「履歴書」を整えて
― いつ、誰が、どんな改修を?
―
住まいの履歴書には、住宅の設計、施工、維持管理の状況、権利関係や資産などに関する情報を保管しておきます。いつ、だれが、どのように新築やリフォーム、修繕、改修等を行ったかを記録して、いつでも見られる状況に残しておくことが、今後は不可欠となります。
■住宅は30年寿命から長期に使用する時代へ
住宅を長期間使って行こうとするこれからの考えでは、一つの住宅が自分の家族やそれ以外の世代に渡って住み継がれて行くことになります。住宅を長持ちさせるには、耐久性が高いだけでは不十分です。長期にわたって点検や修繕などのメンテナンスや、お手入れをきっちりと行っていくことが重要となります。
そして、住宅の維持管理を適切に行うためにも、「住まいの履歴書」に関する情報の記録の蓄積が必要です。
■「住まいの履歴書」活用メリット
・メンテナンスに竣工時の仕様や過去の維持管理情報が明らかなので、
必要な維持管理を計画的かつ効率的に実施できる
・リフォーム時に履歴情報を活用した計画が立てられるので、的確な予算、工期による
合理的なリフォームを実施できる
・既存住宅として売買する時に履歴情報があれば、安心・納得の売買で
資産価値が適切に評価される
・災害時には履歴情報に基づいて迅速かつ適切な復旧や補修が可能。
また設備機器等に不具合があった場合、交換などの対応が円滑に実施できる
などのメリットがあります。
■「住まいの履歴書」を整備しよう
住宅履歴の情報は、新築からでなければ備えられないものではありません。既存住宅でも、耐震診断や点検、リフォームなどの際に、現況の図面を整備し、これに加えて、点検内容や修繕、リフォームの記録を蓄積して行きます。
そのとき、住宅瑕疵担保責任法人による検査を行えば、瑕疵保険への加入や国からの補助といった長寿命化住宅のための制度が整備されています。
■長く住み継がれる住宅に
一軒の住宅が長く使われる時代になれば、相続はもとより中古流通などで、まったく違う家族が住むことが当たり前のこととなります。将来にわたる社会的財産としての住宅といった視点を持たなければなりません。
このように、社会的ストック時代の住宅に求められるのは、耐久性が優れていることはもちろんですが、様々な家族が暮らすことに対応できる柔軟性が求められます。そのためにも「住まいの履歴書」の整備が大切となってきます。
「住まいの履歴書の一部」
【2011年1月17日(月) 岡山日日新聞掲載】
いえ・ひと・まち 【第10回】