2002/03/19

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平成14年 2月定例会-03月19日

会派を越えて条例修正案を提出しました
羽場・近藤・横田・下市・亀井で提案

定例市議会の質問戦が終わった13日に、当局から病院事業管理者の報謝についての条例の改正案が提出されました。異例なことですので内容をよく見ると、大きな問題があることに気づきました。

それは、(1) 管理者の報酬が赤字縮減額の20%と確定していること、(2) 条例の適用が平成12年に遡るとなっていることなどです。これは見過ごせないと、修正をすることを考えました。修正の提案は、自治法で議員定数の9分の1(岡山市議会では五人)以上となっているため市民ネットの仲間にまず呼びかけました。しかし急なことでもあり、全員の理解が得られず、私と近藤昭・横田悦子・下市このみの四人のみの賛同でした。そこで、「会派ではなく個人の資格でならかまわない」との楠木代表の言葉で、新岡山21クラブの亀井章議員に呼びかけ、賛同を得ました。

最終日に提案となり、質疑が予想されるのでその準備をし、さらに提案理由説明をすることになりました。急なことだったので、他の議員に十分説明する時間がなく、ぶっつけ本番で臨みました。結果は五人の賛成のみで否決。その提案理由の骨子です。

「20%を5%にすべきである。こうした例で参考となるのは鹿児島市の3%がある。しかし、榊原先生の手腕を評価して2%を上乗せをした。要綱では「20%以内」である。先生は、病院事業建て直しを金儲けの目的ではなく、市民の為に奉仕の精神で働かれているので、批判を浴びるような常識はずれの金額ではかえって失礼である。

法律や条例は、成立した日以降に効力を有するとするのが通常である。(1) 遡及して有効としなくても、『報酬の支払いは有効である』と当局が明言されているので、必要ない条項である。(2) 要綱を条例化して、『より明確にする』という条例提案の趣旨にそむく。」

なお、当局提案には田畑賢司、崎本敏子、竹永光恵議員も反対し、計8人でした。


○議長(宮武博君) 
 次に,甲第78号議案岡山市病院事業管理者の給与に関する条例の一部を改正する条例の制定についてに対しては,羽場頼三郎議員外4人から修正の動議が提出されました。
 この際,提出者の説明を求めます。

◆(羽場頼三郎君) 

 貴重な時間をいただきまして,修正の動議を提出させていただきました。
 ただ,私も何分初めてのことでございますので,十分な御説明ができるかどうかわかりませんが,精いっぱい務めさせていただきたいと思います。

 質問と違いまして,時間の制限が一応ないようですので,できるだけわかりやすく説明させていただきます。

 まず,この修正案なんですが,急に修正案を提出したのかと,こういうことをお感じになるかと思いますので,まずその説明をさせていただきます。

 当局の提案が12日と,質問戦の終了直後でもございまして,中身の検討というのは本当に時間が限られておりました。その関係で,この修正の必要があるかなということを,その修正の必要を見つけて,さらにその判断をして手続をする,この時間が極めて短かったということでございまして,その辺をぜひ御理解いただきたいと思います。

 また,修正案というのは,その性格上,万一修正案が否決されても,その元の条例案というのは賛成しても全く構いませんので,そういう意味では,議員の皆さんも私の説明を聞いていただいて,なるほどと思われたら,その修正案に賛成をしていただくということができますので,ぜひ安心して説明を聞いていただきたいなと思います。

 さて,時間の関係もありますので,この修正案は,特に問題となるところを3点に絞らせていただきました。御存じのように,この病院事業管理者の成功報酬につきましては,8,300万円というのは常識外れであるといったような市民の声があることは確かでございまして,新しい条例を制定するわけですから,この機会に20%の規定を見直してもいいのではないかと,このように考えました。

 そして,なぜ20%になったのかなあということで,経緯を少し調べさせていただきました。そうしますと,平成12年6月13日の保健福祉委員会で,当局はこういうふうに言われておる。黒字幅または赤字の圧縮幅が10億円程度で約1,500万円程度になるように検討をしていると,こういうふうに言われていおるんですね。

 つまり,その時点では,1.5%の成功報酬を考えておられました。現在の金額に当てはめると645万円ということになりますね。これは,そうした市民の皆さんの批判にも,これは十分耐えられるということはないんですが,もし645万円の線でいっていたら,そんな市民の皆さんの批判の声もなかっただろうというふうにも思われます。

 それで,同じようにこうした規定を持ちますところを調べてみました。また,議会の質問の中にも出てまいりましたが,鹿児島市では3%なんですね。しかし,この1.5%,3%というのはございましたけれども,今回,榊原先生の手腕というものは並大抵のものではないと。その実績も格別に評価をすべきだと。そういうことでありますから,当局が当初検討していた1.5%より大幅に上げるべきじゃないかということで3倍以上,そして鹿児島の例よりも2%も上乗せをして5%ぐらいならいいんじゃないかな。こういうふうに考えたわけでございます。

 この榊原先生に20%でとお願いしたんじゃないかということもございますので,そこについて御説明申し上げますと,先生にお願いをいたしましたのは,20%以内でというふうになっておりまして,その意味では,5%ですから20%以内で,問題はないのじゃないかと思います。

 そして,榊原先生がいらっしゃればいいんですけれども,榊原先生は今回,病院事業の立て直しを,単に個人的な思いでやっていらっしゃるわけじゃ,当然ないと私は思いますね。もちろんのことですが金もうけを目的にしているわけでもありません。市民のために奉仕の精神で働かれていらっしゃる。これはもう当然だと思われます。

 そういう意味で,市民の方から批判を受けるような常識外れの金額では,かえって先生に失礼に当たる。このように思うところでございます。

 そして次に,費用から減価償却費,資産減耗費及び繰延勘定償却を除くという括弧書きの規定がありますけれども,これについてはなぜそうしなくちゃならないのかということでございますので,これはあえて規定をする必要はないと,このように考えるところでございます。

 そして当局提案では,12年7月から効力を有するとなっておりますが,これをなぜ削除するかということにつきまして御説明をしたいと思います。

 法律とか条例というのは,成立した日以降に効力を有すると。これは皆さんもう御承知のとおりだと思います。そういう意味で,私は通常の扱いをすればいいんじゃないかなあと思っているわけですが,今回の当局提案は,これまでの報酬支払いもすべて過去にさかのぼって議会の議決を求めています。

 過去のといいますか,ほかの地方自治体での例も調べてみました。調べてみましたが,確かにこのような例はございます。裁判にもなっていたりするんですが,平成5年5月27日,最高裁の判例でありますとか,京都地裁の平成7年12月22日の判例だとか,東京地裁の平成9年10月28日の判例などを見ますと,これは条例以外の規定で給与や報酬などを支払った後に,条例を改めて定めて,そしてその有効性が争われた事例でございます。

 それを見ると,町長や知事が給与条例主義──御存じのように給与とか報酬とかいうのは条例できちんと定めるということになっておりますから,その条例に反して支給したことが違法だと。しかし,その違法を救済するために後から条例をつくった場合には,それでも違法なんだけれども有効になり得るんだと,こういうことで判決が出されております。

 それを見てみますと,今回の岡山市が行ってきました報酬の支払いと,今提案されている当局の条例案との関係が極めてよく似ているんじゃないかなという感じがします。

 しかし当局の方はこの条例を,要綱と何ら変わりがないんだというような御説明をされておりますし,もともと明確なものをより明確にするんだということを言われております。

 私どもは,この御説明どおりなら,あえてさかのぼらなくちゃいけないような,そういう必要のある規定じゃないんじゃないかなあと,このように思っております。

 市長は,この件に関しては条例と同等の効果があり,問題がないと,このように明言をされております。当局は,もう冗談じゃないと,責任逃れなんかじゃないよとこういうふうにおっしゃるだろうと思いますので,これまでの支出は支出として,これは責任を持つというふうにおっしゃっておるわけですから,あえて過去にさかのぼる必要はないんじゃないかと,このように思っているところでございます。

 それから,過去にさかのぼるということになりますと,要綱を条例化してより明確にするんだという条例提案の趣旨に,関係がなくなってくるような気が私はいたします。今後,より明確にすればいいんじゃないかと私は思います。

 議会中の質問に対する市長の答弁によりましても,今後のことを考えると条例の形がベターであると,こういうふうに言われておりますね。つまり,今後のことをどうするかというお話をされているので,過去のことをどうするかということについては,おっしゃってもおられませんし,この際削除するのが適当ではないかと,このように思います。

 以上,御説明を申し上げましたように,今回の条例については,よりよいものを求めたいという気持ちもございますので,最初申し上げましたように,議員各位の賢明な判断をしていただいて,この修正案にぜひ御賛同いただきたい。

 それから,私,冒頭申し添えるのを忘れましたが,これは今の御説明を聞いてくださったらおわかりでございますように,委員会の審議も十分尊重してきているつもりでございます。そうした意味では,保健福祉委員各位の御努力に敬意をあらわしまして,以上で提案理由説明を終わらせていただきます。

 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)


2002/03/19

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