1999/09/20

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平成11年 9月定例会-09月20日

国と県は岡山市だけに責任を押しつけるな
交付税返還に伴う不当な21億円の支払いには異議を唱えよう

 9月議会が続いていた20日に、国に対して41億円を支払うための補正予算が追加提案されました。下水道の普及率変更による利用人口の計算のしなおしで、岡山市に多く配分されていた交付税返還のためです。

 もらいすぎの20億円を支払うのは異論ありません。しかし、罰金の性格を持つ21億円を支払うのは納得行きません。法律によっても、単純な過失の場合には過去5年間の交付税を支払えばよいだけです。自治省は岡山市を犯罪人扱いしているとしか言いようがありません。

 岡山市に過失があるとしても、交付税をごまかしてきたという故意や作為があったとは認められません。昭和43年当時にどのような意図で下水道普及率を岡山方式にしたのか不明ですが、その後昭和51年に建設省が普及率の変更をした際にも岡山方式は踏襲されました。これについては、当時の県も建設省も自治省も異議を唱えていません。また、これまでの岡山市下水道局長も財政局長も、ほとんどが国からの出向です。県も二年に一回は交付税の検査をしています。国と県が自分の責任にはほおかぶりしていて、市にだけ責任を押しつけることには怒りを覚えます。

 平成三年に議会で普及率のことが問題になったのは事実ですが、これを交付税と結びつけて考えなかったのは、市も県も国も同様です。しかも岡山市は国や県から指摘される前に、自らこれを申告しています。

 市長は国に対して「言うべき事は言った」と言いますが、結果には現れていません。自分の任期以前のことといった態度が見え見えです。粘り強く交渉することもなく、市民の負担を安易に受けとめる姿勢には大きなマイナスの評価をしなければなりません。


◆(羽場頼三郎君)  私はおかやま市民クラブの羽場でございますが,甲第211号議案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 今,皆さん方も大変お疲れでしょうし,市長以下当局の皆さんも,本当に疲れがにじみ出ているという感じがいたしまして,私も質問をすればするほど,もっと疲労感が増すんじゃないかと本当に思うわけですが,この問題に関しては,やはり我々岡山市にとっての財政的な負担ということもございますし,また市民の信頼にいかにこたえていくべきかという大事なことでございますので,ちょっと勇気を奮い起こしまして質問をさせていただこうと思います。

 これまで既にたくさんの方が質問をなさいました。佐々木議員の質問でも聞かれておりましたし,もちろん当事者というとこれは語弊があるかもしれませんけど,田畑議員の大変鋭い質問もございましたので,極力そういうところを省かせていただこうと思います。

 佐々木議員の質問やその他にもございました164億の話でございますが,これについては,やはり今回のものとは一応別に切り離して考えていきたいと思います。やはりこれはこれで,精査をしていかないといけない問題だと,そういう認識を持っておりますことをまず申し上げておきます。

 それから,市長の方もですね,言うべきことは言ったんだと,こう言われておるわけですね。そういうふうにお聞きをするとそうかなあという気がいたしまして,そうするとじゃあ国にも責任もないし県にも責任はない,もちろん市に責任があるということも明言をされていないわけでございます。こうしたどうもなかなか責任の追及がしにくいところで,しかし41億円という,これを支払わなくちゃいけないという現実だけは残っているわけですから,これは本当に釈然としない。これまでの経過なりどこに本当は責任があったのかということを明確にしていただかなければならない。これは,私どもももちろんそうですし,市民感情もそうだと思います。

 新聞記事によっても,例えばこれは岡山市が組織的な悪意と認定されたとかというようなことを書かれておりますけれども,これに対しては,毅然とした態度でそうじゃないということを私は言いたいと思います。恐らく市長もそう言いたいんじゃないかと思います。

 組織の責任者だった歴代の下水道局長にしても,財政局長などにしてもですね,その財政局長,それぞれの担当のトップの責任ですね。その責任者にだれがなっていたかということを考えていただければ,先ほど田畑さんの御質問にもございました。恐らく言いたかったのはこうだと思うんです。私も言いたいんですが,それへ国のお役人が来て座っているんですよ,国の方が来て。かつても,そういう方が座っていながら,国に全然責任がない。県だって,2年に一遍は検査をしているんですよ。検査をしていて気がつかないと言っているわけですからね,それを丸ごと隠すような,だますようなことをね,我々岡山市がしていたとはもちろん考えたくもないし,恐らくできなかったと思いますね。

 そういう意味では,私は国に対して悪意はない,こういうふうに言うべきだと,あくまでもそう言うべきだと。こういうふうに国も県も市もですね,責任がないということであれば,本当に名裁判官でもいらっしゃればですね,大岡越前などがもし聞けばですよ,三方損の名判決というようなものが出たかもしれませんけれども,残念ながら本当に先ほど申し上げましたように,市の負担のみが課されているという現実が目の前にあるわけです。

 地方交付税法第19条第4項によりまして,岡山市が「提出に係る交付税の算定に用いる資料につき作為を加え,又は虚偽の記載をすることによって,不当に交付税の交付を受けた」と,こういうふうに認定というか,判断をされているわけですね。これについては,先ほどもいろんな方がおっしゃいました。私も自治省の判断はそういう判断をされたと。しかし,先ほどもちょっと申し上げましたけれども,新聞の記事でも読ませていただいたんですが,下水道局長なんかはやはり下水道普及率と交付税算入とが連動することは知らなかったと言われてますよね。恐らく歴代の方に聞かれても知らなかったということだと思いますね。どういう質問があってどういう答えがあったという,まだまだ具体的なところは明らかにされておりませんけれども,知らなかったというのが私は本音じゃないかと思いますね。

 で,もし知ってたとすればですよ,本当は知っていたはずだと,こういうて言わなくちゃいけないのは,これは自治省の方といいますか,国の方がそういうふうに言わなくちゃいけないんですね,こういう,何らかの根拠といいますか,何らかの証明をしなくちゃいけない。証明の責任は本当のことを言えば向こうにあるんですよね。向こうにあるんだけど,そうかといって,それを間に立って判断をする場がないわけですから,そうである以上は市の方は市の方でやはりこの点は譲れないということを私はぜひ言っていただきたい。

 日本の法律はすべてそうなんですが,この第19条に限らずね,故意の行為を前提にしてこの法律が組み立てられておりますから,もし故意じゃない,過失だと,過失だからこういうペナルティーがあるんだという場合にはですね,これは必ず明文の規定が必要なんです。これは,刑法のみに限らず,いろんなすべての法律はそうなっていますからね。私は,自治省がそういう証拠もなしに岡山市が悪意だと,作為がある,虚偽の記載だと,こういうのは法治主義に反する,こう思いますね。

 百歩譲ってですね,それに近い状況があったとしてもですよ,さらに第19条第5項には,「特別の理由によりやむを得ない事情があると認められるときには,自治大臣は,当該加算金を減免し,又は期限を指定して延納を許可することができる」と,こうあるわけですよね。自治省はともかくとして,岡山市はこれについてどういう見解を持っているのかということをお聞きしたいと思います。

 それから,なぜこうなったか,先ほどの経過のことですけどね,スタート地点での理由はわからないと,こう言われているわけですが,しかし可能な限りですね,やはり,先ほどの横田議員の質問にもありました。例えば,この部分については,なかなかプライバシーの問題がいろいろあるかもしれません。そういう場合には秘密会にしてもいいんですよ,秘密会だってできるんですから。中身をというか,今までの経過を本当に明確にしていただいて,それで国から来ているペナルティーならペナルティーを払うという,もうそこまで私はきちんとやらなければ,市民に対する責任が果たせないんじゃないかと思います。

 このことは,過去にさかのぼればですよ,51年には建設省が普及率の数値を変更したということはかつてあったそうですが,このときに市が同調しなかった。しないことに対して,県や国は何も言わなかったのかということはちょっと不思議でならない。これについてはどうなっていたんでしょうか。

 91年ですか,実は田畑議員の問題提起になぜこたえなかったかという質問を用意していたんですが,これについてはいろいろやりとりがございましたので,ここは,ちょっとカットさせていただきますが,この交付税算定の数値と連動していて,返還金が必要だと気がついたのはいつの時点であったのかと,これをお聞きをしたいと思います。

 先ほどは,何か市長の答弁でそのことが連動しているというのは周知の事実だったと,こう言われているわけですが,もしそのとおりであれば,ずうっとこの返還金は必要だと感じていたことになるんですけど,それはどうも今までのお話なり,それから当局の説明を聞いてもそうとは思えませんので,本当はいつ返還金が必要だとお気づきになったのかお聞きをして,1回目の質問を終わりたいと思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

◎市長(萩原誠司君) 御苦労さまでございます。

 羽場議員の御質問でございますが,返還金が必要だということは,これは仕組みとしては,みんなある事が起こればそうなるというのは知っとったわけですね。

 2番目に,本件について返還金が必要だろう,こうわかるのはいつかというとですね,私どもとしては,この事案が下水道局の申し出によって明らかになり,そして情報公開をいたしましたが,そのときには当然,これは何ぼうかわかりませんけれども,この条項を適用されれば返還金が発生するということは気づいておりましたし,その時点で多分記者団の方からもそういう質問が,もう当然あったわけでありますから,それは気づいておったと。

 そういう意味では,私も財政を預かる立場で言えば,地方財政を見れば,そうなるなと。しかし,逆に言えばこれはほっとくともっと大きくなるのは明白なもんですから,早くしないとこれは大変なことに余計なっていくというふうに判断をして,これは早く改めた方がその分少なくなるということで対応したわけであります。

 それから,お答えというか,御質問であったかどうかは別といたしまして,仄聞するところによりますと自治省でも記者会見があって,それでやはり自治省からも人が来とったじゃないかというような質問が記者団の方からあったそうで,市長を含めてそうであるというお答えをして,だからこそこういうことを言っとるんだという自治省の方の理屈もあるわけであります。

 余り言うと残念なこと,気持ちが高まりますんで言いませんけれども,本当に,知ってればやってくれとったらよかったのになあと思う気持ちは羽場さんと同じでございます。
 以下,幾つかの論点について財政局等よりお答えをいたします。

◎財政局長(細見邦雄君) 「特別の理由によりやむを得ない事情」と,規定の適用なんですけれども,この規定は,国の判断にもよりますけれども,逐条解説によりますと,災害があったことや,例えば返還金を直ちに返還することによりまして,職員の給与を支払うことができない等直ちに返還できないような財政状況にあることなどを想定されたものと解されておりまして,本市の場合には当該規定の適用はなかなか難しいと考えております。
 以上でございます。

◎下水道局長(大森信慈君) 昭和51年になぜ建設省の方式に従わなかったかということについてお答えします。

 これは再三御答弁したとおりでございますけれども,その理由は不明であります。しかしながら,人口空洞化が進んでいた本市におきまして,もっと整備した量を評価してほしいということがあったのではないかと,推測しております。

 なお,岡山市の独自の普及率に関して,国や県にはこのたび初めて報告した次第でございます。
 以上です。

◆(羽場頼三郎君) 御答弁をありがとうございました。本当にこの件に関しては,恐らく皆さん方も同じでしょうが,苦い思いで質問もし,答弁もお聞きをしているところでございます。

 先ほどのですね,第19条第5項の規定ですが,もちろん私も先ほど言われたようなことは知っております。しかし,特別な事由ということを,あえて例として,1つ挙げたら災害のとこというふうに挙げたのですが,それらに挙げられてない,これを別に広くとっていけないという理由はないんですね。刑法であれば,例外規定というのは厳しくというのがあるんですが,これは国と自治体との関係ですから,自治体の事情を考慮に入れて特別な配慮をすることも私は可能だと思います。これは法律論になってしまいますが。しかし,そういうわけですから,この辺のところも自治省に対して意が通じているのかどうかということは,これは質問しておりませんからお聞きはできませんが,そういう思いをちょっと持っているということを申し上げておきます。

 この件につきましては,クラブの中にもいろいろ意見がございまして,反対の決議をしてみりゃいいじゃないかと,市の姿勢を明らかにした方がいいじゃないかというような意見もありましたし,責任も徹底的に追及すべきだというような意見もありました。状況について,現実的な判断を最後に下すべきだということで意見の一致を見ているところなんです。

 処分の問題が先にちょっと出ましたけどね,処分の問題にしても,処分をすれば済むという問題じゃありません。先ほど下水道局長も言われていましたし,もちろん市長もおっしゃっておられましたが,市民に対していかに信頼にこたえていくかというね,これからの決意といいますか,これからの覚悟といいますか,これをぜひ,現実のものにしていただきたい。今後,血のにじむような努力をされ,これまでに倍する──これは原稿には「倍する」と書いてあるんですが,現実には本当に倍するなんてことは不可能でしょう,言葉のあやかもしれませんが,これまで以上のと申し上げた方がいいかもしれません──仕事をされて,住民サービスの向上に向けて一層励むことが本当の意味での責任をとるという,責任を明らかにするということになるのじゃないかと思います。そのことを期待を申し上げまして,質問を終わらせていただきます。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)


1999/09/20

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