『モンスターズ・インク』
2002.3.2
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。。。。。  
 ま、そこそこ面白いんじゃないですか?
 子どもらは「ディズニーの中で一番、おもしろかった!」って言ってましたし。
 ドアチェイスのシーンなんか、サイコーでしたもん。


 でもね。

 何か、ひっかかるのだな。
 なんだろう、なんだろう、と考えていて、3日後ぐらいにお風呂の湯船の中で、気がついた。

 「ブー」だっ!

 ブーは、言葉も喋れない2歳児という設定。
 うん、そりゃまぁ、それでイイよ。
 でもなぁ、言葉も喋れない2歳児があんな絵描けるわけないじゃん・・・・。
 サリーと自分が手をつないでるあの絵よ。
 サリーがジーーンときちゃう、あの絵よ。

 赤ん坊が成長していく過程を間近でちゃんとみたことのある人間なら、どれくらいの時にどんな絵を描くことができるかなんて、わかるはずなんですが、きっと、この作品を作ったヒトはだれも子どもの成長過程を見たことがなかったんだろうな。
 (もちろん、絵を描く「才能」の問題ではなく、指とか手・腕がどれくらい自分の思い通りに動かせるようになるかと、ものの認識力という発達の過程の問題を言っています。)

 だいたい親指と人差し指でものがつまむ、なんて、人間にとって至極あたりまえなようなことだって、生まれて10ヶ月くらいたたないとできません。
 ほんと、人間って、あきれるほど未熟な状態で産まれてくるもんです。
 持つものなんでもかんでも、口に入れてしまう時代を過ぎた1歳児にクレヨンを持たせてみましょう。
 握ってなぐりがきです。
 2歳になると持ち方が少しそれらしくなってきて、「丸」が描けるようになります。
 この頃には、たいてい2語文を話せるようになります。
 で、3歳になる頃、「まことちゃん」(楳図カズオの)の「まこと虫」のような絵で人間を描きはじめるのです。
 この「まこと虫」の頃は、まだ「手をつなぐ」なんて行為を描くことはまずできません。
 (ま、個々に差はあるだろうけど、普通に成長している子なら、こんなものだと思います)

 だから、あのブーの絵は、4歳、それもかなり5歳に近い4歳くらいにならないと描けない絵だと思うのだな。
 
 じゃあ、ブーは、5歳でありながら、言葉を話すことができない問題がある子という設定だったかというと、そうじゃなかったですよね。ごく普通の2歳児。

 だいたい、モンスターという設定自体がこの世に存在しないものなのだから、そんな細かいこと、どーでもいいじゃないかというのが普通なんだろうけど、私は、ダメなんだな。
 
 ブーには、モンスターを「お友達のにゃんにゃん」と怖がらない2歳児の無邪気さが求められていたし、それでは、重要な役目を果たすあの絵は描けない。
 反対にあの絵を描かそうとしたら、無邪気な2歳児ではなく、異形のモンスターをきちんと怖がり、もっと生意気な5歳児にしないとダメ。

 そう。
 どちらかにしてくれれば、良かったのに・・・。
 って言うか、すべきなんだよな。
 いちばんリアルであるべきブーをストーリーに都合のいいように仕立て上げちゃってるっていうのがねぇ・・・・。
 なんとも、手抜き。
 とっても、安直。

 モンスターの世界のアイデアが良かった分、残念だけど、ま、所詮、あれが限界、なんでしょうな。
 
  
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