2000/03/08 |
平成12年 2月定例会
スイゲンゼニタナゴの保護・遺伝子組み換え食品の安全性・こども議会の再現を
市長のとんでもない発言が飛び出したりして、前の議会では遺伝子組み換え食品についての議論がかみ合わなかったので、あらためて給食への利用について質しました。
羽場 国も遺伝子組み換え食品の表示に取り組むことでもあり、市で行う給食にそれを使うのかどうかを判断でさる状況になりつつある。コストを重視してこれを使うのかどうか。
当局 コストも考慮に入れる必要があるので、いちがいに判断できない。
羽場 環境庁のレッドデータブックにも記載されている「絶滅危惧種」のスイゲンゼニタナゴが市内の用水路にわずか存在することか確認されているが、これを保護するために市としてできることはないのか。
当局 調査とともに検討してみたい。
羽場 一昨年のこども議会はよい勉強の機会であるから、市としても再度とりくんでみたらどうか。
当局 その必要は感じていない。
〔スイゲンゼニタナゴ〕
岡山県と広島県、韓国に天然分布する淡水魚であり、朝鮮半島と日本列島がかつて地続きであったことの生き証人とも言われている。もし、現在のままで放置すれば絶滅の危機に瀕している種。
◆(羽場頼三郎君) それでは,午後一番の難しい時間に質問をさせていただきたいと思います。
今まで,若手というと三宅議員にはちょっと失礼かもしれませんが,新進気鋭の皆さんの質問が続きましたので,負けないように頑張らなくちゃいけないなあと思っているところです。
さて,きょうは少し資料が必要なんじゃないかなあと思いまして,準備をさせていただきました。
最初の質問ですが,スイゲンゼニタナゴの保護についてでございます。
初めて聞かれた方もいらっしゃるかと思います。私も聞くまではもちろん初めてでしたので,どんなものかということで,ちょっとコンピューターを使いまして,情報をとらせていただきました。実際は魚ですから,こういうふうにきれいな色で出るんです。ただ,資料の方は白黒になっておりますので,見たい方はこの下へちゃんと書いてありますから,「http……」と,こうありますからね,ここを開いていただければおわかりになっていただけるんじゃないかと思います。
このスイゲンゼニタナゴというのは,環境庁の「レッドデータブック」に,「絶滅危惧種」として挙げられておりました。これは2枚目の資料にございますから,ちょっと見ていただければありがたいかと思います。「評価基準」というのがありますが,これは「Ex」の次の「E」に当たるところですね。「Ex」はもう絶滅している種です。その絶滅にごく近づいているという種がありまして,これが「E」ランクなんですが,まさにスイゲンゼニタナゴというのは,「E」ランクにあるわけなんですね。
この学術的な価値につきましては,市の方でも把握はされていると思うんですが,念のために申し上げます。ここにもちょっと解説がありますけれども,かつて日本と朝鮮半島は陸続きになっておりました。それが,氷河期に日本列島の方へ移動して,魚の方は瀬戸内側を東へ移動を続けるうちに氷河期が終わって,岡山県を中心とする山陽地方に生息区域が局限されたと,こういうようなことらしく,日本列島の生い立ちをみずからが物語る,動物推理学上貴重な種であると,こういうふうに言われております。
そこで,緊急の保護対策ということなんですが,実は私は,この質問をすることをちょっと悩んだんですね。余りこれが取り上げられますと,非常におもしろくないことなんですが,これは貴重だということで金になる。金になると,業者の方がとりにくるという話をよく聞きまして,岡山でアユモドキもそうなんですけれども,そういうことになってはいけないので,ちょっと私も考えたんです。しかし,保護はちゃんとしておかなくちゃいけないなあという気がいたしましたし,またそれが行政の側といいますか,我々にとってもそうなんですけれども,意識されないうちに,気がついてみたらそこがもう開発されて,いなくなってしまっていたと,後からわかったということではいけないと思います。必要な情報は必要な情報としてちゃんと持っておいて,そしてこうした大切な種といいますか,ものを守るという姿勢が必要じゃないかと思いましたので,あえて質問の項目に入れさせていただきました。
このスイゲンゼニタナゴにつきましては,ここにありますように,こういう魚はいつでもどこでも見たことがあると,いるんじゃないかと思われるかもしれませんけれども,こうした生物の多様性といいますか,そういうものがあることが,ある意味では我々の生存にもつながっているわけですね。そうした生物の多様性を守るという姿勢は,今の我々に求められている,またこういう貴重な種がいる岡山市の行政にとっても必要なことじゃないかなあと思います。そういう認識で,ぜひこの保護を図っていただきたいという趣旨で,質問をさせていただきたいと思います。
これは,今申し上げましたように,岡山市の一部に生息しておるわけですが,この一部はどこかというのは,余り言いたくない。言うと,さっきも申し上げましたけれども,そこへどっと来るということがありますので。ただねえ,岡山市の西部の方で,今,農業用水路がコンクリートで改修をされつつある,そこにどうもいるらしい。ここを,保護地区みたいに指定するということをやったらいいんじゃないかと思うんですが,そこら辺のところが,難しいというようにもお聞きしとります。
このスイゲンゼニタナゴというものが,農業用水路に現に生息していること,コンクリートの改修が,その生存を脅かしているということを市の方としては認識されているんだろうかどうかと,基本的なところをまずお聞きいたします。
その保護のために,何らかの手を打つ用意があるのかどうか,ここもお聞きしておきたいと思います。
さらに,こうした水路の改修に当たっては,市の方はどういう指導を行っていらっしゃるのか,お聞きしておきたいと思います。
先ほどもちょっと触れましたアユモドキにしてもそうなんですけれども,地域を指定して,採取を禁止する,とってはいけないというようなことを言うことは,これは私は条例設置によって可能じゃないかと思うんですが,市のお考えはどうでしょうか。
また,直ちに禁止というふうにできないとすれば,一定の地域に限定をいたしまして,ここのコンクリート改修の際には,そうした環境を守るための一種のアセスメントみたいなものを義務づけたりするようなことはできないだろうかと,考え方をお聞きしたいと思います。
そしてまた,こうした生物の保護というのは,これは地元の方にももちろん関係するわけですから,そうした地元の方々の御協力が不可欠だと思います。そうした協力体制につきまして,どうなっているのでしょうか,お聞きしたいと思います。
今のスイゲンゼニタナゴですが,ここにその資料がありますので,関心がある方はそれぞれに,先ほど申し上げましたように資料として,とれる範囲ではとれるんじゃないかと思いますので,こういうのが岡山の我々のすぐ身近なところにいるんだなあということを,ぜひお感じいただきたいと思います。
さてその次に,遺伝子組換え食品についてでございますが,さきの議会でこの件につきましてちょっと質問させていただきましたところ,私の思いと答弁の方がちょっとずれたかなあと思いました。遺伝子組換えそのものについて,ちょっと話が変な方向に行ってしまいましたので,どうもすっきりしないと。すっきりしないまま終わらせるわけにいきませんので,本当に聞きたかったところについて,改めてお聞きしておこうという意味で,もう一度ここで質問をさせていただこうと思います。
これは,認識の違いといえばそれまでかもしれませんが,遺伝子が組みかわるということと,それをあえて組みかえるということとは違うんじゃないか。ここは違うということが共通認識にないと,話が次に続かないんですが。
今まで教育委員会を中心として,学校給食などに関連して質問をしてきたいろんな議論の中では,遺伝子組換え食品というのが新しい食材として登場してきている。それを食べる側,子どもたちに食べさせる側とも言いますが,保護者側にも不安が生じてきていると。そういう不安をどういうふうに解消していったらいいのかということで議論がされてきたと思います。
遺伝子組換え食品については,その表示の問題がございまして,表示がなかなかされるような方向ではなかった時代──時代というのもおかしいんですけれど,その時点から,今はもう表示を積極的にしようという,そういう時の流れになっております。
先ごろお伺いいたしましたら──これは農林水産省の関係の方にお聞きしたんですが,農業というものは一方的に成り立っているわけじゃなくて,農業によって生産物ができる,それを消費者が食べるというか消費をすると。そういう関係で成り立っているので,消費者の側に不安が生じないようにするのも,これは農業政策の一つだと。国としてもそういう方向を考えなくちゃいけない。これは厚生省も恐らく同じだと思います。そういうことから,表示をしようということで,今来ているわけですね。
この表示の問題につきましては,実は今のスイゲンゼニタナゴの次の資料なんですが,その辺にもございますから,これもぜひ参考にしていただきたいと思います。特徴的なことは,遺伝子組換え食品を積極的につくって,これをどんどん世界市場に売り込もうと考えている北米のアメリカとかカナダは,どうも表示義務については消極的。それを取り入れようとする方は,ヨーロッパを中心に,積極的に義務づけていこうと,こういう傾向にあるように思います。特に,EU諸国は,各国ともに全域で表示を義務化したりして,取り組みがかなり進んでおります。
そういうことですから,食材に対する不安に対して,行政としてはどうこたえていくかと,これが私の質問の趣旨でもありますし,この議会における議論のテーマではないかと思っているところなんですね。その資料から言うと,ページをつけておりませんが5枚目になる。これは,こういう不安があるんじゃないかということで挙げられているので,参考までにちょっと出してみました。これは,「健康に害はあるの?」ということで……,もっとも害がはっきりしているようなものを認めるようなことは,もちろんあり得ないんですが,しかし不安というのは,現に害があったから,これもちろん不安なんですが,害がありそうな場合,これももちろん不安になるわけですからね。そういう意味では,有名なトリプトファン事件。これは,遺伝子組換え食品を食べた人の多くが,アメリカを中心に38人の死者を含む被害者となった事件として紹介されております。こうした心配な要素があるわけで,その後にもアレルギーを起こすんじゃないかとか,栄養価が低下するんじゃないかとか,もしくは前にも御紹介いたしましたけれども,免疫不全が生じるんじゃないかと,こういったことが不安として挙げられております。
それらについて,その次の新聞記事のコピーでございますけれども,これは山陽新聞で,学校給食に対して波紋が出てきておるということで,学校給食の中でも,岡山県学校給食会というのが,メーカーに対して調査をしたりしているわけですね。以前,まだそうした表示の問題が完全に表面化していないときには,調査の方法はないから,これを排除する方向に持っていくのは難しいというような,そういうことがございました。
それに対して,いやそれは調べられるはずだからもっと調べたらどうかというようなことを,私の方も質問をしたりしていたわけですが,既に,素材についてはこうやって調査をするとかして,もう正面から考えなくちゃいけない,そういう時期だと思います。
給食会の事務局長のコメントも,「世論を考えれば,現段階では反対意見が目立つ。基本的に遺伝子組み換え作物を避ける方向で検討したい」と,こう言われているわけですね。私もついうっかりしてしまって,学校給食だけを言いかけたこともあるんですが,こういう流れを受けて,岡山市としては給食を保育園などにも出しているわけですから,こうした学校給食だとか保育園,病院とか,それから老人ホームなどの給食において,遺伝子組換え食品を,わかっていても使うということになるのかどうか。
それから,基本的な問題として,遺伝子組換え食品が出てきた背景には,やはりコストの問題があります。遺伝子組換え食品をつくることによって大量に生産をすると。それによって大幅にコストを下げる。競争力をつけて,例えばアメリカやカナダの業者が,日本の農業に,別に打撃を与えようと思っているわけかどうかしりませんが,結果的には打撃を与えてしまいます。そういうことで,コスト面から開発がされてきたということが私は言えるんじゃないかと思います。
そうした意味で,コスト面から材料を選ぶという考え方でいくのか,それとも基本的に,やはり食材の安全性の面で食品を選ぶという姿勢を市の方がおとりになるのかどうか,これをお聞きしたいと思います。
前回ですね,これはちょっとした行き違いじゃなかったかと思うんですが,市長の方から,遺伝子組換えは程度の問題であるし,品種改良の一種だというようなことを言われまして,実は私も不勉強にしてそういう考え方をしなかったものですから,調べさせていただきました。やっぱりそれは,品種改良の一種だという考え方も確かにございました。そういうふうに検索をしていると出てきましたから,ございました。ただ,前回も申し上げましたけれども,品種改良がこれぐらい──これの大きな範囲──だとすれば,そのうちの遺伝子組換え食品というのは,ごく限られた一部の話なんですから,こちらを否定することは全体を否定することになるわけじゃあない。
したがって,私も遺伝子組換え食品が全部悪いから,直ちにやめろと言っているわけじゃないんです。非常に不安が残ると言っているわけで,不安が残るものは食べない方がいいんじゃないかと,こう言っているわけです。
そういう意味で,遺伝子組換え食品を否定することが,品種改良すべてを否定して,さらに清水白桃まで否定するということには,ちょっとならない。
実は私も清水白桃についてちょっと調べてまいりました。清水白桃を開発された方の御子孫からお話を聞きましたら,清水白桃というのは,桃農家が,栽培していたときに,食べられなくなった桃とかを畑の隅に片づけて置いているんですが,その中から非常に注目すべき枝が出てきたと。よくよく見ていると,これはひょっとするといい桃ができるかもしれないなあといって,気をつけて育てていってできたというようなことでございます。
そういう意味では,動物の遺伝子をほかの種の遺伝子なんかに組みかえてつくっているようなものとは,ちょっと違うということがわかりました。これは,遺伝子組換え食品そのものについての議論じゃありませんからいいんですけれども,先ほど申し上げましたように,やはり食材を提供する責任を持っている市──教育委員会もそうだと思いますが,そうした皆さん,我々が,どういう食べ物を子どもたちに与えようとしているのかと。繰り返しになるかもしれませんが,そこをコストで考えるのか,安全面を重視して考えるのかということをぜひ明らかにしていただきたいと思います。
ついでに申し上げれば,先ほど生物の多様性ということについて申し上げたんですが,この遺伝子組換え食品というのは,私に言わせれば,生物の多様性と反するものじゃないかなあと思いますね。
それはちょっと置きまして,その次に行かせていただきたいと思います。
子供議会についてですが,これは一昨年だったと思うんですけれど,子供議会をこの場所で開きまして,大変好評だったと思います。今後,岡山と言わず日本を,日本と言わずもう地球をと言った方がいいかもしれませんが,次代を背負って立つ子どもたちが,こうした民主主義の基本であります議会にみずから参加する体験は,全部の人が参加できるわけじゃありませんが,自分の仲間たちがそれに参加するということで,今の世の中を動かしている仕組み,特に大切な民主主義の原理ということについて触れていくということは,私は必要なことじゃないかと思います。
きょう午前中にも,子どもたちの教育についてのお話がございましたけれども,やはり子どもたちは,我々を見て育っていくわけですね。だから,我々の議会でまじめに討論をしている,子どもたちの未来についてももちろんそうですし,また市政のあり方についても率直な意見を闘わせていることを子どもたちが見て学んでいくわけです。ですから,ぜひ子どもたちにもう一度来てもらって,そういうのを見てもらった上で,子どもたちも実際に今度は自分がそれを体験として生かしていくということが必要なんじゃないかなあと思います。
逆に,子どもたちが親を見ていて,親の世界でもいじめがあるなあと。数さえ多けりゃ何でもいいんじゃないかというようなことがあったり,権力を持っている者がその権力を振り回して,自分なり自分の仲間の利益の追及に走っていると。こういうのを見ると子どもたちも,何だ親はということになってしまいます。そうじゃないということを,子どもたちに知っていただくというか,子どもたちに伝えていくためにも,子供議会というものを続けることは,私は必要なんじゃないかなあと思います。
たしか前回は,市としての企画というんじゃなくて,ほかのところの企画だったかと思うんですが,これは貴重な体験ですから,こういうことができるようにぜひ積極的な考え方で臨んでいただければいいんじゃないかなあと思いますので,こういったことを再度行うようなお考えはないか。また,できないと言われるかもしれないけれど,できないとすれば,どういうことが問題だからでないのかということをお聞きしたいと思います。
以上で第1回目の質問を終わらせていただきます。
どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
◎市長(萩原誠司君) 御苦労さまでございます。
子供議会でございますが,私もそれなりに聞いてみましたけれども,好評だったという御記憶であるのはわかりますが,必ずしもそういう意見ばかりではないようにうかがっております。
御説のとおり,子どもたちが社会性の拡大のために,あるいは社会が動かされている基本原理である民主的なその行動の仕方というものを学ぶべきことは,これは論をまたないわけであります。そのために,中学校程度から,特にそうでありますけれども,生徒会という形の中で選挙をしたり,あるいは会議の運営等をやらせていると,自主的にやっていると。その辺のやり方が多少希薄になっているんじゃないかという議論は,これは私,妥当性があると思います。あるいは,市議会や県議会等に参観に行く,あるいは,見学に来る,傍聴するということによって,実際の真剣なる議論というものがどのように展開されているのかということを実地に見ていくと。そして,模擬的ではありますけれども,学校における民主的な校内運営にそれを経験として活用していくということについては,これは意味が大きいと思います。先だっても傍聴席に,高校生の姿が数人見えている。非常にいいことだなあと,私どもも思うわけであります。
一方で,形だけのことを真剣味を欠いてやるということについては,教育的な観点から本当にいいかどうかという疑問が出されているところもあるわけであります。本当に意味を心得て習熟し,現に何かを決めていくという作業が学校現場にあるわけでありますから,そこにおける議論の仕方の足しにするのではなくて,ここに来て形だけやるというのは,逆にいかがなものかという考え方もあろうかと,私は考えております。
そういう意味で,子どもたちが社会性を拡大するために,当議会ができることがなくはない。それは,我々が行っている真剣な議論というものを見ていただく,あるいは学校教育の中で,例えば新聞に出ている議会の議論の様子について,教育的な観点から総合学習の中で活用していくといったことからまずは始めるべきだろうと考えております。
◎保健福祉局長(服部輝正君) 遺伝子組換え食品についての保育園給食についてお答えいたします。
本市の保育園におきましては,遺伝子組換え食品の購入はできるだけ差し控えたいと思いますが,そうした場合,食材の選択が限られまして,購入価格においても高くなることが予想されますので,賄い材料の購入に大きな影響を受けざるを得なくなります。
現実問題といたしまして,遺伝子組換え食品の表示が義務づけられていない現状では,排除することは大変難しいのではないかと思います。
今後,遺伝子組換え食品につきましての情報提供に注目しながら,コスト面も完全には無視できませんが,対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎参与(高塚幸子君) スイゲンゼニタナゴの保護についての御質問の中で,地域を指定して採取を禁止することは,条例設置により可能と考えるがどうか。また,一定の地域に限ってコンクリート改修の際に,環境保全のためのアセスメントは義務づけられるのではないかとのお尋ねでございます。
スイゲンゼニタナゴにつきましては,現在,国において,「絶滅のおそれのある野生生物の種の保存に関する法律」に基づく,国内希少種の指定について検討されていると聞いております。
また,本市といたしましても,スイゲンゼニタナゴを初め,野生動植物の保護等を図ることは極めて重要なことと認識いたしておりまして,本会議に生物の多様性の確保等について規定いたしました「岡山市環境保全条例」を提案しているのを初め,野生動植物の生息状況や地域の特性に応じた具体的な配慮方法等に関する情報の整備及び市独自の環境配慮指針の策定を進めているところでございます。このため,当面はこれらの諸制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
続きまして,こうした生物の保護に当たっては,地元の協力が不可欠だと思うがどうなっているのかとのお尋ねでございます。
議員御指摘のように,こうした貴重な生物を守っていく上で,地元の方々の協力は不可欠でございます。
本市では,今までもホタルの里指定地域やアユモドキが生息する高島地区などで,これらの生き物たちの生息環境を守ろうと,地域住民の方々による地道な保全活動等が行われてまいりました。
今後は,これらの実績を生かしながら,地域住民の方々を初め,すべての人々の参加と協力により,市域の多様な生態系を保全する手法等について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎経済局局次長(永田明君) スイゲンゼニタナゴの保護についての生息あるいは生存を脅かしていることの市の認識,あるいは市の指導についての御質問に一括してお答えいたします。
岡山市内の用水路にスイゲンゼニタナゴが生息していることは,関係機関からの連絡を受けて調査をいたしまして,その生息を確認いたしております。
スイゲンゼニタナゴは,絶滅が危惧される貴重種であるため,用水路の改修に当たりましては,その生息に配慮すべきであると考えております。平成11年度の用水路改修事業の実施地区は,その生息水路自体ではございませんが,その水路に近接し,また同一水系の水路であることから,事業主体におきまして,工法の一部変更を行い,スイゲンゼニタナゴの生息に配慮した構造とするよう,既に対策を講じたところでございまして,岡山淡水魚研究会の方からも,その件で先般,お礼の手紙をいただいたところでございます。
こうした貴重生物の保護は重要と考えておりますので,農業用水路の改修に当たりましては,地域の状況を十分把握した上で,事業の趣旨や将来の維持管理との調和も図りながら,事業の計画・実施を図るよう,今後とも十分指導してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎教育長(戸村彰孝君) 羽場議員の御質問にお答えいたします。
遺伝子組換え食品の問題でありますが,教育委員会としては,これまでにも子どもたちに安全・衛生面に配慮した学校給食を提供するように努力してきておるところでございます。
農林水産省が昨年7月に,「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」を改正し,本年4月から施行,1年の猶予期間を設け,来年4月から遺伝子組換え食品の表示を義務づけることといたしました。
物資の納入に当たっては,こういう遺伝子組換え食品の問題につきまして配慮するように市の学校給食会に指導しておるところでございますが,食材費は保護者の負担ということでございますから,食材の供給の仕方によりまして,そういうコストが上がるということもあるわけで,そういう面での理解というものが必要でもあります。
また,年間に1人当たり1,200食ぐらい食事をしとるわけでございますけれども,学校給食はそのうちの180食ですから,社会全体の問題でもあるという認識を持つ必要がある。
それから,厚生省から,安全性の評価指針に適合していることを確認した遺伝子組換え食品というものも御承知のようにあるわけなんですね。厚生省が認めておっても,これはまだ危険なのかということになると,これはもう何を頼りにしたらええかわからんということになるんでね,御意見はわかりますけれども,極端に安全性かコストかという二者択一を求められるのは,現実的でないのではないかと。我々は,両方のバランスを考えて対応するということが必要であろうと思っております。
以上でございます。
◆(羽場頼三郎君) それでは,再質問をさせていただきたいと思います。
順序からいきますと,スイゲンゼニタナゴなんですが,実は私は,質問の中には,「どこどこ地区の」と入れていたんですよね。だけど,先ほどありましたように,やっぱりその地区を余り言うのがどうかなあと思ったもんですから,私も地区を入れないようにしたら,ちゃんと答弁の方も地区を入れないでお答えいただいたんで,ちゃんと配慮されているなあというふうに思って,多少安心をいたしました。
先ほど私が質問した中で,高塚参与ですか,お答えいただいたんですけれど,国は指定をするんですよ。国は指定したらね,指定だけで終わってしまうことが往々にしてあると。ですから,実行ならしめるためには,岡山市は岡山市で,ある程度強制力を伴った条例を制定することができるわけですよ。そういうことも含めて考えたらどうかと。もちろん今,環境保全条例は大切です。ですから,それはそれでもちろんやらなくちゃいけないんですが,こうした本当に絶滅の危機にある種を守るのがほかのところじゃなくて,この岡山なんですから,この岡山でできることは岡山でやろうじゃないかと。そういう意味でお聞きしているわけです。
ですから,そうした強制力を伴った条例が,考えられるんなら,その方向も検討したらどうかと思いますので,その検討の可能性について,再度お聞きいたします。
それから,遺伝子組換え食品ですが,これは今,何となく保健福祉局長と教育長のニュアンスが違ったんじゃないかなあという気もしますが,コストと安全性ということのバランスをとるというとおかしいんですけれど,安全性も考えなくちゃいけないが,コストも考える。言葉で言えばまさにそのとおりなんですけれど,事は食の話ですから,我々の生存に直結しているところですから,考え方としてどちらを主にするかということが,問われるわけです。ですから,安全性を主にして,コストにも配慮しましょうというんならわからなくはないんですけれどね。そういう意味で言われたのかどうか。
それから,教育長の方にも同じことなんですが,コストがかかるといっても給食費が3倍も5倍にもなるという話じゃありませんから,これだけのコストが上がるんだけれど,そのコストを払っても安全性を確保するのがどうですかと。これは親の方も,それで納得すればそれでいいわけですから,そういう姿勢を持つことが私は大切だと思いますので,そこをお聞きしたいと思います。
それから,子供議会につきましては,子供議会をどういうふうに評価するかというのはいろいろ考え方はあるでしょうが,これはそういう機会が,子どもたちにいろいろ広く与えられることが必要じゃないかということで,私はぜひ検討する価値があるんじゃないかなあと思います。これは,考え方が違うと言われりゃあそれまでかもしれませんけれども,これは議会がどうこうじゃないんですよ。そういう子供議会みたいなものを教育委員会の中で,こういうようなやり方もあると,それからその前も民間の方がされたように,そういう声があったときに,それに対して積極的に対応できるのかどうかということをお聞きしたいと。そう思ってお聞きしておりますので,もしこれについてお考えがございましたら,お聞かせ願いたいと思います。
以上で再質問を終わらせていただきます。
◎市長(萩原誠司君) スイゲンゼニタナゴかどうかは別としまして,絶滅の危機に瀕している動植物の保護というのは,恐らく国民挙げての願いであると思います。そういう意味で,私どももそういった分野にも配慮をした上での今度の環境保全条例を,お願いしているところでありますが,条例とて生き物でございますから,情勢の変化あるいはニーズの変化に応じてまた改正をするとか,あるいは追加をするということは当然あり得るわけでありまして,議論として可能性がないということを申し上げるつもりは全くございません。
それから,食品につきましては,これは食品でありますので,これも全く同感なんですけれども,安全じゃないものは,これはだめであります。食品とは言えないわけであります。食ったら死ぬというものを食品と言ったんじゃあ世の中はもたんわけでありまして,そういう意味で私どもとしては,基本的には安全性をきちっと配慮するという上でコストを考えていくと。これはもう当然の方針でありまして,保健福祉局長も教育長も同様な考え方の中で,ああいうふうな答弁をしたものというふうに考えております。
それから,私が申し上げている子供議会の話につきましては,やはりどうせやるなら順序よくきちっとしたことをやりたいということでありまして,ショーをここでするということじゃないんだと。つまり,議会についてやり方を知らない子どもたちが,振りつけでやるというよりも,そもそも学校においてそれに類似した民主手続がありますが,そこの内容の真価を図ることによって自主決定の力,社会参加の力あるいは民主的行動の力というものをつけていくというのが本旨であろうと思います。
その観点から,議会が協力できることはすればいいと。ただし,その前に一番重要なことは,やはり見てもらうことあるいは読むことといったところから始めるべきであって,突然ここに来て,別に議論をしたいこともない人が,しろと言われたんでするというような感想もあったわけでありますから,そういうことにならない方がむしろまじめな教育としていいという判断をお示ししているわけであります。
以上です。
◆(羽場頼三郎君) 子供議会についてですが,最初に書いているところには,これは再度実行する場合には,議会の傍聴も含めてどういう中味にするのか,十分な議論というか,そういうことも含めた上でやった方がいいだろうと。実は私も,やる場合の次の段階として申し上げようと思っとったんで,そういう意味では学校の中で,もちろん生徒会,児童会とかありますから,そこで勉強するのももちろんいいことだろうし,しかしさらに幅を広げてやることも……,これはさっき議会のことを言われましたが,議会は協力するとして,教育委員会の方でそういうこともお考えになられたらどうかなという意味で申し上げております。
それから,遺伝子組換え食品について,何か考えているのか考えていないのか心配なんですが,確かに厚生省は安全だということを言っているわけですね。だけど,それでも残る不安というものがあったときに,それを解消するのが,直接子どもたちに給食を提供している者の責任じゃなかろうかと,そういう意味でお聞きしているわけです。
これは繰り返しだったらもう答弁は結構でございますが,その意味で,安全だと言われているから安全だというんじゃなくて,安全だと言われている食べ物や薬の中にも危険性がある──危険性があるとは言いませんが,じゃあ危険性がないというんだったら不安があると,その不安をどうやって解消しようかということですから,そこが,我々の使命とも言えるんじゃないかという思いでございます。
スイゲンゼニタナゴの方は,大体考え方としてもいいようですから,いいんですが,農業用水路については,以前ございましたねえ,農業用水路についてはちょっと河川と違うので,農業用水路の方はどうしても経済性優先にならざるを得ないというような趣旨のことを言われたことがございましたので,そういう意味ではたとえ農業用水路であっても,こうした貴重種がいるということについては,ちゃんと配慮していこうと,先ほどはこういう御答弁だったと思いますので,そこの点は安心をさせていただきまして,この壇からおりさせていただこうと思います。
どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
2000/03/08 |