◆印鑑登録◆
ウラの裏
役所の市民課窓口でトラブルダントツトップはなんといっても印鑑登録時。
なぜ印鑑登録のトラブルが多いかといえば、ズバリ、登録するときに厳しい規定があるからなのです。
その一つが本人確認に関する規定です。住民票や戸籍謄本等は、本人だけでなく同一世帯や同一戸籍の人なら簡単に取ることができますし、第三者でも理由が正当であれば取ることができるのに対して、印鑑証明書は本人または本人から委任された人以外は取ことができません。
たとえ親子であっても夫婦であっても本人から委任されなければ取れないのです。
そんな印鑑証明書の基となる印鑑登録は本人が窓口に来て手続するのが原則で、役所側では確かに本人だということを確認しなければなりません。
もちろん本人が窓口に行けない場合は代理の方でも申請の手続はできるようになっています。でも即日登録にはならない市区町村がほとんどではないでしょうか。
それは本人が役所の窓口へ行けばすんなり登録できるかといえば、そうではない場合もあるからやっかいです。
即日登録するたるには、官公庁発行の写真付きの身分証明書(運転免許証、パスポート)か本人を証明してくれる保証人を必要としている市区町村が多く、たまにお客様から、「○○市ではそんな面倒なこと言ってなかったわよ」と言われてしまうのですが、印鑑登録時に本人確認をしていない市区町村があるというのを私は聞いたことがありません。
身分を証明するものがない場合や、証明してくれる保証人もいない場合は照会所での確認になり、登録するまで数日がかかるはずです。
さて、市役所で「登録する印鑑と運転免許証を持って本人が窓口に来れば即日登録することができます」という説明を受けて、その説明どおりに本人が来庁したとしましょう。例えば、なかなか美人の若奥様(ようするに十五歳以上。ちなみに十四歳以下は登録不可)で登録しょうとする印鑑も三文判ではなく実印用として作られた立派なもの。でも、即日登録にはなりませんでした。
その理由はいったい何でしょう・・・・?
恐ろしいことにこの場合に、考えられる答えは一つだけではないのです。それはさっそく推理される答えを紹介します。
答1 一見OKかのように思えたその印鑑、一週間前にご主人が登録した印鑑と同じ物だった(同じ印鑑を二人以上で登録することはできません)。
答2 印鑑が立派すぎて、規定よりも大きすぎた(印鑑の大きさが一辺の長さ八ミリメートルに収まるもの、または一辺の長さ二十五ミリメートルの正方形に収まらないものは登録できないという市区町村が多い)。
答3 印鑑はOK。問題は運転免許証。持ってきたのはご主人の免許証だった(これでは奥様の本人確認ができません)。
答4 印鑑はもちろんOK。運転免許証も確かに本人のものだったが、期限が切れていた(運転免許証でもパスポートでも有効期限内のものとする市区町村が多い)。
答5 印鑑もOK。運転免許証も問題なし。でも、住民票の登録がされてなかった(住所地以外の市区町村では印鑑登録することができません)。
答6 本人はずっと「印鑑証明」が必要と言っていたのに、よく確かめると必要なのは住民票だったため、印鑑登録は申請しないことになった。
じつはこれらはすべて英語です。答6のときなんか、それと判明した瞬間、ホント、こちらとしても拍子抜け。
お客様に説明するときには落ち度がないように十分注意しているつもりでも、こちらの説明不足とお客様の思い込みが、あるときは複雑にあるときは単純に絡み合いこのように登録できないことも多いわけです。
でも、これらの内容をすべて説明していてはこちらも大変ですし、説明を聞くお客様自身も大変。また同じ説明でも聞く人によって違う意味で捉えてしまうこともあって、窓口職員としては、適切に説明するのは本当に難しいと反省することの繰り返し。
役所の窓口ではドラマのような大小様々な印鑑登録申請事件が毎日のように起こっているといっても過言ではないのです。現代印章