再現する」まちづくりを進めていきませんか。




  岡山城天守閣





   【2011年2月7日(月) 岡山日日新聞掲載】
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いえ・ひと・まち 【第11回】