市民選挙のノウハウ はじめに

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市民選挙をぜひやりましょう

「市民選挙のノウハウ」を掲載しました。これまでも、かなり多くの方から問い合わせがあったのですが、すでに絶版になっているため私の手元にも3冊しかありません。知る人ぞ知る、市民が選挙に出る時のバイブルなので、必要な方にはこれを読んでいただき、ぜひ役立ててほしいと思います。改定してからすでに10年以上経過していて、法律が変ったところ(選挙の期間など)もありますので、一部修正しています。疑問の点は、私にメールを下されば可能な限り回答します。

内容を確認するため、あらためて読んでみましたが、今でも、今だからこそ通用する大切な原則が書かれています。その意味で、市民選挙のバイブルとしての価値は少しも衰えていないと思います。私が「発明」した言葉(ホームミーティング、リサイクルカンパ、市民画廊など)が出てきたりしますので、懐かしく思いながら読み返しました。

これを読んで新しい市民政治家が生まれることを期待します。

2002/10/07 羽場 頼三郎


●市民選挙の大きなうねり

カンパとボランティアによる選挙,草の根運動型の選挙の実践が,各地で見られるようになってきています。選挙運動のスタイルはマチマチですが,共通していることは,市民が自分たちで候補者を立て,自分たちの力で選挙運動を行なっていることてす。

近年,生活のあり方について関心が高まっています。この問題を掘り下げていくと,私たちの生活が政治と密接につながっていることに気づきます。そして,ただ待っているだけでは政治は変わらないという事実にも気づきはじめたのてす。幸いにも,私たちは“選挙”の権利を持っています。それには,投票する権利と立候補する権利の両方が含まれます。そこで,市民が投票権のみならず,自らの手で立候補の権利を行使しようと立ち上がった運動が,“市民選挙”と呼ばれているものなのです。

●選挙は知恵くらべだ

長らく私たちは,選挙は選挙プロがやるものだ,と思ってきました。確かに,既成の政党組織,大きな組織にのった選挙には,それぞれの流儀やしきたりがあって,それなりの選挙プロがいるかも知れません。しかし,私たちが何度か市民選挙を体験してみて気づいたことは,選挙にプロは存在せず,創意・工夫の知恵くらべだということです。多くの人が意見と知恵を出し合い,そのなかから自分たちで出来る事を実行していくことが大切なのです。

●市民選挙に原則はない

知恵の出し方と実践の仕方によって,市民選挙にはさまざまなスタイルが生じてきます。共通していることは,自分たちの主張を持ち,カンパとボランティアによって運動していくということだけてす。ですから,“これが市民選挙のやり方だ”というものは,なかなかひとつにまとめられるものではありません。

しかし,選挙には公職選挙法が存在しており,選挙活動として実行できることには,いろいろな規制があります。したがって,創意・工夫の仕方にも一定の制約が加えられるのは,やむを得ません。そこで,市民選挙を実践するに際し,どのような事を検討し,何を準備し,どういう順序で実施していったら良いか,ということを簡単にまとめてみました。

●マニュアルの使い方

このマニュアルは,各頂目ごとに基本的な考え方と,その具体化のポイントを整理したものです。ここで取り上げた事を全て実行する必要はありませんし,内容についてもこの通りすべきだということではありません。

選挙のスタイルは,地域によって,そして候補者の性格,運動グループのメンバー構成などによって異なるものです。また,時世の波にも大きく左右されます。

このマニュアルを参考材料とされ,さらに討論を重ね,より個性的で,素晴らしい市民選挙運動が実践されていくことを願ってやみません。

     『市民選挙のノウハウ』制作プロジェクト


●改定版の発行にあたって

私たちが市民選挙・市民政治ということを言い出してから、ほぼ10年。これまでに、全国各地で市民選挙が実践され、多くの市民派議員が誕生しています。すでに、“普通の人々”が選挙をやることに対する違和感はかなり薄らいだといえるでしょう。しかし初めて選挙をするとなると、どのように組み立てていったらよいか、なかなか具体的な計画がつくりにくいものです。とくに市民選挙はそれぞれ持っている要素が異なりますし、せっかくの経験を伝えあうのがむずかしくなります。

そこで何とか選挙の経験を共有化できないか、と考えたのが、隠れたロングセラー『市民選挙のノウハウ』を作成したきっかけでした。しかしロングセラー故に在庫もなくなり、また、選挙法も一部改正されましたので、この度、改訂版を発行することにしました。

現在の公職選挙法の基本は立候補する人と投票する人をはじめから“別な人種”と想定して成り立っています。こうしたおかしさを普通の市民がひょいっとのりこえる、その実践が市民選挙の真髄だと思っています。市民選挙のノウハウでぜひ『勝って』ください。


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