『サイダー ハウスルール』
2000.7.8
。。。。。  ・・・・観客なんて必要のない映画である。 

 敬愛する某氏の「完璧な映画に用はない」という文章を以前、読ませていただいた。
 「なんとなく、わかる・・・・。だけど、私にとってそれはどんな映画なんだろう?」と考えたけど、そのときは、思い浮かばなかった。
 でも、間違いなく、この映画こそ、そうではないかと思う。

 ほんとに、私なんか、ちっともおよびでない。

 私は、あちこちよそ見したり、寄り道したりしてみたいのに、丁寧に先導して道案内をしてくれる人がいて、私の横や後ろにも、迷わないように 横道にそれないように、と ぴったりと監視人がついている、こんな印象だ。

 つまんない。

 もちろん、万人にそうなのかというと、そうではないと思う。
 これでもか、と言わんばかりに盛りこまれたあれやこれやのうちの何かに、反応する人も多いと思う。
 描かれている題材が興味がない、というのではない。
 描かれ様の問題だ。

 しかし、そんな私のようなものへのサービスも忘れていない、としか思えないものもちゃーんと用意されている。

 子どもたち!
 みーんな可愛いんだもん。
 これは、ずるい。
 そう、私は、子どもと動物に異常なまでに弱いのである。
 ペットショップで子犬を見ただけで鼻の奥がツーンとなっちゃうし、保育園の運動会の入場行進ですでに目がウルウルになるほどだ。

 「これ、つまんなーい(-.-)」と明確に意識しかけると、タイミンングよく子どもが出てくるのだ。このタイミング、計算ずくとしか思えないぞ(笑)。
 孤児院の子どもたちの、まぁ、健気なこと(涙)。
 主人公くんも、どちらかというと、子どもの世界に入れておきたくなる種類の可愛さをもっているし。

 主人公を出迎える子どもたちの表情だけで涙ぼろぼろだ。


 涙目でロビーに出てきた私を他人が見たら「あぁ、感動的な映画だったんだな」と思うかもしれない。
 ところがどっこい、違うのである。
 私は、子どもを見て泣いた、だけだ。
 あのシーンだけ見せられても同じように泣くだろう。

 あぁ、ほんとに、こんな映画ってあるんだな・・・。