一級建築士事務所 ヒマラヤ空間工房

    木に 住む

【住まいの仕掛け】 木の住まいならではの家づくりの工夫や仕掛けを紹介します

        廊下が出現
隣り合う和室と板の間。ここで要求され
たのが、客が泊まる時にお互いに隣を
気にすることなく、寝られること。そこ
で、引戸を閉めれば一時的に廊下が
出現する仕掛けとした。普段は、どちら
も引き込むことが可能で、ワンルーム
として一体的に利用できる。
            アッパーライト 
当初は、天袋の下に棚下灯(ダウン
ライト)をつける予定でしたが、トランス
を置くスペースが取れなかったので、
地袋の天板に蛍光灯を埋め込み、
アッパーライトとしました。通常、光は
上から射すものですが、下から照らす
のも、遊び心があっておもしろいと思い
ます。

       ミナモ
和紙のセードを取りはずして、取り付け
る照明カバーです。「月の舞台」の公演
で物を振り回す時に取り替えます。
デザインコンセプトは、舞台の東を流
れる旭川の水面(ミナモ)が、あたかも
天井に反射しているかのごとく、見え
ればと考えました。表面の凹凸と
塗装の質感で表現しました。

      吹抜け障子
吹抜けは欲しいけれど、冬の寒さが
心配、ということで、吹抜けに障子を
つけました。3畳分の吹抜けを障子3
枚で開け閉めします。梁を欠き込ん
で、上から障子を落とし入れています。
思った以上に、開け閉めはスムーズに
いきました。吹抜けが北側にあること
から、柔らかな光が差し込み、和紙の
光天井がきれいです。
     目立たない雨戸
雨戸をつけたいといわれた時、この建
物には、雨戸を目立たせない方が良
いと思いました。閉めている時もそう
ですが、開けている時もです。それで、
外壁と同じ杉板でつくった雨戸を戸袋
なしで取り付けました。同じ板を使用し
ていますが、この雨戸を取り付けること
で、壁面に凹凸が生まれ、目立たない
けれど、建物の表情が豊かになったと
思います。
      市松ガラス戸
居間から厨房を見た写真です。厨房の
左側にはキッチンがあり、その横の
居間側には冷蔵庫が置かれる予定
です。別に冷蔵庫が居間から見えると
まずいわけではありませんが、引戸を
開けると冷蔵庫が見えなくなり、閉める
とガラスと桟が市松模様になる仕掛け
です。ガラス戸の開け閉めによって、
部屋の雰囲気が変わります。
        高窓
この建物は、南に既存部分を残しての
増築で、加えて西側の道路が一段高く
なっているため、主に東面から採光を
とる必要がありました。そのため、
西側にある厨房と寝室の採光を東面に
設けた高窓によっています。各々3つ
ある高窓の内、真ん中の1つは電動式
で開閉できます。また、高窓から入った
光が、天井面に反射して部屋全体を明
るくします。話しによると、明け方高窓
から入ってくる光が天井面で反射して
とっても感動的であるそうです。
一度見てみたいものです。


       囲炉裏と天窓
囲炉裏をつくるにあたっては、換気を
どうとるかが問題でした。特に、炭だけ
でなく薪も燃やせた方が、楽しいし
暖かいと思うからです。方法として、
換気扇やフード付の煙突をつけることも
考えましたが、やはりシンプルが一番
なので天窓取付としました。すなわち、
窓を開けて、煙を出す方法です。杉板
の天井は四方に勾配がついていて、
煙は天窓へと流れます。また、天窓の
下にある格子に、夏の間は簾を敷いて、
直射日光を防ぎます。
        地窓
以前掃き出し窓であったアルミサッシ
の上半分を壁にして、あえて地窓に
替えました。理由は、隣家と向き合う
部分を目隠しすることと、眺めの良い
東側の窓へ視線が自然に向かうこと
を意識したからです。それから、天窓
を新設したので、明るさについては
問題ないし、かえって夏の日照をカット
するのに有効であると判断しました。
完成は夏の暑い時期でしたが、いつも
はうっとうしく感じる照り返しが、地窓を
通して入ってくると、なぜか新鮮に感じ
られます。
        仮設スロープ
「月の舞台」を車椅子の人にも利用
して頂けるよう、仮設スロープを設計
しました。設計にあったては、傾斜
角度を考慮しつつ、持ち運びや収納
場所、加えて舞台玄関の木部を傷め
ないことなどをクリアできる素材とし
て、硬質発泡スチロールで形をつくり、
表面に再生紙を貼りました。再生紙
の柄が、万成石の雰囲気に近く、
ちょっと見た感じ仮設には見えません。
また、取り外しが簡単なので、住宅にも
応用できると思います。

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