一級建築士事務所  ヒマラヤ空間工房

    木に 住む

【小さな気づき】 仕事を通して、気づいたことや学んだことです

            天井高 2メートル
この廊下の天井高は2メートルです。
天井高が2メートルというのは、かなり低い寸法ですが、図面
を描いていた時に、この寸法しかないと確信していました。
手前に天井高3.5メートルの吹抜け状のホールがあり、メリハリ
をつけて、リビングへのアプローチとしたかったからです。
ただし、圧迫感があったらダメです。圧迫感のないギリギリの
低さということで、この寸法にしました。とはいえ多少の不安も
あったので、現場で棟梁にも確認してもらい、最終的にイケル
と判断しました。
結果として、無難な高さにしなくて良かったと思いました。
          和のデザインは宝庫 
町屋をリフォームした際、隣接する息子さん夫婦の住まいへ
連絡通路を新設しました。当初図面では、既存の息子さん
夫婦の住まいに合せた、スリットガラスの入ったフラッシュ戸
だったのですが、親子ドアがシングルドアに変更になったのに
合せて、デザインし直すことになりました。その時、現場監督
さんが框戸でもよいといってくれたおかげで、このドアが生まれ
ました。これは、和風の建具格子を取り入れたものです。なぜ
か、このデザインによって、その部屋全体が引き締まったよう
に思えます。もちろん、使い方にもよると思いますが、和の
デザインは宝庫だと思います。
           絶対高さと相対高さ  
畳ベンチをつくった時に、自分用に一脚のスツールを作りま
した。このスツールも畳ベンチ同様、座を二面に渡って貼りま
わし、座面を替えることで座の高さも替えることができます。
人が違えば、最適な座の高さは異なります。また、同じ人で
も、状況に応じて最適な座の高さが異なると思います。つま
り、椅子の座の高さは、人や状況に応じて相対的であると考
えた訳ですが、実際使用してみると、意外に個人差はないよ
うです。ひょっとすると、椅子にはそれ固有の絶対的な高さが
あって、その高さであれば、誰が座っても快適であるというこ
となのかもしれません!?
           光の質
『大和棟の家』が完成した時、一番居心地が良いと感
じたのが、この階段の上がり口です。その時「階段に
腰を下ろして読書をしたらさぞや気持ち良いだろうな」
と思いました。この上部は吹抜けで、北側にある高窓
から柔らかな光が差し込みます。この時、あらためて
光の質を認識しました。
          緊張感のある寸法
写真は『月の舞台』のある5階から屋上へ上がる階段です。
図面では、階段の巾をもう少し広くとっていましたが、鉄骨
の梁の関係で狭くなりました。片側に手すりをつけることを
考えると少し窮屈かなと思ったのですが、出来上がってみ
ると、なんとも言えないダイナミックで緊張感のある空間に
なりました。(本当は上から撮った写真があれば良いのです
が)多分、階段の巾が、ギリギリの寸法まで狭くなったこと
で、吹抜け空間が強調されてダイナミックに感じるのではと
思います。百聞は一見にしかずです。
            反復の力 
『ぎゃらりーのある家』の縁の天井は、杉縁甲板を短手方向に張りました。当初図面では、壁と同じ珪藻土仕上げになっていましたが、現場で点検口を設ける必要が生じ、点検口が目立たないことを考えて、縁甲板に替えました。変更にあたっては、和の空間にいかがなものか、一抹の不安もありました。結果的には、縁甲板の反復が空間の遠近感をよりダイナミックに演出していると思います。



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